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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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利尻礼文サロベツ国立公園 稚内

247件の記事があります。

2009年05月21日「宗谷岬」に歌われた春が来た② ~春先の花々と昆虫編~

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 賀勢 朗子

 水鳥たちの大半が北へ旅立って少し経った4月下旬、サロベツ原生花園周辺ではワタスゲやヤチツツジ、ホロムイツツジの小さな花が、牧草地わきや日当たりのよい林床などではエゾノエンゴサクの青紫がちらほら咲き始めました。
 海岸砂丘の地面に近い草むらでは去年飼育観察していたヨシカレハの幼虫を発見!


これはホロムイツツジの花


ヨシカレハの幼虫

エゾエンゴサクが花盛りになった5月連休中。ふさふさの毛を持ち丸々とした何匹ものエゾオオマルハナバチの女王がひっきなしに訪花していました。夢中になって花筒に頭を入れている様子を見ていると何か楽しい気持ちになりました。


エゾエンゴサクとエゾオオマルハナバチ

最近、私が興味を持っているハナバチ類など社会性昆虫の研究者、故坂上昭一さん(北大)は、エゾオオマルハナバチがエンゴサクを訪れている時の様子をこんな風に述べていたそうです。

「はじめて札幌にきた年の春、あの北国のもっとも素晴らしい季節、私はよく円山公園にでかけた。今のように荒らされていなかった谷沿いには、一面にキバナノアマナの黄色とエゾノエンゴサクの紫青の花が、萌え出たばかりの緑を彩っていた。そして本州では山岳地帯にしかみられない、オオマルハナバチの女王が、底深い翅音をたてて訪れていた。彼女が黒、赤、白の三色の長毛で覆われた巨体を花にあずける時、花はおもみで垂れ下がり、女王は、じゃれている猫のようにあおむけになって、背中を地面につけたまま蜜を飲んでいた。」
<蜂の群れに人間を見た男 坂上昭一の世界 本田睨著・NHK出版より>

この文章を読んでエゾオオマルハナバチの活動の様子が生き生きと目の前に浮かんでくるようでした。研究者として鋭く無駄のない論理性を持ち、研究にあけくれていた坂上さんも春のエゾオオマルハナバチたちを見ることが純粋に楽しかったに違いありません。


 

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2009年05月20日「宗谷岬」に歌われた春が来た① ~原野の大きな水溜まりと渡り鳥編~

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 賀勢 朗子

 私は子どもの頃、あの有名な「宗谷岬」という曲が好きでした。この曲には風雪に閉ざされる長く厳しい冬を経て訪れた春への喜びが歌われています。メロディーもさることながら歌詞がとても好きです。長い歌詞でもなく簡単な言葉なのに、作詞者の吉田弘という人の感性はどうしてこのように生き生きと最北の自然の情景やそこに生活する人たちの心情を描写できるのだろうかと。 大人になってまさか自分がその地へ行くだろうとは思っていませんでした。初めて冬を経て春を迎えてみて、歌の3番の始めの一節「幸せ求め 最果ての地にそれぞれ人は 明日を祈る」という言葉の意味が今、心から分かる気がしています。

 歌詞の情景そのものではありませんが、私が感じたサロベツの春の様子を何回かに分けてご紹介しようと思います。

 4月上旬、サロベツ原野では雪解けによる増水のためなのか、原野の牧草地にも川の岸辺にも海岸線の草地にもまるで昔からそこにあった湖のように大きな水溜まりがそこかしこにできていました。例年見られるというこの光景は去年に限って顕著ではありませんでした。そして、水溜まりに大群で群れるコハクチョウやガンカモ類たち! 巡視に出てこの光景を見た私はサロベツが湿地であることと、ここがずっと昔から水鳥の楽園であることを改めて実感することができました。


清明川の岸辺から利尻山を望む



湖?! ではありません! 原野の大きな水溜まりは水鳥の楽園(ここにはコハクチョウ多し)


別の水溜まりではヒシクイの大群も!

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2009年05月12日すいすい登ろう利尻山♪

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 岡田 伸也

昨年度の登山計画書統計と赤外線式登山者カウンターから得られたデータを基に、今年の利尻山混雑日予想カレンダーを作成しました。
このカレンダーを見れば、空いている日と混み合う日が一目でわかります!

自分のペースでゆっくりと山を楽しみたい
静かに山を味わいたい
そんな方には、是非このカレンダーを参考にして、登山計画を立てて頂ければと思います!

