
アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
環境省アクティブ・レンジャー写真展 ~北の自然の舞台裏~
2025年06月01日
上川
大雪山国立公園
大雪山国立公園管理事務所 アクティブ・レンジャー 忠鉢 伸一(現任:坂井 まお)
エゾムラサキツツジ

層雲峡にて 4月
ダケカンバやカツラの新葉に赤や黄色の色がつき「春紅葉」と呼ばれる時期になる5月頃、層雲峡では柱状節理に咲くエゾムラサキツツジを見ることができます。このエゾムラサキツツジは日本の中でも北海道でのみ自生しており、大雪山では山麓や山腹の岩場で多く見られます。ゴツゴツした岩肌と柔らかく揺れる紫の花の対比が厳しさと美しさが共存する層雲峡の魅力をより一層引き立ててくれます。
そんなエゾムラサキツツジですが、環境省レッドリスト2020では絶滅の危険が増大している種である絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されおり、100年後の絶滅確率は約93%と言われています。層雲峡の壮大な自然の中で静かに咲き誇るエゾムラサキツツジの光景を未来へと守り継いでいくことの大切さを考えさせられます。
さて、山の上はまだ雪景色ですが大雪山の麓では長い雪の時期が終わり、サクラやコブシなど早春に花を咲かせる植物達で一気に春らしくなっていきます。
春の日差しや暖かい風が幻想的な春の景色をよりいっそう素晴らしくみせてくれます。
クモイリンドウ/雲居竜胆

白雲岳にて 8月
厳しい環境の中で静かに佇むその姿は、まさに大雪山の秋の訪れを告げる風物詩です。
黄色がかった白地に青みのある筋模様がとても上品で、この美しい花を見るために山へ訪れる人も少なくありません。
夏のピークを越えてどこか寂しさを感じさせますが、移りゆく季節の美しさと限られた時期にだけ見られる自然の神秘をそっと教えてくれるかのようで、秋を告げる花の尊さを感じます。
