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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
支笏洞爺国立公園 支笏湖地区(定山渓・支笏湖)の情報を、アクティブ・レンジャー奥脇が発信しています

エゾシカの樹皮剝ぎ

2026年02月19日
支笏湖 奥脇百花
皆様こんにちは。支笏洞爺国立公園事務所の奥脇です。
支笏洞爺国立公園公式SNSでもご紹介しましたが、事務所の敷地内にあるイチイが、
エゾシカによる「樹皮剥ぎ(じゅひはぎ)」の被害を受けています。
イチイは北海道の森でよく見られる常緑樹(1年中緑の葉っぱ)で、秋には赤い実をつけます。
公園、街路樹、家具などにも利用される私たちにとって身近な木です。
「樹皮剥ぎ」を放っておくと、木が枯れてしまうこともあります。
今回は、そもそもエゾシカはなぜ樹皮を剥ぐのか、その理由をご紹介します。
そして、まだ試行段階ですが、「樹皮剥ぎ」を防ぐための対策も行ったので、現在の様子をお伝えします。

樹皮剥ぎとは?

冬になり地面が雪に覆われると、エゾシカの食べられるものがとても少なくなります。
そのため、木の皮を剥がして内側を食べることがあります。これを「樹皮剥ぎ」といいます。
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樹皮をはがされたイチイ
木の皮のすぐ内側には、水分や養分を運ぶ大切な組織があります。
そのため、幹の周囲を一周するように樹皮がはがされると「環状剥皮(かんじょうはくひ)」という状態になります。
この状態になると、木全体に水分や養分を運ぶことができなくなり、多くの場合1~2年で枯れてしまいます。
一部でも樹皮が残っていれば回復する可能性はありますが、傷口から腐りやすくなる、幹が弱くなる、
強風で折れやすくなるなどの影響が生じることもあります。
このように、樹皮剥ぎは木の致命傷になってしまうこともあるので、一周剥がされてしまう前に早めに対処することが重要です。
事務所の敷地内のイチイは環状剥皮までは至っていなかったので、これ以上被害が大きくならないように樹皮保護対策を実施しました。

樹皮保護ネット設置作業の様子

12月下旬に、樹皮保護ネットの設置を行いました。
ポリエチレン製の網を幹の太さに合わせて加工し、柔らかい針金で固定。およそ2mの高さまで設置しました。
敷地内のイチイ全てに設置しました。
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樹皮保護ネット
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ネット設置後のイチイ①
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ネット設置後のイチイ②
ネット設置後、それぞれの木の周辺にはシカの足跡が確認されましたが、保護した樹皮の追加被害は見られませんでした。
今回初めての対策でしたが効果があると考えられました。
しかし、ひと安心したのも束の間、年明け後の大雪で積雪が大きく増加し、ネットから出ている上の部分まで樹皮がはがされていることを確認しました。
このままではまた被害が拡大してしまうので、2月上旬に補強作業を実施しました。
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ネット補強後のイチイ①
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ネット補強後のイチイ②
本来であれば、こまめに除雪を行うことで、シカの届く高さを下げることも可能です。
しかし、積雪や天候の状況によっては、すぐに除雪対応ができない場合もあります。
そのため、今回はネットの追加による保護を選択しました。
今後は、除雪と保護ネットの両方を状況に応じて行いながら、経過観察を行っていきたいと考えています。