また、利尻山は登山道が狭い上に上部は急峻。それにオーバーユースによる登山道侵食も問題になっています。ですから、「できれば、安全で山にやさしい登山をしたい」と考えている方にも、空いている日の登山をオススメします!

カレンダーの見方は簡単。
緑色に塗られている日は空いている日。赤色が濃くなるほど混雑度が高くなっていきます。また、残雪が多い季節や、降雪の始まる季節は一般夏山登山の範疇から外れるため、「登山に不向き」として、灰色で示しています。
どうぞご活用ください。


※カレンダーは、利尻礼文サロベツ国立公園のホームページからダウンロードすることもできます。(PDF形式:111KB)
URL:http://www.env.go.jp/park/rishiri/






利尻山山頂付近 6月下旬の混雑状況

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2009年05月08日「サロベツ・エコモー・プロジェクト2009」活動募集中です!

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 賀勢 朗子

「サロベツ・エコモー・プロジェクト」が動きだしました!
11月に募集していた上サロベツ自然再生普及行動計画のニックネームはキビシイ選考の結果、この名前に決定し、現在サロベツをテーマにした活動を随時受付中です!

このニックネームには、エコ(ECO:環境配慮)+モー(牛の鳴き声:農業)=湿原と農業の共生 という意味が込められています。
子どもも大人もお年寄りもみんなが楽しめるサロベツづくりをあなたもしてみませんか?


サロベツ・エコモー・プロジェクト2009 活動募集中です!


私自身も活動を一つ登録しました。活動名は“サロベツ動物折り紙博物館”!

活動の内容としては、サロベツ原野に生息する様々な動物をモチーフとして創作折り紙を作り、折り紙の背景にサロベツ原野の風景画あるいは風景写真を合わせて、ビジターセンターやイベント会場でジオラマチックに展示したり、こどもたち向けに動物の折り紙教室を開きたいと思っています。また、モチーフとなった動物の生態に詳しい方に解説やサロベツの自然への想いを添えていただきます!


私の折り紙博物館(サロベツに来る前に作ったものなので、サロベツにいない動物もいますが)


折り紙シカ(背景は海岸砂丘林内の写真)

皆さんからもサロベツの魅力を活かした楽しい活動の登録をお待ちしています。   詳しくは「サロベツ・エコモー・プロジェクト」専用HP(http://sarobetsu.env.gr.jp/ecomo/)をご参照ください









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2009年04月23日春の利尻山登山情報

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 岡田 伸也

4月20日時点での利尻山の状況をお知らせします。
意外に思う方もいるかもしれませんが、雪は例年並みに残っています。
アメダスの記録を調べても、累加降雪量・最大積雪深ともに平年以上とのこと。
この冬、1月までは、雨で道路のアスファルトが顔を出してしまったこともあり、雪の少ない印象が強かったのですが、下記の通り、やはり2月後半の大雪が、この冬全体の雪の量にも影響を与えたようです。


アメダス(稚内)の記録
■ 累加降雪量
【2月2日16時】
昨年:391cm
今年:299cm
【3月31日24時】
昨年:539cm
今年:612cm
【2月のみ】
昨年:107cm
今年:254cm
※利尻町沓形のアメダスでは、積雪に関するデータを扱っていないため、最寄りの稚内のデータを用いています。
※上記データは、(社)雪センターからの引用です。


まだまだ雪山の利尻山。
アイゼン・ピッケル等の装備と、利尻山名物の強風に耐えられる服装を準備するのはもちろんのこと、登山の際は、沢沿いの落石や、尾根上での樹林の踏み抜きによる転倒にもご注意ください。

この時期、過去には、連休で浮かれ気分になってしまったためか、スニーカーに手提げカバンで利尻山に登り始めた若い観光客が、途中で怖くなり引き返そうと思ったものの、雪の急斜面を下りるに下りられなくなってしまった例(何とか自力で下りましたが)もありました。決して観光気分で登れる山ではありません!

