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北海道環境局

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

美瑛富士の携帯トイレブースに歴史あり

2026年07月13日
東川 渡邉 あゆみ

こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。
突然ですが、この写真何を拾っているように見えますか?


カラスに荒らされて散らばった可燃ゴミを拾っている…ように見えるのですが、実はお尻を拭いたティッシュが散乱していて、それを拾っている写真です。場所は美瑛富士。
でも、安心してください。現在の写真ではありません!今から23年前の写真です。(写真提供:山のトイレを考える会)
 
驚かせてしまい、失礼しました。
最近大雪山で登山をはじめた方や若い方は20年くらい前の美瑛富士がこんな状況だったこと、ご存じないと思います。
当時を知っている山のトイレを考える会(以下「山トイレの会」という。)やパークボランティアの方は「美瑛富士はあちこち汚物だらけで、登るのが憂鬱だった」と仰っていました。
汚物だらけで登るのが嫌な山…なんというパワーワードでしょうか…。想像するだけで気持ち悪いし、登りたくないです。
 
美瑛富士には避難小屋・野営指定地があるものの、常設トイレがないため、汚物は探さなくてもあちこちに落ちているほど汚かったそうです。
山トイレの会が調査した数、2003年は汚物110個、2004年は汚物51個・ティッシュは142個!!
更には用を足すために、植生を踏みつけていくので、植生は消失し、トイレ道が網の目状に広がっていました。
 
その後も山トイレの会は地道な清掃・調査・啓発等を行い、2015年、山トイレの会が中心となり、北海道の山岳会やガイド協会など9団体で構成される「美瑛富士トイレ管理連絡会」が設立されました。
翌2016年からは環境省が試行的にテント式の携帯トイレブースを設置し、シーズン中はトイレ管理連絡会の各団体が交代で保守点検やパトロールを実施。また、環境省では4年間にわたりアンケート調査を行い、携帯トイレブースの利用状況や設置効果を検証し、その結果、常設の携帯トイレブースへの利用意向が高いことと、継続的な維持管理体制の運営が可能なことが確認され、2019年に現在の常設の携帯トイレブースが設置されました。


美瑛富士の携帯トイレブースは10年以上にわたり、多様な山岳団体が連携して維持管理を続けており、このような協働体制は全国的にも珍しい取り組みとなっています。

大雪山のパークボランティアも美瑛富士トイレ管理連絡会に入っています

7月5日(日)、パークボランティアの皆さんと、携帯トイレブースの保守点検に行ってきました。

点検当日は快晴で、気持ちの良い登山日和でした。4時間弱で避難小屋に到着。
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眼前には美瑛富士がそびえる
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川のようになった登山道
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今年は残雪が多い
早速トイレブースの状況確認に行くと…床に落ちていました、大便が…!!!ガックリです。

実はたまにあるんです。携帯トイレを使わずに、ブース内で直接排せつされてしまうことが。

緊急事態だったのか、手品のように大便が消えると思ったのか、誰かが片付けると思ったのか…?謎は解けませんが、避難小屋に残置している清掃用の水で洗い流し、使えるようになりました。
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ブース内清掃中
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窓ガラスの補修
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汚物がないか調査
ブースの清掃以外にも、周辺のトイレ痕の確認(ティッシュ3個回収)と、避難小屋の清掃、窓のヒビにテープを張る応急処置を行いました。
こういった活動がシーズン中ほぼ毎週行われていることをご存じでしたか?
美瑛富士の今の環境は、多くの有志の見えない努力によって支えられています。登山者一人ひとりが適切に携帯トイレを利用すれば、汚物の回収や清掃のために多くの人が時間と労力を費やす必要はありません。


山のトイレの会「北海道の山のトイレ 活動報告集2025」より抜粋
 
近年は携帯トイレが普及し、汚物・ティッシュの回収数は以前ほど多くはありませんが、それでも0になることはありません。
 
この活動は登山口から携帯トイレブースまで約4時間、登山道は洗堀して歩きにくく、山のピークに登る訳でもなく、主たる作業内容はトイレ掃除と楽しい活動ではないかもしれません…。
ただ、パークボランティアの方から聞いた悲惨だった美瑛富士から、今この状況まできれいに復活したこと、そしてここまで改善するために長年活動を続けてきた多くの方々の活動を知ると、美しい大雪山の自然環境を次の世代へ引き継いでいきたいという思いが、今回の活動で一層強くなりました。

私にとっての美瑛富士は、野営指定地にテントを張ると、あちこちから聞こえるナキウサギの鳴き声が山にこだまし、穏やかで優しい時間を与えてくれる心安らぐ場所です。
かつて、この山が汚物であふれ、「登るのも憂鬱」と言われていたことが、今では想像もできません。
これから美瑛富士に登る方が、どうか私と同じ、幸福な印象の美瑛富士であることを願っています。

大雪山に登られる際、常設トイレのない場所では携帯トイレの使用をお願いします。
参加していただいたパークボランティアの皆さん、ありがとうございました!!今後ともご協力よろしくお願いします。