ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大雪山国立公園 上川

159件の記事があります。

2013年03月26日エゾユキウサギ

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

こんにちは、上川もだいぶ寒さが緩んできました。
今朝8時の積雪の深さは95㎝で、積雪の深さの平年値(1982年~2010年)の57㎝を38㎝も多く、まだ大部分は雪景色ですが、それでも落葉樹の新芽が膨らみ色づいてきたり、我が家の換気扇で雀が巣作りを始めたり、日中の道路はアスファルト面がでてきたり、とすこしずつ季節が移るのを感じています。

さて、上川自然保護官事務所では今年度から、大雪山国立公園内のスノーモビル規制区域内におけるスノーモビルの動向を調査するために、とある場所にセンサーカメラを設置しています。

先週、そのカメラのデータ回収を含めたパトロールで現地に行った際に、カメラ周辺にエゾユキウサギの足跡がたくさんあるなと思っていたら、ちゃんとその姿が写っていました。警戒心が強い夜行性の動物なので、日中会う機会は滅多にないか、もしくは気がつかないので、夜間活動の様子が写っていたのは非常に嬉しいです。動きのある写真なので紹介します。(ウサギは写真中央下に写っています。)



             ↓


2羽のにらめっこ。縄張りでもぶつかったのでしょうか。
この写真を最後にその後どうなったのかは分かりませんが、カメラの前でちょっとした出来事があったのは事実で、その場面を想像するだけでもほほえましく感じます。いつも足跡に導かれ進んでも追ってばかりで、真っ白い雪原で目をこらしてもなかなか見ることができませんが、そこにいると思うだけでも心がほっこりします。こうやってカメラでその姿をとらえると、ユキウサギが活動できる環境が残って欲しいという思いが増しました。

--=≡★エゾユキウサギ★≡=--
学名:Lepus timidaus ainu
   Lepusはラテン語でウサギtimidausは臆病なの意味。
   ユキウサギの一亜種。
分布:北海道、サハリン、国後島に生息する。
   他ヨーロッパからシベリアまで生息している。
生態:活動は主に夜間だが昼も活動する。
   植生は草のある時期は草類を食べ、積雪期は樹皮や若芽を食べる。
   木には登らない。水に足までまれに入ることはあっても泳いだりはしない。
   毛色は夏冬とも耳介先端部が僅かに黒く、目の周りは白毛。
   夏毛は他部位が褐色、冬毛は白色。
   体長は50 - 60cm、尾長は5~8cm、耳長は7 - 8cm、体重は1.6~3.95kg。
   日本の野生種のウサギとしては最大。
   体格に対して耳が小さいのは、寒冷地に生息しているので、耳からの体温の放熱を抑えるためと考えられる。
   発情期は2月~7月で、出産期は4月~8月。年に1、2回で最多で3回。


6月下旬の赤岳山頂付近で撮影。冬毛から夏毛へ換毛中。

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2012年12月20日できることから

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

簡単で身近に取り組める環境にやさしいこと・・・

限りある資源を大切に使うこと・・・ゴミを減らす(Reduce)、くりかえし使う(Reuse)、再生利用(Recycle)の3R活動を心がけよう!!

【毎年8月第1日曜日は自然公園クリーンデイです。層雲峡温泉街でゴミ拾い。】



地球温暖化防止のためにできること・・・なるべく二酸化炭素を出さないようにエネルギーの消費を抑えよう!!

【紅葉期はマイカー規制を実施しています。ヒグマ情報センターで朝のミーティング】



生物多様性を守る為にできること・・・もっと自然を知って、関わって、自然環境を大切にしよう!!

【PVと外来種駆除活動】



「環境について学び、よりよい環境をつくっていくために、自分たちでは何ができるのかを考える」のテーマで、上記のことを昨日上川中学校3年生に話してきました。

【12月19日環境について講話中。みんな真剣に聞いてくれました。(写真提供:上川中学校)】



地球温暖化も廃棄物問題も自然環境問題も、つながり合っています。
自然と恵みを守るため、幸せな生活のために、環境に配慮した生活を心がけたい、と改めて再認識した生徒たちとの時間でした。