また、この春すでにスキー・スノーボードでの怪我人も出ています。近年のバックカントリーブームは、利尻山も例外ではありませんが、利尻の場合、山の急峻さと、島という立地条件から大けがをした場合など救急時の搬送の点で、本土の山岳地よりも困難が伴います。「ケガは自己責任」というのは、どの山でも当然のことですが、自分の実力以上の斜面を滑らないなど、気を引き締めてお楽しみください。


山の状況、積雪深は、以下の通りです。

■ 利尻山の積雪深(4月20日時点)
鴛泊コース登山口(標高約200m):30cm
森林限界付近(標高約500m):80cm
避難小屋前(標高約1200m):70cm
山頂(標高1719m):110cm


標高550m 森林限界付近
奥に見えるのが、長官山付近。

鴛泊コース避難小屋(09.04.20)
出入りは2階の入り口から。ドアの閉め忘れに注意!

南峰とローソク岩
山頂付近は山稜が切り立っており、風も強い。

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2009年04月10日サロベツの冬を振り返って(冬の活動報告)②

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 賀勢 朗子

 前回に引き続き遅い活動報告ですが、春に続く生き物話もありますのでどうぞ最後までお読みください。

 稚咲内砂丘林は、サロベツ原野の海岸砂丘帯のわずかな土壌の上にできた森林で、森林と沼が帯状に交互に連なり、湿原とはまた違った環境を持っています。夏の間は草木が密生して迷いやすい上、蚊やブヨのような人を刺す生き物が沢山いたり、ヒグマ出没の痕跡もあったりして、なかなか入りづらい場所となっていますが、冬ある程度森の中に入りやすくなります。

 普段は見られない稚咲内砂丘林の自然を見て感じてもらい、その大切さを知ってもらおうと、宗谷支庁、豊富町役場、稚内自然保護官事務所との共催で2月28日土曜日に稚咲内砂丘林でスノーシューハイクを開催しました。
参加した皆さんは二十名ほど。現地の自然に詳しいパークボランティアさんに講師をお願いし、大人中心のクマゲラ班、子ども中心のモモンガ班に分かれて砂丘林を散策しました。
 森の中に入ると、ふんわり雪をまとったツルアジサイのドライフラワーがどこか優雅な感じを漂わせていました。そして、耳が長めのキツネのようにユニークな形をしたオオカメノキの冬芽はみんなの人気者でした!


雪衣をまとったツルアジサイのドライフラワー


植物の他には、そこかしこにクマゲラのつつきあとを見ることができました。幹に穴が開けられた木の根元周辺にはクマゲラがつついた時に出た木っ端が飛び散っており、クマゲラが餌を探して意欲的に木をつついた様子が想像されました。
ユキウサギがカンバ類の木の枝先をかじった跡を見つけて、子どもたちと一緒に同じ枝先を折らないように注意しながら歯の間に挟んで見ました。繊維の固さが伝わってきて、ユキウサギの歯がいかに鋭く丈夫かを実感することができました。


ユキウサギのぬいぐるみを使ってウサギの生活を説明


その他には、モモンガの巣穴、そして、数頭のエゾシカの群れに出会うこともできました。私が個人的に見つけて嬉しかったのは写真の虫の卵です。シラカンバ(ダケカンバ?)の梢に丁寧に二列に産み付けられたマーブル模様の卵。
どうやらカメムシの卵のようです!さて、春にはどんなカメムシくんが孵化することでしょう! 楽しみです。


カンバ類の梢に規則正しく2列に産み付けられたカメムシ(?)の卵 春が楽しみ!

         
 冬の稚咲内砂丘林をたっぷり楽しんだ一日でした。
沢山の人数で頻繁に入ることは砂丘林の自然にとって好ましいことではないので、入る時期や回数には十分配慮しなければなりません。しかし、こうして年に一回みんなでじっくり砂丘林の自然を観察する機会を持つことで、生き物たちの棲みかであるこの場所をずっと先まで残していこうという気持ちを多くの人たちと共有していきたいと感じました。


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2009年04月10日サロベツの冬を振り返って(冬の活動報告)① 

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 賀勢 朗子

 長い冬がようやく終わろうとしています。原野の雪も大半が溶け、温かそうな地面が見えるようになってきました。ARブログには大変ご無沙汰してしまいました。ごめんなさい(反省)。
2ヶ月以上も前のことになってしまい怒られそうですが、一年後の冬のイベントの宣伝という意味でこの冬実施したふれあい行事をご報告します。

