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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

秋深まる羅臼岳へ

2024年10月30日
ウトロ 森下南美
日に日に秋が深まっている知床・ウトロ。
日増しに木々の葉が色づき、毎日違う景色を見せてくれる、個人的にとても好きな季節です。
 
秋の深まる9月30日、羅臼岳の巡視に行ってきました。 
例年、知床連山は10月中旬には初冠雪を迎え、この時期は日によってはかなり冷え込むこともありますが、この日は朝から穏やかな気候。爽やかな秋晴れの中、スタートです!
 
羅臼岳の岩尾別登山口は標高230メートル。
そこからオホーツク展望まで、標高差はおよそ300メートル。針葉樹と広葉樹の混交林帯で風の影響は受けにくいですが、途中急坂もあり、ここで息を整えます。
 
赤や黄色に色づいた葉と快晴の空が目にも賑やかです。
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ナナカマドの実
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途中知床連山を望む
次の休憩スポット・弥三吉水を過ぎるとダケカンバ帯に入ります。
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雪の重みによって木もこんなかたちに
登山をしていると、枝に頭をぶつけそうになったり、実際にぶつけたりすること、ありますよね。
過酷な環境でも生き抜いている木たちの中を、私たち人間が道をつくって通っているに過ぎないのですよね。逞しく生きている木たちに敬意を表して、道を進みます。
 
極楽平周辺は2020年に石をヘリで運び上げ、工事を行いましたが、その後大雨で崩れてしまいました。これがきっかけで、より自然に、より長持ちするようにと近自然工法での登山道整備が始まりました。
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崩れた石組みの一部。登山道が複線化しています
九十九折りの仙人坂を過ぎると、銀冷水に出ます。
ここでは今回の巡視の目的の一つ、携帯トイレブースの修繕を行いました。
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屋根のネジを締め直す
トイレブースの出番も残りわずか。あと数週間後には養生され、冬眠に入ります。
冬期養生しても、雪に埋もれ強風に煽られ過酷な環境に残るトイレブース。養生の隙間から入り込んだ風で屋根が飛んでしまう可能性もゼロではありません。屋根のネジを締め直して、また来年よろしくね!と銀冷水を後にします。
 
銀冷水を過ぎ、しばらく登ると視界が開けます。大沢に出ました。
後ろを振り返るとオホーツク海。海から始まる知床の山の急峻さを体感しつつ、進行方向に見える鞍部を目指し、急登を進みます。
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大沢入口
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快晴とオホーツク海
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わずかに残ったイワギキョウを見つけました
羅臼平に到着です!
羅臼平は知床連山で指定されている野営地の一つですが、知床の野営地にあるものと言えばそう、フードロッカーです。
ヒグマ対策として設置されているフードロッカー。食べものだけでなく、食器や調理器具に残った匂いがヒグマを寄せつけないよう保存するものです。ヒグマに揺さぶられても、また雨・風・雪にも耐えられるように頑丈なつくりになっています。
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巡視ではフードロッカーに異常がないかも点検します
このフードロッカーも間もなく雪に埋もれ、春までしばしお休み。それまでどうか無事でいておくれ…!
 
大沢までは風もなく穏やかでしたが羅臼平まで来ると風が出てきました。海の影響を受ける知床半島らしさを感じる瞬間の一つです。
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羅臼平から眺める山頂はいつ見てもかっこいい!
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国後島もはっきり見えます
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チングルマの紅葉
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ゴゼンタチバナの実
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山頂がどんどん近づいてきます
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あと少し!
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山頂に到着!
巡視中、あることが気になりました。それは足下にどんぐりがたくさん落ちていること!
全道的にどんぐりが不作だった昨年には無かったことだと思うと、今シーズンの成りは例年並みなのでしょうか。
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石よりもどんぐりが多い場所も
サケ・マスの遡上数の減少とどんぐりの不作で、食べ物を求めてウトロ市街地までヒグマがやってきた昨秋。
今年は穏やかに冬眠を迎えられること、来シーズン以降もそれが続くことを祈るばかりです。