北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

日高山脈登山道利用・状況調査(8月・9月)の報告を一挙公開します

芽室岳・神威岳

2024年10月30日
帯広自然保護官事務所 谷水亨
こんにちは、帯広自然保護官事務所のアクティブレンジャーの谷水です。
今回は、8月~9月に行った登山道利用調査の一部をご報告いたします。

 最初に十勝っ子にはお馴染みの芽室岳をご紹介します。
 芽室岳は日高山脈の一角をなしていますが、これより北に1700mを超える山はありません。登山口から4時間ほどで登ることができ、山頂からはチロロ岳、ピパイロ岳、幌尻岳などが遠望することができる日高山脈のなかでは入門コース的な存在です。
  • 登山道の状況は時によって大きく変わることもありますのでご注意ください(前年どころか前月と道が違うということもしばしば)。

 2016年の台風被害で、芽室岳避難小屋やそこに至るまでの林道が崩壊し、しばらく登山者から敬遠されてきましたが、昨年に林道が再開通し駐車帯が整地、簡易トイレも設置されました。今年は、鉄骨で作られた橋も設置、登山道も整備され、比較的登りやすい山となりました。その様子をレポートいたします。
代替えテキスト
放牧のための牧柵は自由に開閉
代替えテキスト
崩壊した芽室岳山荘が解体され整地された駐車帯
代替えテキスト
新たに設置された鉄製の橋
登山口までの林道は牧柵があり自分で開閉して進んで行きます。駐車スペースは整備されており20台くらいは止めることができます。真新しい橋を渡ると後は地元山岳会によって維持されている登山道を登るだけですが、日高山脈らしく急峻な登りがあります。
代替えテキスト
笹刈りが綺麗にされています
代替えテキスト
稜線のパンケヌーシ岳(芽室岳西峰)への分岐案内板
代替えテキスト
パンケヌーシ岳(芽室岳西峰)へは30分で到着
頂稜部まで登るとパンケヌーシ岳の分岐がありますので、ここは左に曲がり稜線を歩いて行くと芽室岳の頂上です。山頂からは広大な十勝平野、大雪山や東大雪の峰峰、日高山脈の稜線などが一望でき、その風景は圧巻です
帰りには分岐からパンケヌーシ岳(芽室岳西峰)に登るのも良いでしょう。往復1時間半もあれば往復できます。
全体的に最近再整備された山。という感じでとても快適に登れる山だと感じました
代替えテキスト
帯広・新ひだかのレンジャーの二人で記念撮影
代替えテキスト
晴れた日に撮影した芽室岳山頂と十勝平野

続いては、日高山脈で「神の山」と呼ばれる神威岳をご紹介します
 
 業務では初めて登る神威岳は事務所からは遠いので、神威山荘で前泊しました。
 神威山荘へは元浦河林道を進まなければなりません。渓谷の脇を縫うようにして伸びる林道は高所、狭隘箇所が多いため、減速・4WD車が必須となります。
 しかし山荘まで車で行けるので、火器、飲料水、寝具、照明類は軽量化することがなく、快適な一夜を過ごすことができるでしょう。
代替えテキスト
道幅が狭く片側が崖になっている所が多々ある林道
代替えテキスト
清掃が整っている神威山荘
代替えテキスト
ニシュオマナイ川の最初の徒渉は長靴を用意しました
 さて、神威岳は「北海道三大急登の一つ」でニシュオマナイ川の遡行、標高差850mの急登。また、2016年の台風被害で川沿いにあった登山道が寸断され、ルートが不明瞭になったため上級者向けの山となります。しかし、ひとたび山頂に立つと日本三百名山らしく南日高の名峰として、素晴らしい風景を見ることができます。
 足元のギアは沢靴、登山靴を選ぶ人は半々と聞いていますが、ニシュオマナイ川の最初の徒渉だけは、沢靴か長靴が必要です。私は長靴を履いて出発。10分後の徒渉は長靴で渡り、その後は登山靴に履き替え、長靴をデポしましたが、飛び石や徒渉になれない登山者は登山靴を持って、沢靴で歩く方が良いでしょう。
代替えテキスト
川沿いの登山道は所々2016年の台風被害で無くなっているので、巻き道を探しながら川沿いを歩く
代替えテキスト
笹藪の凄いところもありますが、踏跡(登山道)は明瞭です
代替えテキスト
ようやく稜線付近まで登ってきました。中ノ岳が見えます

笹藪の急登は最低限の笹刈りがされておりルートを見失うことはありませんでした。笹を掴みながら急登を登り切ると日高山脈の主稜線にぶつかり、そこからはハイマツ地帯を登ります。山頂に立つと北方面にペテガリ岳や1839峰、南の稜線にはソエマツ岳やピリカヌプリなどが見えます。南日高三山と称されるだけあって、とっても美しい風景が望めました

代替えテキスト
ハイマツ帯を抜けていよいよ山頂です
代替えテキスト
有名な山頂標識
代替えテキスト
神威岳山頂と北方面の日高山脈主稜線