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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

鳥たちで賑わう涛沸湖

2010年12月03日
ウトロ
 知床半島のウトロから網走方面へ車で約1時間のところにある涛沸湖には、今年もたくさんのオオハクチョウが飛来しています。
涛沸湖はオホーツク海につながる汽水湖。四季を通して多くの鳥が飛来し、国指定鳥獣保護区であるとともにラムサール条約登録湿地に指定されています。

 この日はオオハクチョウ以外にもオナガガモやマガモ、オジロワシ、オオワシ、ユリカモメなどが観察できました。
観察していた中でも数百羽のユリカモメが乱舞している景色は圧巻でした。地元の方のお話しによると、湖に住むワカサギを食べているのだとのこと。鳥たちにとって涛沸湖は豊かな餌資源と安心して休息できる重要な場所となっているようです。

涛沸湖とオオハクチョウ

 さて、稚内市大沼でカモの糞便から高病原性鳥インフルエンザウィルスが検出されたのに伴い、環境省では涛沸湖など鳥が多く集まる場所で渡り鳥の種類や数を調べる調査や衰弱・死亡した鳥がいないかなどの監視強化を行っています。
 鳥インフルエンザウィルスはもともとカモ類などを自然宿主として存在していますが、ニワトリなど家禽に感染した場合に高い病原性をもたらすタイプ(高病原性)が知られています。
 感染した鳥との濃密な接触等をしない限り人には感染しないと考えられています。日常生活においては、排泄物などに触れた後には、手洗いとうがいを行えば、過度に心配する必要はありません。


渡り鳥のカウントの様子

 野鳥はさまざまな原因で死亡しますが、同じ場所でたくさんの鳥が死亡していたら、鳥インフルエンザに限らず野鳥にとって重大な感染症や中毒の可能性がありますので、触ったりせずに地方自治体等へ連絡しましょう。愛嬌のある鳥たちにはついつい近づきたくなってしまいたくなるかもしれませんが、そっと見守るようにしてください。人の靴底への糞の付着等により、ウイルスを非意図的に拡散させてしまうおそれもあることから、このことにも注意していただきたいですね。
 

愛嬌のあるオオハクチョウですが、陸地に誘引するような餌やりは控えましょう