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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

知床五湖の冬季利用

2008年02月27日
ウトロ
道道知床公園線は、例年11月下旬から4月下旬まで、積雪により冬期通行止めとなっており、岩尾別橋ゲートから奥への立入りは原則として認められていませんでした。しかし今年度から、登録されたガイドを引率者とした場合のみ(※1)、特例的に立入りが認められ、すでに岩尾別橋ゲート奥の知床五湖地域の冬季利用が試行されています(事務局:知床斜里町観光協会)。
知床五湖地域の冬季利用には、エコツーリズムの理念に基づく冬季利用のあり方や、ルール作り等の検討を行うことを目的として、今年度から3年間の試行期間が設けられています。
利用の実態を確かめるため、スキーで知床五湖へ巡視に行ってきました(もちろん業務として許可を得ています)。


岩尾別橋ゲートの少し先の道路上です。今回の巡視中に見かけた方は1名(2名のガイドが引率)だけでしたが、道路上や知床五湖周辺にはこのような多数のスキー跡がありました。


晴天に恵まれ、道道沿いから知床連山がきれいに見えました。道道沿いにおいて排泄の跡(※2)や、利用できない範囲(※3)でのスキー跡等は見あたらず、これといった問題もなく巡視を終えることができました。


凍結した1湖の上をスキーで歩いて移動(※4)。冬ならではの楽しみ方の一つです。

凍結した2湖と知床連山が一望できます。カラ類等の小鳥のさえずりも聞こえてきました。

同じく凍結した5湖です。5つ湖の中で最も静かな雰囲気が感じられます。

高架木道展望台から望むオホーツク海です。うっすらと流氷が見えます。


最初にも述べましたが、今回の知床五湖冬季利用は試行の段階です。これからの利用状況の調査や記録に基づき、利用のあり方について議論がなされ、より適正な利用のためのルールが作られていくことと思います。今後恒久的に、冬季利用できるようになるかはまだわかりませんが、行かれる方は事故の無いように十分注意し、冬の知床五湖を楽しんでほしいと思います。

<注意事項>
 
※1 知床五湖園地は冬季の利用は想定されておらず、管理もされていないため、引率指導者(ガイド)付きの利用のみが認められています。また通常人が入らない奥地での利用のため、さまざまな自然環境への影響や安全面でのリスクがあり、立入りにあたってはいくつかのルールが定められています。利用の際はガイドの方の指示に従ってください。

※2 気温が低い冬は、排泄物がバクテリアにより分解されずにそのまま残ります。春先暖かくなった頃、道路周辺が排泄物だらけということにもなりかねません。携帯トイレを御使用ください。

※3 今年度ガイド利用が可能な期間は、2/5~3/22までです。また、岩尾別温泉に至る道路(町道)は雪崩・滑落の危険から、道道知床公園線沿いの100㎡運動地は、植栽木の保護・遭難のリスクの低減等の観点から、利用はできません。


※4 凍結した湖の氷は、時期や日によって厚さが変化します。すでに湖面上にルート跡がある場合も、氷の強度が弱まっている場合がありますので、ガイドの指示に従ってください。

※ ヒグマは2月下旬頃から目覚めます。また食べかけのエゾシカの死体等に雪を被せて近くで見張っていることがあります。近づかないように雪面の状況に注意してください。ヒグマ撃退スプレー等を携帯しているとなお良いと思います。