---===★☆★
今年は上川も層雲峡も雪がたくさん降っています。
平均と去年と今年の最深積雪(気象庁調べ)を比べると・・・
12月平均積雪量は上川:61㎝、層雲峡:75㎝
2011年12月19日上川:49㎝、層雲峡:55㎝
2012年12月19日上川:90㎝、層雲峡:106㎝
数字にするとその差は歴然です。
サラサラの雪に足が埋まる感覚は気持ちよく、晴れた日の雪景色は息をのむほどほど美しい。
冬の大雪山もサイコーです。


12月19日層雲峡対岸園地から黒岳

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2012年10月05日まだまだ紅葉

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

残暑が厳しく、例年だと色づき始めてもいい日にちになっても青々としていた9月。もう今年の紅葉は期待できないかも・・・と思っていた矢先、9月下旬に急激に色づき始め、10月に入れば、眩しいくらい派手に染まりました。いつもなら、初雪にせかされるように終わってしまう紅葉期も、今年はじっくりと長い期間楽しめます。


雲の平から烏帽子岳方面(10/3)

例年に比べれば暖かいとはいえ、もう10月。穏やかな日がつづいて、降雪なんてピンと来ませんが、山の稜線に上がれば気温も低く吸い込む空気もヒンヤリとします。黒岳石室周辺では、10月2日に初霜、3日に初氷が確認されました。4日には、ニセイカウシュッペの登山道で雪虫を飛んでいるのを確認しました。登山口につながる林道も冬季閉鎖の時期に入ります。1枚羽織る物、毛糸やフリースの物など防寒対策は必須です。

また、高原温泉、銀泉台などは、マイカー規制が終わっていますが、紅葉入山の方で林道及び登山口は混み合っています。林道でのすれ違いなど、十分にお気をつけて通行してください。

*登山口につながる道路情報及び各施設情報*
銀泉台:2012年10月11日午前11時から冬期間通行止め
高原温泉:2012年10月11日午後5時から冬期通行止め

ヒグマ情報センター沼巡りコース:10月9日まで。
黒岳石室バイオトイレ:10月2日に閉鎖しました。


高原沼巡りコースの滝見沼(10/2)

高原沼巡りコースの式部沼(10/2)

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2012年09月14日大雪山マイカー規制のお知らせ

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

2011年は9月22日に旭岳で初冠雪が記録されたのですが、今年はまだ暑い秋の大雪山・上川です。暑いけれど朝晩は気温が下がり始め、例年に比べゆっくりですが、少しずつ色づき始めています。


9/12の赤岳のコマクサ平の様子。
ウラシマツツジ、クロマメノキなどが赤く染まっています。

いまのところ枯れている葉っぱも少なく、このままじっくり冷えてくれれば、綺麗な紅葉が望めるかもしれません。
紅葉といえば、今年も大雪山の銀泉台・高原温泉地区では、マイカー規制を行います。日にち、時間などお間違えの無いようにお気をつけ下さい。

・道道銀泉台線
 期間:9月14日(金)午後7時~9月23日(日)午後5時
 期間中は24時間一般車両は通行できません。
・町道高原温泉線
 期間:9月21日(金)午後7時~9月30日(日)午後4時30分
 16時30分から19時までの間は通行可能です。
 高原山荘宿泊者は通行可能です。

問い合わせ先:上川町役場
参照URL:

さて、今年はどんな紅葉を楽しめるのでしょうか。

*少しずつ染まりゆく大雪山の様子*


9/13お鉢平から黒岳方面を望む。


9/13当麻乗越からの沼の平。黄金色の草に彩られたたくさんの沼のコントラスト。


9/13チングルマの輝く綿毛と、場所によって紅葉の進みが違うチングルマの葉の模様で彩られていました。

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2012年07月03日今年もはじめました

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

やっと夏らしくなった上川です。
大雪山の稜線上も高山植物が咲き誇り、カムイミンタラ(アイヌ語で神々の庭という意味)といわれるように、高山植物に囲まれて本当に天国のようです。
さて、大雪山も夏山シーズンに突入し、登山計画のために情報を集めている方も多いと思います。上川事務所では、上川駅前という立地をいかして、表大雪山の山の情報の掲示を今年もはじめました。




層雲峡ビジターセンターで発行している山情報、ヒグマ情報センターで発行している高原沼情報、旭岳ビジターセンターの登山情報など、各施設で出している旬な情報と、巡視で撮影した登山道情報や花情報も一緒に掲示していますので、列車を降りた時、バスを待っている時、どこに行こうと迷った時などは、参考にしてください。

