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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

セミ、大雪山で婚活中

2026年09月02日
東川 渡邉 あゆみ
こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。
早いもので9月に入りました。麓ではすっかり涼しくなり、山も1桁の気温となる日が続いています。
赤や黄色、オレンジに染まる鮮やかな紅葉も素敵ですが、個人的には山全体が茶色くくすんだり、イネ科の植物が黄金色に染まる哀愁漂う景色にグッときます。
 
そんな秋の訪れを感じる一方で、今年は各地で気候の変化を実感する出来事が相次ぎました。
 
地球温暖化の影響もあり、今年は世界の海面水温が観測史上最高となったそうです。
海外では、つい先日ネパールで温暖化によって氷河が崩落し、山肌を削りながら大量の土石流が発生する大規模な土砂災害が発生しました。
国内でも、千葉県や北陸地方で大雨による被害が発生しています。
恐ろしいのが、こういった災害は今回限りではなく、今後も世界各地で繰り返される可能性があるということ…。

大雪山での地球温暖化の影響は―

幸い、今年、大雪山で地球温暖化による大きな災害は起こりませんでしたが、特に印象に残った出来事のひとつが「セミ」です。 
以前は、大雪山の山岳エリアでセミの声を聞くことはほとんどありませんでした。
ところが今年の8月は様子が一変。
どこの山に登っても、コエゾゼミの「ジーーーー」という鳴き声が響き渡っていました。

8月初旬、パークボランティアの皆さんと富良野岳でマルハナバチのモニタリングを行ったときも、主役はハチではなく、セミに奪われました。
登山口で響くコエゾゼミの声。「今日も暑い一日になりそうだな~」くらいに思っていたのですが、登り始めてもずっと聞こえるジーーーという声。
「こんなところにもいる」と思いながら登っていくと、なんと山頂まで大合唱。
 
山頂標識には2匹のコエゾゼミがとまっており、大音量で登山者を歓迎。
さらにはパークボランティアの方の頭や腕にもちゃっかりとまる始末。

そんな「今年のセミ事情」をきっかけに、少しセミについて調べてみました。

セミの寿命は1週間説は本当?

「セミは地中で7年過ごし、成虫になると1週間ほどで命を落とす」という話を聞いたことがある方も多いと思います。
実はこれは、日本のセミには当てはまらないようです。

国内のセミで、7年間も地中で過ごす種類は確認されておらず、幼虫期間は1年程の種類から、長いものでも5年程度だそうです。
そして、長い地中生活を終えて無事に羽化したセミは、天敵に襲われなければ、成虫になってからも1カ月程生きるそうです。思っていたよりも長いですよね。

とはいえ、一生の大半を地中で過ごすセミ。その間にも天敵はいます。
特にヒグマはセミの幼虫を好んで食べるため、地中にいる幼虫を掘り起こして食べることもあるそうです。
そんな危険をかいくぐり、無事に成虫となった姿を見ると「よくぞここまで大きくなって」と、おめでたい気持ちになりますが、セミが一斉に鳴き始めると、その音量はなかなかのもの。
無事に成虫になれたことは喜ばしいのですが、鳴き声の迫力には圧倒を通り越し、閉口しました。
でも、あんなに小さな体であれだけの騒音(失礼!)を立てられるなんてすごい生き物です。
セミの大きな声は口から出ているのではなく、お腹の近くにある「発音器」で音を出し、空洞になったお腹に音を響かせて大きくしているそうです。

ちなみに、成虫になったセミが主に食べるのは木の樹液。
他の昆虫を食べることはなく、木の幹や枝に口を刺して樹液を吸って生活しています。 

「コエゾゼミ」は名前に「エゾ」とついていますが、北海道だけでなく、本州にも生息しているそうです。

これまで山は冷涼な環境でしたが、山も気温が上がりセミが生息できる環境になってきたのかもしれません。
私も以前は真夏でも登山時は長袖を着ていましたが、最近は暑いので半袖で山に登っています。
来年の夏はセミの声が聞こえるでしょうか?

「環境省アクティブ・レンジャー写真展2026 ~北の自然の舞台裏~」