北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

ウチダザリガニとの戦い ?個体測定編?

2007年09月10日
洞爺湖
「個体測定」なんていうと堅っ苦しく聞こえるがなんてことはない、カラダの長さや重さを測る、いわゆる身体測定だ。先日のパークボランティア養成研修会に参加した際、講師の先生が言ってた。自然ガイドをする時はできるだけ専門用語の使用を避け、誰にでもわかる言葉でって。そのとおりだ。なのでレンジャー日記もなるべくわかりやすく書こうと思う。

本題に戻す。捕獲した、いや、とっつかまえたザリガニは一人残らず身体測定をする。見栄張ってこっそり背伸びしたり、まして最近太ってきたからといって「具合悪いから休みます」なんてことは許されない。一人ずつの正確なカラダの記録を残し、それを元にザリガニの暮らしぶりを探ってしまおうってわけだ。例えば身長や体重のほかに、ハサミの有無なんかもチェックする。同じカゴワナに片手や、時には両手のないザリガニが多いってことは、その周辺ではザリガニ同士の喧嘩が多いってこと。=生息密度が濃い… いや、同じ場所に大勢が暮らしてる「都会」ってことになる。

湖から事務所までザリガニを護送し、そこからひたすら身体測定だ。これがなかなか骨がおれる。まずオスかメスか。目からお腹までの長さと、目から尾の先までの長さ。そして体重。あとはハサミの有無、卵を持ってるかどうか、殻が柔らかいかどうか(柔らかいのは脱皮後まもない奴)なんかをチェックする。たくさん捕れた日はこれを延々と繰り返す羽目になる。200匹捕れたら200回、500匹捕れたら500回。(ちなみに9月6日には一日で1024匹捕れた…。)

100匹を超えたあたりからかなり飽き始める。気分転換に背伸びしたあと、デカい2匹を選んで向かい合わせ、戦わせてみたりする(でっかいのはノロノロしてて戦わないけど)。で、ため息まじりにまたバケツに手を伸ばし、ザリガニをつまみ上げ測定再開…。

今年度初めに比べると、測定スピードが格段にアップした。通常オスメスの区別はザリガニを裏返して、お腹の辺りに小さい足のような物(生殖器)があるかないかで判断する。でも最近では、上からパッと見ただけでオスメスがわかるようになった。尾の部分の横の広がり具合を見る。幅広なのがメスだ。オスのほうがハサミが大きく、また上半身(?)部分が長くて下半身(尾)が短い「頭でっかち」だ。親近感わきます。メスは尾の裏側に卵を抱えなきゃいけないから、尾が長めで幅も広いんだな。

さらに最近、もう一段階上の領域に踏み込んだ。目をつぶって、尾の部分を触るだけでオスメスがわかるってコトに気づいた。盲パイならぬ盲ザリガニ。尾の部分の角張り具合が決め手だ。体長5cm未満のザリガニだとたまにはずす時もあるが、9割以上の確率で的中する。かなりの高打率。

なんとなく一人で嬉しくなって、盲ザリガニしながら測定してたら、さらにもうひとつ気づいたコトがある。目をつぶって、指を挟まれないように、ソロソロと尾に触ってオスメス調べるよりも、ガツッとつまみ上げて、ガバッと裏返して、尾の裏を見た方が早いってコトだ…。

洞爺湖からウチダザリガニがいなくなりますように。


どっちがオスでどっちがメスかわかりますか?
左がメス、右がオスです。