*6月26日に行った小泉岳周辺の花と景色*


白雲岳と稜線の花。
チョウノスケソウ、ホソバウルップソウ、エゾオヤマノエンドウ、ミヤマキンバイなど。

高根ヶ原トムラウシ方面と稜線の花。

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2012年06月22日バランス

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

いるのは人から聞いて知っていましたが、なかなかその姿を見たことはありませんでした。
先日の緑岳巡視の帰り、不意に足元に現れた小さな物体が、こちらを振り返った瞬間目が合った!!

かわいい!!
一瞬で心奪われるほどの容姿。



エゾオコジョです。
もう夏毛に変わっていました。

こちらを確認しては、近くの隙間を通って、あちこちの穴から顔をのぞかせてくれます。
かわいいと見とれていたら、少し離れたところからはナキウサギの鳴き声が聞こえました。
エゾオコジョは、小柄な体でかわいらしい顔つきですが、立派なハンターで、岩塊地を中心に分布していて、ネズミや鳥、虫などを食します。また同じ生息地のナキウサギを襲うともいわれています。

襲う物と襲われる物、どちらも頑張って大雪山で生き残っていてほしいと願うばかりです。

自然の絶妙なバランスで成り立っている生態系を実感したな~と実感していた帰り、登山口の高原温泉付近では、エゾシカに合いました。なにやら怪しい動きをしているのでしばらく見ていたら、生まれて間もない子鹿が現れ授乳しはじめました。




母親のこちらから目線を外さない姿や、子どものおぼつかない足取りで歩く姿、身を隠してるつもりで顔を低く下げて車が通り過ぎるのを待っている姿など野生の生き抜く姿を見てたくましさを感じました。


目も合っていますが、一応身を隠しているようです。

エゾシカ問題が叫ばれる昨今ですが、生まれて間もない子鹿を見ると何ともいえません。かわいい~って思うだけでは駄目かもしれませんが、かわいい~って思うからこそ、次の何かにつなげたい。生態系のバランスについて、人と野生動物の関わりについて物思う1日となりました。

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2012年06月15日勤労体験学習

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

将来何になりたいか?
学生の頃よく聞かれた質問です。
子どもの頃から、好奇心旺盛だった私は、本やテレビなどの影響を受けては、あれやこれやといろいろな妄想にくれていました。

上川中学校2年生の男子を一人、14,15日と勤労体験学習で受け入れました。
将来どんな仕事をしたいのか、まだわからないというシャイな彼は、自然保護官事務所がどんなことをしているのかわからないけど、おもしろそうだと思って・・・とやってきました。

1日目は、外来生物のセイヨウオオマルハナバチの生息調査をしました。
町内の公園で、満開のツツジの間をぬぐってハチ探し。




最初は控えめでしたが、慣れてきたらハチ探しに積極的になり、マルハナバチの種類の確認のために真剣にハチを追いかけていました。
結果、この日はセイヨウオオマルハナバチに会うことは無く、変わりに在来のハチのエゾオオマルハナバチなど29頭確認しました。

2日目は、愛山渓地区の沼の平を巡視しました。
滝コースで沼の平まで行き、帰りは三十三曲がりで下りてきました。


登山道でエゾシカの足跡を見つけたので記録中。

雪解け後の登山道には倒木がいくつかあり、切ったり、どけたりの撤去作業をしたり、ハチの羽音が聞こえたら、マルハナバチかどうかの確認、残雪の状況などを見ながら進みました。


山歩きになれていないのに、彼は頑張ってくれ、沼の平についたときには、疲れていたものの、「お~すごい!!」とか「(景色が)綺麗!!」とか「こんな場所があるんだぁ!!」と喜んでいました。


沼の平で開花状況記録中。

この勤労体験学習で、少しでも将来なりたい職業の手がかりになれたのなら、いいのだけれど。




!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
まだ滝上コースは残雪がところどころに有り、道が不明瞭な箇所が数カ所ある上、村雨の滝付近の残雪は急斜面ですので、お気をつけ下さい。
三十三曲がりも少し残雪がありますので、踏み抜けないように注意しながら歩いてください。

