北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

環境省アクティブ・レンジャー写真展 ~北の自然の舞台裏~

2025年06月01日
稚内 後澤 宏文

利尻礼文サロベツ国立公園

稚内自然保護官事務所 アクティブ・レンジャー 後澤 宏文

真冬の助け舟


浜頓別クッチャロ湖 12月
 
秋の渡りが終わると,浜頓別クッチャロ湖は氷に覆われ始め,12月下旬になると湖の大部分は凍ってしまいます。
しかし,湖面の凍らない部分で餌をとることができるため,一部のハクチョウは南に渡らずに,冬の間もクッチャロ湖にとどまっています。
今年は約200羽のハクチョウが越冬したそうです。
厳冬期,気温が大きく下がると湖の結氷範囲が広がります。
そんなときに浜頓別町役場職員の方が,ハクチョウに「おやつ」として餌を補うと同時に,ハクチョウが元気かどうかを観察しています。
特に幼鳥のことを気にかけられていて,ハクチョウへの深い愛情が感じられました。
写真のように胴付き長靴(胸元までおよぶゴム製の防水ブーツ)を身につけ,そり一杯に大麦を積み,湧水のため凍らないエリアまで氷上を引いて運び,そりを水に浮かべ,エリア全体にスコップでまきます。
私にはそれが「助け舟」に見えました。
ハクチョウは遠巻きにその様子を見守り,役場職員の方が餌をまき終えて立ち去ると,湖底に沈んだ大麦を盛んに食べていました。
ハクチョウが元気に冬を越し,春にフルパワーで旅立てるように,真冬の助け舟は続けられています。

花の浮島礼文,山の浮島利尻


礼文島桃岩歩道より 6月
 
礼文島は,西海岸を中心に,強い西風の影響によって海抜0mから高山植物が広がる国内でも希有な環境の島です。
「花の浮島」とも呼ばれています。
礼文島には7つのトレイルコースがありますが,その中で最も人気があり多くの高山植物が咲く「桃岩展望台コース」の「コザクラテラス」で,満開のレブンコザクラを撮りました。
背景に,海を隔ててお隣にある利尻島を入れました。
利尻島は,標高1,721mの利尻山を中心としたほぼ円形の島です。
山がそのまま海の上に浮かんでいる「山の浮島」のように見えました。
中腹から上には雪が残り,春先の季節感を演出してくれていました。
華やかな濃いピンク色のレブンコザクラは,雪解け直後の5月~6月に咲きます。
画面には黄色いキジムシロや白いエゾノハクサンイチゲなども写っています。
礼文の草原を彩る花々は,その後次々とメンバーが入れ替わっていきます。
礼文島は,訪れる度に違う姿を見せてくれる万華鏡のような花の浮島なのです。