 皆さん、2月2日が何の日かご存じでしょうか?
節分?は2月3日。猫の日?は2月22日らしいですよ。
えっ? 彼氏彼女の誕生日?それはあまりにも個人的ですよ~。

実は2月2日は「世界湿地の日」です。
そんなの初耳だという方が多いと思います。
「特に水鳥の生息地等として国際的に重要な湿地に関する条約」
として知られるラムサール条約がイランのラムサールで
1971年2月2日に採択されたことを記念して定められました。
「世界湿地の日」には毎年テーマが設けられ、この日の前後は世界各地で湿地に関する様々なイベントが開催されています。今年のテーマは「上流から下流。湿地がみんなをつなげている。」
このテーマには、湿地を介した上流から下流までの水の流れとその流域に生活する動植物、そして私たち人間とのつながりを実感してもらおうという思いが込められています。
少し難しくいえば、ある川の上流から下流までの地域において湿地が果たしている役割、例えば、水を蓄えることで洪水を防いだり、水質を改善したり、動植物の生息地となったりというような役割の様々な恵みをもらって、動植物や人は生かされ、互いに繋がっているということを知ってもらおうというものです。
 ここサロベツ原野でもより多くの人に湿地の環境について知っていただくため、サロベツネイチャーゲームの会と稚内自然保護官事務所の共催でこのテーマに沿ったイベントを企画しました。
イベント名は、「下エベコロベツ川を歩こう!~つながる!湿地と川と私たち」です!

 イベントでは、サロベツ湿原に流れ込んでいる河川の一つで、過去に切り替えが行われた下エベコロベツ川河畔を皆でスノーシューを履いて散策し、魚道などを観察しました。「エベコロベツ」とは、アイヌ語で「魚(サケ)の豊富な川」を意味し、一説によるとこれが豊富町の名前の由来となったそうです。


下エベコロベツ河畔から見た青空

 そして、サロベツの現状について巨大航空写真を見ながらサロベツ仙人(豊富在住のパークボランティアさん)のお話を聴き、河川切り替えとその後湿原が変化した歴史について勉強しました。サロベツでは、人々の生活を豊かにするために湿地をよい農地に造りかえることが必要でした。そこで河川の切り替え工事を行って原野の水の状態を農地に適するように調節してきました。けれども、湿原ではそれが原因と思われる様々な環境変化も起きています。湿原の生き物たちは困っているのかもしれません。


サロベツ原野の巨大地図を使ったサロベツ仙人の説明の様子


さて、みんなでやったネイチャーゲームは次のとおり。
●カモフラージュゲーム(雪の中で自然の風景に溶け込んでいる人工物を探すゲーム)

隠した人工物の数が間違っていると何度もやり直しになります。普段、自然の中のものに注意を向けることが少ないので目が慣れなくてムズカシイ!

●サロベツ名前あてゲーム(クイズ形式でサロベツの動植物の名前を当てるゲーム)。

選ばれて前に出た人が、背後に掲げられているサロベツの生き物の写真を見た他の人たちからヒントをもらって、背後の写真の生き物をあてます。


ネイチャーゲームの一場面(サロベツ名前当てゲーム) 


●つながる!サロベツの運命の赤い糸(赤い毛糸を使ってサロベツの生き物たちの繋がりを体験するゲーム)

このゲームの名付け親は私です! サロベツに棲む動植物たち、キタキツネ、エゾシカ、ヒシクイ、モモンガ、サロベツの草花、アカエゾマツ、ヒシクイ、ヤチネズミ、サケなどなど・・・。みんな一人一人何かの生き物になり、生き物の間に「食べる、食べられる」、「お世話をしている、お世話になっている」などの関係があれば運命の赤い毛糸で次々に参加者の皆さんを繋いでいきます。全員が誰かと繋がりを持った後、湿原には様々な事件が起こります。「沼がなくなった」、「川に高いダムができた」、「アカエゾマツの森が切られた」、「水が干上がった」・・・。そして、皆で目をつむり、各事件で自分は直接影響を受けると思われる生き物役の人に糸を引っ張ってもらいます。すると、不思議。ピンッ、ピンッと糸の震動や張り詰めた感じが、他の生き物たちにも波及して伝わってくるのが分かります。みんな、互いに深く繋がっているのが実感できました。

 イベントをとおして、参加者の皆さんからは河川切り替えの歴史を詳しく知ることができてよかった、人の生活と湿原の環境の調和を保ちたいという想いを共有できる人達と知り合えてよかったなどの感想が寄せられました。私たち人間の暮らしと湿原の環境。両方が近接するサロベツで共存はとても難しい課題です。 でも、この課題を考える続けることを諦めないように、このようなイベントを来年も企画したいと思っています。


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2009年03月10日春よ、来い

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 岡田 伸也


今日3月5日は、今年になって初めて1日中の青空でした。
この冬、12月から2月までの間に、利尻の山麓から利尻山の山頂が見えたことが何回あったと思いますか?

