北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

利尻山沓形コースの巡視を行いました

2024年06月19日
利尻礼文サロベツ国立公園 中村一貴
こんにちは!
稚内自然保護官事務所ARの中村です。
 
先日、利尻山の巡視を行ってきましたので、皆様にその様子をお伝えしようと思います。
 
利尻山には2つの登山コースがあり中級者向けの「鴛泊コース」と上級者向けの「沓形コース」があります。今回、巡視を行ったのは沓形コースになります。
 
沓形コースの9合目の三眺山の先にある「背負子投げの難所」において、昨年、雨の影響で登山道の一部が崩れて狭くなっている箇所があったため雪解けで変化がないか調査してきました。
 
林内ではオオバナノエンレイソウが綺麗に咲いていました。麓ではもう散っていますが、気温の低い標高の高い所ではちょうど見頃になっていました。
 

オオバナノエンレイソウ

足元にはキバナノコマノツメが小さく可愛らしい花をつけていました。名前の由来は、葉の形が馬(コマ)のひづめ(ツメ)に似ていることからつけられたそうです。

キバナノコマノツメ

9合目の三眺山の付近にはキバナシャクナゲやエゾノハクサンイチゲが咲いていました。

キバナシャクナゲ
 

エゾノハクサンイチゲ
 
9合目の三眺山から5分ほど進むと、今回の調査箇所の「背負子投げの難所」があります。
どれくらい変化があるのかと、ドキドキしながら確認しました。
 

雪解けの影響で更に浸食が進んでいないか心配でしたが昨年から大きな変化はありませんでした。現状は道幅40㎝ほどで、崩落の危険性もあるため通行には十分に注意が必要です。「背負子投げの難所」の確認に加えてほかの箇所の確認をおこないました。
「背負子投げの難所」を越えて10分ほど進むと次の難所の「痩せ尾根」があります。足下が砂地になっており滑りやすいのでこちらも注意が必要です。こちらも昨年から大きな変化はなさそうです。

「痩せ尾根」を越えて次の難所の「親不知子不知」(おやしらずこしらず)まで向かう途中にエゾエンゴサクのお花畑がありました。麓ではすっかり花は終わってしまっていますが、ここでは元気に花を咲かせていました。
 

エゾエンゴサク

青や紫が綺麗なエゾエンゴサクですがよく見るとピンクの花をつけている個体も見られました。

ピンクの花をつけたエゾエンゴサク

最後の難所となる「親不知子不知」を確認に向かいましたが、手前に雪が残っており、安全を考え引き返しました。
 

「親不知子不知」は望遠で確認しましたが山頂側にはまだ雪が残っている様子でした。
 
今回は沓形コースの確認を行いましたが、三眺山より先は足下が不安定な箇所も多く、悪天候の際には、登山道外れて遭難してしまう事例も発生しているため通行の際は十分に気をつけてください。次回鴛泊コースの確認も行いたいと思います。
 
今年度も皆様が安全に登山できるように巡視・点検を行っていきますので今後ともよろしくお願いします。

おまけ(虫が苦手な人は閲覧注意です)
 
三眺山からはゴツゴツした岩肌の力強い利尻山を見ることができます。いつもなら昼食を取って、休憩するのに絶好のスポットです。
 

この日も、三眺山で休憩しようかと思いましたが、到着すると大量の虫が飛んでいて、休むどころではなかったです。周りを見てみるとエゾノハクサンイチゲからしきりに蜜を吸っているらしく、短い花の時期を逃さまいとする力強さを感じることができました。
 

立ち止まるとあっという間に虫に囲われました


オンライン写真展はこちらから