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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

目を凝らしてみれば

2012年07月03日
東川
 花真っ盛りの大雪山、この時期によく尋ねられるのは当然のことながら花の名前。まがりなりにも腕章をつけて山に入っている身分としては「分かりません」というのは何とも頼りない・・・。
 とはいえ、「花の百名山」とも言われる富良野岳に代表されるような花の種類の多い山などでは「これ何だっけ?」としばらく昨年までの記憶を辿る(たどる)時もしばしば。今の時期の山行には花図鑑は欠かせません。

 富良野地方の最高気温が32℃と記録的な暑さを記録した6月の最終土曜日(6/30)に高山蝶パトロールで富良野岳を訪れた際、同行したパークボランティアの方によるとこの日見られた花の数はなんと52種類あったそうです。さすがは花の山、富良野岳です。(それを数えられる方も凄い)

 同じ色、形でもよく見ると違う花というのは多々あります。よく尋ねられるのが

例えばこちらミヤマキンバイ(左)とメアカンキンバイ(右)。※どちらも「バラ科」
遠目で見るだけでは一見「同じものですか?」と尋ねられることがしばしば。
しかし、目を凝らしてよく見ると花弁の形や付き方が違うのがよく分かります。


そしてこちらはご存じエゾノツガザクラ(左)。※ツツジ科
ズームアップしてみると表面に細かい毛が生えているのが分かります。
良く似たコエゾツガザクラ(右)にはこのような毛がほとんど生えないのが特徴です。

「淡い白色がコエゾツガザクラ?」とよく言われることがありますが、一概にそうではないようです。エゾノツガザクラでも白花が付く事もあるようなので、そうなると花冠の形状や毛の付き方等で見分けなければなりません。じっくりと観察することが大事ですね。
 ちなみにコエゾツガザクラはエゾノツガザクラとアオノツガザクラとの雑種といわれています。そしてアオノツガザクラの変種としてさらにニシキツガザクラもあります。本当にツガザクラは奥が深い。

 この2~3年で大雪山を訪れる人達にも徐々に変化が見られ、とにかく山に登る、山頂に立つことを目的に来られる方が増えて来ているような気がします。
 もちろん人によって目的はそれぞれでしょう。が、たまにはゆっくり花を眺めながらののんびり登山なんていうのもいかがですか?何か別の新しい発見があるかもしれません。
 なんと言っても大雪山にはここでしか見られない固有種の花が多くありますから。

 ただし、花を見るのも写真を撮るのも登山道上で。くれぐれも花畑に踏み込む事の無いように。また狭い登山道の上では写真を撮る時など、くれぐれも譲り合いの精神でお願い致します。


富良野岳山頂付近ではエゾノハクサンイチゲ(写真)が稜線を渡って来る心地よい風を受けて気持ち良さそうに揺らめいていました。雲上の花畑という言葉がぴったりくるのが現在の富良野岳でしょう。

 お知らせ。
6/30未明から始まった十勝岳火口の燃焼現象により、周辺では入山の規制が行われております。詳細につきましてはこちらのHPをご覧ください。
http://cgi.eolas-net.ne.jp/eolas-lab/daisetsu/news/view.php?line=25