滝コース途中の残雪状況。

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2012年06月14日今の緑岳

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

6月12日の高原温泉から緑岳の様子です。

登山口から、展望台までは、少し残雪があります。凍っているところなどもありますので、通行の際は滑らないように気をつけて下さい。
この日は天気予報がいい方に外れ、夏道がでている展望台まであがると、高根ヶ原や忠別岳の展望が見渡せました。樹林帯を越えると、第一花畑から第二花畑、そしてガレ場までは、びっしり雪です。


第一花畑から。
第一花畑からガレ場入口までは雪がつながっています。

天気が悪く視界不良だと方向を見失うかもしれませんので、要注意です。
晴れていれば、方向がわかりますが、まだ今のところ、少しのピンクテープしか目印はありません。

広場からガレ場、山頂までは、雪がなく登山道を歩き、花を見ながら山頂まで楽しめます。


ミネズオウと高根ヶ原や忠別岳。
登山道脇では、高山植物が気分を盛り上げてくれます。

山頂から見える、白雲岳そして旭岳の雪の白と山肌の茶色の縞模様が芸術的です。


山頂から旭岳方面。
ミヤマキンバイの黄色が輝いていました。

花の開花状況は、ミヤマキンバイ、メアカンキンバイ、キバナシャクナゲ、イワウメ、コバメツガザクラ、ミネズオウ、エゾオヤマノエンドウなどが咲いています。これから次々と花の咲き出すのが楽しみの季節になりました。

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2012年06月12日今の黒岳

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

層雲峡の新緑も際立ってきて、事務所から見える大雪山の山肌も、白から茶色へと変わってきています。6月になると、夏山の準備に入るようになり、先週末には高原温泉の道路が、今週末には銀泉台への道路が冬季閉鎖が解除され、いよいよかというと思うと気持ちがそわそわしてきます。

先日の6月7日に黒岳に巡視に行きました。


黒岳全景

全体的に雪解けが早く感じますが、それでも7~8合目はまだ残雪が多くあるので、雪対策は必要です。


7合目から8合目の様子


9合目からは夏道も出ているところもあり、山頂やその周辺は雪はありません。雪解け状況の目安となる石室付近の雪はだいぶ溶け石室の屋根は出ていて、入口付近のみ残っている程度でした。石室は6月16日からの営業になりますので、今頃準備が始められているでしょう。


ポン黒岳から

この日は天気がいまいちでしたが、山頂から見た北鎮岳、お鉢周辺、北海岳は、残雪と山肌のコントラストが見応えありました。いつの季節も大雪山の景色は雄大で素晴らしい。


山頂付近はミネズオウが見頃。
ほか、ウラシマツツジ、キバナシャクナゲ、イワウメ、ミヤマキンバイなどが咲いていました。

いつもよりは雪解けは早いですが、山頂に上がるまでは、雪の上を歩かなくてはなりませんので、それなりの装備と十分な注意が必要です。


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2012年06月06日紅葉谷で森林浴

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

層雲峡の散策路の紅葉谷は、3万年前中央火山が大爆発し火砕流が発生し冷え固まってできた柱状節理と、噴火口のお鉢平から流れでる赤石川を見ながら歩ける、長い年月で作り上げられてきた層雲峡の魅力が凝縮している散策路です。この時期は新緑のいろいろな緑色の光を浴びて森林浴を楽しめます。




6/5の森の様子。
水の音、枝葉のさわめき、樹木の香り・・・
リラックス効果のあるものがいっぱいあります♪




途中にはクマゲラの採餌木。
採餌痕や、はぎ取った樹皮も落ちていて、クマゲラの存在を感じます。
今回も遠くからクマゲラの鳴き声が聞こえました。
いる!!と思うと嬉しくなります。

*クマゲラ・・・アイヌ語名ではチプタチカップカムイ、舟・掘る・鳥・神という意味があります。



↑「舟掘型」の楕円形の穴を幹にうがち、樹木の中にいるアリを補食したり、樹皮をはぎ取りその下にいる昆虫を探すこともあります。




入口に置いてある案内マップを見ながら、散策してみてはいかがでしょうか?


*紅葉谷散策路の案内(大雪山国立公園連絡協議会HP)
 http://www.daisetsuzan.or.jp/daisetsu/momijidani.htm

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