たったの6回ですよ!!ひと月に2回ずつ、それもほんの僅かの間だけ。
それが、今日は大サービスで、日の出から日の入りまで1日中見えていたのです。

嬉しくて空を見上げると・・・、おや?
道路脇の視線誘導柱にスズメが2羽。
なんとなく警戒している様子。
おやおや、と思い、後ろに回ってみると、矢印の基柱になっている鋼管の穴からスズメが出入りしていました。


「いい青空だなあ」、と空を見上げると、矢印のところに何かいる・・・



近付いて見ると、スズメが2羽とまっていました。


鋼管のオーバーハング部分を巣にしているのでしょうか?矢印部分が風除けになりそうです。


久しぶりのポカポカ陽気に、スズメもひなたぼっこをしていたのでしょうか。
・・そんなに呑気じゃないかな?
でも、空を見上げるのって、ずいぶん久しぶりだなあと思いました。
視線誘導柱のお世話になるのも、あと何回あるのだろう。


***
ただし3月の天気は、冬と春とを行ったり来たりです。これを書いている3月6日は雨。利尻山に登山される方は、積雪・気象状況等に十分ご注意ください。


※視線誘導柱とは
道路沿いに設置されている、赤白の矢印のついた背の高い柱のこと。固定式視線誘導柱とも呼ばれるようです。除雪車の除雪作業や、吹雪で見通しが悪くなった時などに、赤白の下向き矢印によって道路の路肩位置をドライバーに伝えることなどを目的とするもので、雪国によく設置されています。



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2009年03月10日冬の利尻登山

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 岡田 伸也


3月になると、利尻山にも島外からの登山者・スキーヤーも増えます。
以下、参考程度に、私が歩いた2月末時点での利尻山北稜ルートの状況をお知らせします。

◆ ルート状況
[標高200m付近の樹林帯]
・ 積雪1m50cm程度(笹藪が埋まった程度)。山スキーならラッセルなし。
[標高600m森林限界付近]
・ 稜線で積雪1m50cm程度。雪質は、靴のつま先がちょうど良く刺さる程度。
・ 沢沿いルートなら、つぼ足の場合で膝上のラッセル。
・ 沢の中にデブリは見られないが、東側斜面の雪質はゆるそう。
[標高1200m付近(長官山~避難小屋付近)]
・ 稜線の東側斜面は吹き溜まり。1m程度の雪庇あり。
・ 稜線の雪質はアイゼンの爪がよく効く程度。


第2見晴台(標高1150m付近)から鴛泊市街を見下ろす。


[避難小屋~山頂(北峰)]
・ 稜線沿いは西側のトビウシナイ沢からの吹き上げ風が強い。雪質はアイゼンの爪がよく効く程度。
・ 山頂は風が弱く、積雪2m程度あり。(夏と同じで、北東、南西どちらの風でもあまり強くはないので、雪が溜まりやすい。)

◆ 避難小屋の状況
・ 出入りは北側に付けられた2階ドアから。積雪は3m程度。
・ ドアは押し開きタイプで、掛け金を外して開ける。ドアの位置は下写真の通り。
・ 位置は、ほぼ稜線上の最低鞍部で周囲の雪は固い。視界の悪い時(特に北稜を下降路として利用する場合)は、東側の吹き溜まり斜面に踏み込みやすく、見つけにくいこともありますが、雪質と風の強さも発見のヒントになるかと思います。
【避難小屋利用の注意】
・ ドア掛け金のかかりが渋くなっているので、使用後の閉め忘れに注意してください。


避難小屋概況。裏側(9合目側)からは発見しづらいので要注意。


◆ 利尻山の気象
・ この冬は降雪が少なく、山麓部では笹藪が出ていましたが、2月中旬~末までの連日の降雪で、現在は、ほぼ例年通りの積雪量(上記参考)になっています。
・ 北海道中央部と比べると、気温は高い(厳冬期でも山頂でマイナス20度を下回ることは少ない)のですが、日本海上の離島にあるため、季節風は強烈です。
・ 3月に入り、山頂部まで見える晴天と降雪を交互に繰り返しているので、積雪状況は上記の情報と大きく異なっていることが予想されます。

