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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

シンギングレイク阿寒/フロストボッケ

Singing Lake Akan - 羽氷霧氷 / 霜華泡氷 -

2026年01月30日
阿寒湖 熊野直紀

シンギングレイク阿寒



冬が好きだ。
 
ダイヤモンドダストを視界に纏い、
ざぎゅるる ざぎゅるるる と 雪面を歩む。
この感触も愛おしい。
 
雄阿寒岳を見据えながら、湖上を徒歩で通勤する。
控えめに言っても、超気持ちいい。
 
と、思えるのは僕に寒冷地適性があったこともあり、
積雪極寒の地域が億劫にならない性格だったのが幸いしている。
 
-20℃ の空気の中、
流れる気分で森の先へ、
事務所を目指して徒を拾う。

なんて清爽な空気なんだろう。
 
フラクタルな六花は地上へ舞降り

フラクタルな結晶が境界に芽吹く

フラクタルな樹枝は中空に広がり

白妙のフラクタルが阿寒を充たす

 
もうただ単純に、
羽氷霧氷なこの憩いの世界を感じてほしくてこの日記を書いている。

いまもむかしも変わらない、
凍てつく北海道は僕を元気にしてくれる。
 
この Ice rink な 阿寒湖 を見て、何を感じてもらえるだろう。
僕は 地球ホール2階席 に居る気分で、氷のビブラートに耳を傾けている。
波を収めた湖の音色が聴こえるだろうか。
 
チュピュン ピョンピュンと響く音が渡りながら、
ピシシ パシッと刺す音が時折走る。

この形容しがたい独特な湖鳴空間。
湖が凍る音に割れる音、
未聴者はぜひ“Singing Lake”で調べてほしい。
 
そんな湖面の直下では、
アイスバブルが列層を成していて、
グルグル巡る循環をひととき静止画にしたような世界が広がっている。
 
湖底から  ぷくぷく昇るも  ミルフィーユ(mille-feuille) 

いな、ミルビュル(mille-bulle) されるガスたちのリズム、
ぽこぽこ可愛く心も弾む。
 
毎朝眺めたいくらいであるけれど、
適期は積雪と暖かい日を挟む前だけだったりで、
タイミングが限られているのが難しい。
 
同じく湖が凍るころ、
探し始めるフロストフラワー(霜の花)。

極まった冷え込みと共に咲き上がる結晶たち、羽毛のような薄氷が種々立体的に生成される。
 
その繊細な造形を都度眺めまわしながら、水分子の凝集性にいつも僕は敬意を抱く。
 
湖畔にまたねをした先も、
ボッケ(泥火山)も霜立つ氷の世界(フロストボッケ)。
 
近寄り叶わぬ霜華たちにも挨拶して、

冴えわたる空気にリラクシングが止まらない。

 
朝日がのぼる、陽がのぼる。

chill-chill チルンチルン で眺め歩いているうちに、
今日も事務所に着いてしまった。
 
癒しの享受が青天井化しそうなしばれる大地、今日もお仕事がんばろう。

感謝をこめて。
 
※湖上には湯壺や湯脈などにより薄氷となっている箇所があり、不用意に歩き回ると大変危険です。
 阿寒湖の氷上を利用される際は、必ず地元ガイドの同行をはじめとする万全の安全対策を講じてください。

 
阿寒湖事務所 熊野