北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

花咲く礼文島 ~7月~

2024年07月12日
稚内 後澤 宏文
 こんにちは! 礼文島担当ARの後澤です。
 7月に入り,礼文島は夏の植物に彩られてきました。
 咲いていた花々をご紹介します。
 
000238324
①レブンウスユキソウ
000238326
花のアップ
000238328
開花直前の株
①礼文島の7月の主役は,やはりレブンウスユキソウでしょう。
 ウスユキ(薄雪)の名前のもとになっている星形の白い花弁のようなものは,実は葉が変化したもので,総包葉と呼ばれます。
 レブンウスユキソウは,まず中央の部分が黄色く開花します。この部分は頭花と呼ばれ,花弁のない小さな花(小花)の集まりです。
 中央の頭花が咲き終わると,その周囲にあるいくつもの頭花が咲き,その後更に外側の頭花へ咲き進んでいくので,全体として長い期間咲き続けることになります。
 しかし,咲き進むにつれて総包葉の白い綿毛は徐々に薄くなったり茶色くなったりするので,最もウスユキソウが白く美しいのは,今の中央の頭花が咲いた時だと思います。(私の好みですが…。)
 そんな花の変化も観察していきたいと思います。


 
000238330
②レブンシオガマ
000238333
③チシマキンレイカ
000238334
④レブンタカネツメクサ
000238346
⑤カンチコウゾリナ
②遊歩道沿いに多いレブンシオガマは,花序が伸び,開花が中央に移ってきました。
 6月に咲いた下の方は既に実になり,上の方はまだつぼみで,花序の下から上へ,花の一生をたどることができます。
③チシマキンレイカは,周囲が砂礫なのでよく目立ちます。
④同じく砂礫地にカーペット状に咲くレブンタカネツメクサは,葉の数が多い礼文島固有変種とされています。
⑤カンチコウゾリナは,亜高山帯~高山帯の植物ですが,礼文島では標高0mの海岸でも見られます。
 
000238348
⑥ヤマブキショウマ
000238349
⑦イブキトラノオ
000238350
⑧エゾカワラナデシコ
⑥島内の至る所でヤマブキショウマが薄黄色の花序を風になびかせています。
⑦草原の中から目立つピンクの花を突き出して咲くイブキトラノオも,7月のお花畑の主役の1つです。
⑥同じピンク色のエゾカワラナデシコも目立つようになってきました。

 
000238356
⑨エゾチドリ
000238357
⑩コケイラン
000238358
⑪サイハイラン
000238359
⑫オオダイコンソウ
⑨~⑪ランの仲間もご紹介します。
⑨エゾチドリは日当たりの良い草原に咲いていました。三角形の側弁が独特です。
⑩⑪は,どちらもうす暗い木陰にひっそりと花を咲かせていました。
⑫オオダイコンソウは,遊歩道沿いにたくさん見られました。

 
000238360
⑬カラフトゲンゲ
000238361
⑭オオタカネバラ
000238362
⑮ヒメイワタデ
⑬カラフトゲンゲは,岩場で見られます。
 浜辺から垂直にそそり立つ断崖の上部に咲いている様子は,まさに高嶺の花でした。
⑭オオタカネバラも咲き始めました。
 ハマナスによく似ていますがこちらの方が華奢な感じがします。
⑮岩場や砂礫地など厳しい環境に咲くヒメイワタデは,背丈が低く,花は大きく,高山植物らしい姿をしています。

 
000238363
⑯チシマアザミ
000238364
⑰シロヨモギ
000238365
⑱ハマベンケイソウ
⑯チシマアザミが最初の花を開いていました。
⑰シロヨモギは,海岸に生え,全体に白い綿毛を密生するので,見分けやすく名前も覚えやすいです。
 他のヨモギ(レブンには8種類ほど)はなかなか覚えられません。
⑰海岸にはハマベンケイソウが,直径1mにもなる大きな株を広げていました。
 
 以上ご紹介したのは,「花の浮島」礼文島で7月に目立って見られた植物です。
 今回はご紹介できませんでしたが,7月はエゾノシシウドやオオカサモチなど白い小さな花を密生するセリ科の植物が,草原を白く彩っていました。
 エゾノヨロイグサやエゾニュウなど,大型のセリ科も咲き始めています。
 8月の盛夏に向かって,また礼文島は衣替えをしていきます。