
アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
環境省アクティブ・レンジャー写真展 ~北の自然の舞台裏~
2026年07月17日
稚内
利尻礼文サロベツ国立公園
稚内自然保護官事務所 アクティブ・レンジャー 大宮 恋
夏のサロベツ、葉の上の住人

豊富町 7月
生命の活気に満ち溢れた夏のサロベツ湿原。巡視の途中でふと目を向けると、緑豊かな葉の上にいる一匹の美しい蜘蛛を見つけました。
腹部が銀白色に輝き、側面に黄色の縦筋が入る特徴的な姿はおそらくコシロカネクモかと思われます。夏の太陽光を反射してキラキラと輝くその姿はまるで湿原に現れた小さな宝石のよう。長く伸びて艶のある緑色の脚をゆったりと伸ばすその佇まいは獲物が通りかかるのを待っているのか、それとも陽だまりの下で一休みと休憩をしているのか、どこか余裕を感じる姿です。
何気ない湿原の風景。こうした小さな生き物たちの力強い生命の営みが、夏の光を浴びながら脈々と息づいています。
霞の中の利尻富士

豊富町 12月
地平線の彼方、うっすらとかかった雲霞に夕焼けの赤がぼんやりと映り込んでいます。鮮やかすぎないその淡い紅色は、冬の寒さの中でも唯一暖かさを感じさせてくれます。
あたりはしんとした静寂に包まれていて、唯一聞こえてくるのは耳元に小さく吹き抜けるわずかな風の音だけ。そのかすかな旋律が、かえってこの世界の静まり返った空気感をいっそう鮮明に際立たせています。
冷たい風の感触、どこまでも澄み渡るような解放感。この静寂と澄んだ空気の中に身を置くたび、これこそがサロベツという土地の、言葉に尽くしがたい魅力なのだと強く感じます。

