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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

「長いトンネルを抜けると世界遺産であった」

2012年12月11日
ウトロ
 ここ数日の猛烈な暴風雪で道路という道路が雪に埋もれ、ガッチガチに凍りついたり、グッシャグシャの氷泥にまみれたり……自動車の運転が恐ろしい季節です。たとえばカーブ!急カーブが特に恐ろしい!


 12月7日14時をもって、そんな急カーブがひとつ、静かに役目を終えました。


 これまでウトロの町の玄関は、チャシコツ崎という岬でした。岬の付け根に岩盤の切り通しがあり、左右に岩壁が迫って道幅が狭く、さらに曲線半径50mの急カーブになっています。人呼んで――「亀岩のカーブ」。(チャシコツ崎を遠くから見ると亀の形に似ており、通称「亀岩」と呼ばれています)

 ウトロへ向かい車を走らせてきた観光客の皆さんの中には、これまで快適走行していた国道の感覚で亀岩の急カーブに飛び込み、あわや!大惨事寸前、ヒヤリ・ハットを経験した方もいらっしゃるのではないでしょうか。


 この急カーブの危険解消のため、2年間の工事を経てついに完成!そして12月7日14時より通行スタートとなったのが、「ウトロトンネル」です!



巡視の帰りに、早速ウトロトンネルを通りました。


 当日は巡視の日でしたので、その帰りに早速ウトロトンネルを通りました。シミ一つ無い、なめらかな白い壁。できたてホヤホヤです。実はトンネルを通るのはこれが既に2回目。ではいつ1回目を?もちろん夜中にトンネルに忍び込んだりなどはしていません。


 供用開始に先立ち、去る12月3日、「トンネルに車が走る前に、ど真ん中を好きなだけ歩こう!」というイベントが開催され、これに参加したのです。当日はウトロの地域住民に皆さんが老若男女大勢駆けつけ、新たな町の玄関・ウトロトンネル(延長378m)をワイワイと眺め歩きました。



お菓子、お茶が振る舞われ、沢山の方がトンネルを歩きました。


 トンネル内の壁にプロジェクターが投影され、2年間に及ぶ工事の一部始終を紹介する映像が流れると、観衆から拍手が!工事関係者の皆さんの気持ちを思うと、胸にグッと熱いものがこみ上げます。(私は工事に関わっていませんが)




ありがとう亀岩のカーブ。どうぞよろしくウトロトンネル。


 今後ウトロにいらっしゃる方は、亀岩のカーブではなく、このウトロトンネルを通ることになります。交通安全の面では危険なカーブですが、実はウトロの町と知床連山を一望でき「遂にたどり着いたぞ!知床半島!」感を味わえる、絶景ポイントでもあります。車で通り抜けることはできませんが、往事の景色を偲んで足を運ぶのもまた、一興です。