北海道のアイコン

北海道環境局

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

環境省アクティブ・レンジャー写真展 ~北の自然の舞台裏~

2026年07月17日
上川 坂井まお

大雪山国立公園

大雪山国立公園管理事務所 アクティブ・レンジャー 坂井 まお

高嶺に抱かれて


平山 6月
 
初夏の大雪山の稜線に立つと、遠くへ連なる峰々に視線が伸び、吹き抜ける風の匂いや清々しい空気から、季節が確かに移ろっていくことを感じます。
こうした季節の変化は、大雪山の地形と環境の多様さによってより豊かに表れます。
大雪山国立公園の山々では、雪どけの時期や地形によって環境が大きく異なり、雪が長く残る「雪田」や、冬季にほとんど積雪がない「風衝地」などの環境が重なり合うことで、この山域ならではの高山景観が形づくられています。
写真の前景に咲くイワブクロ(Penstemon frutescens)、別名タルマエソウは、高山帯の岩場に生育し、淡い紫色の花を初夏から盛夏にかけて咲かせます。
イワブクロが咲く頃、稜線の雪渓は消えはじめ、山全体が夏へ向かう空気に包まれていきます。今年もまた、この稜線にどんな夏が訪れるのか──思わず歩きに行きたくなる景色です。

静謐


赤岳 7月
 
斜面を登る途中、足元の岩の隙間から白い花が静かに顔をのぞかせていました。シロバナイワギキョウ(Campanula lasiocarpa f. albiflora)は、イワギキョウの白花品種で、砂礫地や岩場などの厳しい環境に適応して生きる多年草です。
地表近くに葉を束生させ、岩の裂け目に細い根を伸ばして、限られた水分と安定した場所を確保しながら生育するその姿は、控えめでありながらも確かな生命の存在感を感じさせます。
暗い岩陰から光を受けて浮かび上がる白い花びらは、どこか静謐な空気をまとい、その可憐さの奥にある逞しさに気づいたとき、この小さな花がどれほど過酷な環境を生き抜いてきたのか、ふと想いが巡ります。