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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

地球のいのち、えがいてみよう

2010年02月26日
洞爺湖
みなさん、生物多様性という言葉を聞いたことがありますか?最近は、新聞やニュースなどでよく耳にする方もいらっしゃるかもしれません。
生物多様性とは簡単に言うと・・・
「生きもの」たちの 豊かな「個性」と「つながり」のことです。(※1)
地球上には微生物から動植物にいたるまで数え切れないほどの「生きもの」がいます。これまでわかっているものだけでも約170万種といわれています。地球上の「生きもの」は全部で何種とハッキリいうことは難しいですが、それでも1000~3000種を超えるのではないかといわれています。しかも、私たちの顔がそれぞれ違うように、「生きもの」でもそれぞれ違う「個性」を持っています。
  そして「いきもの」は、地球上にある森、里、川、海などいろいろな場所に、住む場所を見つけています。また、そこの環境とそこにいる「生きもの」同士の「食う・食われる」や「利用したり、されたり」という様なかかわりあいによって「つながり」を作っています。この「つながり」には同じものはひとつもなく、そこからいなくなってもいい「生きもの」もいません。それぞれの「生きもの」がそこで重要な役割を果たしています。

  今年2010年は生物多様性年です。10月には名古屋市で生物多様性条約締結国会議(COP10)が行われます。これを機に「生物多様性」に対する関心を深めてもらうため、全国46のビジターセンターで「地球のいのち、えがいてみよう」を実施しています。この企画は、各国立公園の自然環境を描いた模造紙に、その場所に住んでいる「生きもの」から“見た”“見たい”「生きもの」のぬりえを選んでもらい、色をつけて貼り付けてもらうというものです。
洞爺湖では縦220cm、横320cmほどの大きな模造紙へ絵の具を使い、多くの水をたたえるカルデラ湖や川、火山地帯や温泉街、田園地帯を描きました。学生卒業以来、絵の具の使用は皆無で絵のセンスを問われる作業でひやひやしました。また、さらなるセンスを問われたぬりえのイラストも全て手作りで、多くの方の協力を得て、たくさんの個性ある?!ぬりえが完成しました。イラストは今年、洞爺湖周辺で調査を行っている酪農学園大学の学生さんにもご協力をいただきました。



洞爺湖ビジターセンターの様子です。洞爺湖ビジターセンターは、洞爺湖や有珠山を中心に温泉街も含めた自然環境を模造紙に描きました。洞爺財田自然体験ハウスでは、洞爺湖と田園地帯や川を描いています。


 
日頃、みなさんが生活している所ではどのくらいの「生きもの」を目にしますか?私は洞爺湖に来てさまざまな「生きもの」の存在を意識して生活しています。湖畔には巨木があり、春先には小さな花々が咲き、夏、山は緑まぶしく、そしてたくさんの野鳥が鳴いて、秋には落葉の上をエゾリスが駈けぬけ、冬にはキツネやユキウサギの足跡を目にし、1年を通して「生きもの」が自分の周りの環境に生きていることを知ります。洞爺湖とその周辺では数え切れないほどの「生きもの」が存在するでしょう。それは、一般に日本中どこでも見られるような「生きもの」もいれば、北海道にしかいない固有の「生きもの」や洞爺湖の自然環境を特徴づけるような「生きもの」もたくさんいます。私たちも含めてその「生きもの」たちはつながっています。
洞爺湖では、洞爺湖ビジターセンターと洞爺財田自然体験ハウスにて行っています。ぜひみなさんのご参加をお待ちしております!5月16日まで開催しています(予定)。(※2)

 
2月14日、洞爺湖で行われた「生物多様性フォーラム」に参加してくれた地元の子供たち。洞爺湖にいる生きもののぬりえの中から選び、図鑑を見ながら真剣。「この生きもの洞爺湖に本当にいるの?」「これ見たことがある!」といった声もありました。大人の方も参加してくれました。

ぬり終わったら、その生きものが生活している場所に貼り付けます。

※1 詳しくは・・・http://www.biodic.go.jp/biodiversity/まで

※2 「地球のいのち、えがいてみよう」は 洞爺湖自然保護官事務所、
洞爺湖ビジターセンター等利用協議会の主催、酪農学園大学の協力を得ています。