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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
 大雪山国立公園では、登山口にセンサー式の登山者カウンターを設置し、入山者数を把握する試みを実施しています。ここでは、東大雪地域における登山道利用について考察します。

東大雪地域における登山道利用について

2025年03月10日
上士幌 上村 哲也

大雪山国立公園の登山者数

 大雪山国立公園は、大きく上川地方と十勝地方にまたがっています。上川地方の部分を表大雪、十勝地方の部分を東大雪と呼んでいます。大雪山国立公園は、東川町、美瑛町、上富良野町、富良野市、南富良野町の部分を東川管理官事務所が、上士幌町、士幌町、鹿追町、新得町の部分を上士幌管理官事務所が、上川町の部分と全体に関わることを大雪山国立公園管理事務所(上川町)が管理しています。
 各事務所では、担当の登山口に登山者カウンターを設置したり、森林管理署から入林簿をお借りしたり、登山道利用者数の把握を試みています。ここでは、上士幌管理官事務所が管轄する東大雪地域の登山道利用について考察します。
 まずは、大雪山国立公園全体の登山者数、過去6年の推移を御覧ください。
大雪山国立公園登山者数推移
 2019年に12万人弱であった入山者が、新型コロナの感染拡大を受け2020年の11万人弱、2021年の10万人弱まで減少しました。その後、行動制限の緩和、5類移行を経て増加に転じ、2024年はコロナ前の2019年を上回る15万人弱に達しました。
 コロナ渦の減少は、姿見の池から旭岳方面を目指す登山者数の推移が大きく影響しており、2024年の増加は黒岳の推移が果たしていると見て取れます。

東大雪地域の登山者数

東大雪地域登山者数推移
 東大雪地域の登山者数が大雪山国立公園全体に占める割合は1割程度であるので、その推移は埋もれてしまいがちです。
 コロナ渦の2020年、2021年には増加し、収束した2022年には減少し、大雪山全体の推移とは異なる動きを示しています。海外や本州の山へ出かけていた道内登山者が、コロナ渦には行動制限を受け、密を避けて比較的登山者の少ない東大雪地域を目指したのかもしれません。
 いずれにしても、2024年はコロナ前の2019年を上回り、大雪山国立公園は新たな利用者を獲得したようです。

東大雪地域の月別推移

 2024年、東大雪地域登山者数の月別推移を見てみましょう。
 然別湖周辺の山々は、比較的標高が低く、登山口へのアクセスもよく、足慣らしにもよいのか、夏を待たずに登山シーズンが始まります。7月、8月は暑さを避けもっと標高の高い山を目指すのか、登山者が減る傾向が見られます。
 トムラウシ山は7月初めまでコマドリ沢などに雪が残り、石狩連峰では5月下旬まで登山口へ通じる林道が通行止めですので、登山者が増えるのはその後になります。
 2024年は8月に登山者数が落ち込みました。これは雨が多かったせいと言えるでしょう。ぬかびら源泉郷アメダスの観測では、7月、9月の降水量が平年を下回ったのに対し、8月は上回りました。
東大雪地域登山者数2024年月別推移
 東大雪地域には標高1,000メートルを超える登山口がありません。しばらくは樹林帯を進みます。然別湖周辺では、苔の森や風穴を見ることができます。登山者の少ない地域で森の香り、静寂を楽しんではいかがでしょう。