◆ その他
・ 利尻山には、スノーモビル等の乗り入れが禁止されている地区があります。詳しくは下記のURLをご覧下さい。
(利尻礼文サロベツ国立公園・利用規制情報URL)
http://www.env.go.jp/park/rishiri/guide/files/regu01.pdf
・ 上記は、あくまで2月末時点での概況に過ぎません。安易な登山は控え、登られる際には、状況判断に十分ご注意ください。
 

3月5日に撮影した、利尻山の全容(北面)。

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2009年02月16日樹木のかたち

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 賀勢 朗子

青々と茂らせた葉を落としてしまったら死んだようにみえる、というわけではなく、冬の樹木には張り詰められた緊張感を感じることがあります。
刺さるような寒さに奪われぬよう、裸の樹木たちが「伸びる、花を咲かせる、実を結ぶ」という生命力の源を冬芽に凝縮させ、しっかり握りしめているようにみえるからです。
冬芽、葉や実がついていた痕、そして枝ぶり。
これらを見ることは花や葉のつき方、枝の伸び方など、樹木がどういう構造をしているのか知るヒントになってくれます。
今回は原野の樹木の冬の様子をいくつか紹介してみたいと思います。


春を待つハルニレの大木

 原野に多いハンノキたちは、冬のこの時期、枝先にえんじ色の粗挽ソーセージのようなものを何個も垂らしています。
そして枝の途中にはマツカサ状の球体を上向きにつけています。これらは一体なんでしょうか? 
実はソーセージみたいなものはハンノキの今年の雄花が集まって房になったもの、マツカサ状の球体は去年の雌花の集まりが受粉後に種子となったときに種子を入れる容器の役割をしていた果穂と呼ばれるものです。
今年の雌花は小さく地味で目立ちませんが、雄花から少し離れた枝の途中にひっそりとついています。
私は、ハンノキやシラカバといったカバノキ科樹木が持つ房状の雄花が開花した様子が好きです。
寒さが緩んだ4月頃、堅く閉ざした房の表面が徐々にほどけて、つづりあわされた多数の鱗片となって長く垂れ、それぞれの鱗片の下から細かい雄しべがのぞくと、まるで精巧な細工をほどこしたかんざしのように見えます。


ハンノキの雄花(枝先)、雌花(雄花の位置から少し下ったところ)、去年の果穂


 次はヤチダモをご紹介しましょう。こちらも原野でよく見かける樹木です。
冬芽の出っ張りと葉痕の窪みが積み重なってできたでこぼこの枝はふしくれだった指のようで、私はこの木に男性的な印象を受けました。また、このでこぼこ模様は縄文時代の土偶にも見えるのですが、皆さんはいかがでしょう? 
ヤチダモには雄の木と雌の木があり、雌の木には冬の時期、秋に翼のある種を沢山つけていた軸の部分が残っていることが多くあります。


ヤチダモの枝先(でこぼこ模様が土偶に見える?)

 ところで、雄しべと雌しべを同じ木につける植物を雌雄同株(しゆうどうしゅ)といいます。
そのうちの多くは雄しべと雌しべが一緒になった花(両性花)をつけますが、
ハンノキのように同じ木に雄しべを持つ花(雄花)と雌しべを持つ花(雌花)を別々につけるものもあります。
一方、ヤチダモのように雄花と雌花を持つ個体が分かれている植物を雌雄異株(しゆういしゅ)といいます。
植物たちがそういった様々な雄と雌のかたちをとるのは自ら動くことのできない彼らがいかに効率よく子孫を残すかという問題と深く関わっています。 一般に、雌雄同株の樹木は相手がいなくとも同じ木の中で受粉を行い、種子をつくることができます。
反面、新たな遺伝子が取り入れられず繁殖力や生存力が低下してしまうという危険にもさらされています。
同じ木の中で受粉を行うことの報酬より損失が大きくなる場合があり、それが雄の木と雌の木を別々に出現させた主な理由と考えられているようです。

 ハンノキとヤチダモについて、これから花になる冬芽、去年の実の痕、葉が落ちた後の枝ぶりなどについて紹介しました。
樹木の持つ美しくおもしろいかたちにはいろいろな意味がかくされています。
特に、冬の樹木からは夏とは違って樹木のつくりの原型のようなものが見られるのではないでしょうか。
皆さんも冬の樹木を観察してみてはいかがでしょう。


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