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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

松仙園の積雪モニタリングを行いました。

2023年07月03日
上川 村岡龍岳
大雪山ではすでに各所で山開きを迎え、夏山シーズンが始まっています。
そのような中、湿原植生が広がる松仙園の山開きは7月14日です。
毎年7月14日から9月30日までの雪がない期間に登山道を開いています。
植生へのダメージを抑えつつ、持続的な利用を図るためです。
開通前は立ち入らないようお願いします。
詳細については下記リンクをご参照ください。
 
然様な短い夏しか訪れることのできない松仙園ですが、登山道開通に先立ち、積雪量の調査に行きました。
毎年複数あるモニタリングポイントで撮影を行い、積雪の有無を記録しています。
 
原生的な樹林帯を抜けると一気に湿原帯に入ります。
沼地に佇むアカエゾマツの老木に目を奪われます。
【ハート型の沼とアカエゾマツの老木】
調査を行った日は快晴で、三の沼付近からは旭岳が綺麗に見えました。
【ワタスゲ咲き乱れる三の沼から望む旭岳】
湿原ではトンボが飛び交い、一部で夏の植物も咲いています。
残雪もなく早くも夏山の様相を呈しています。
【ルリイトトンボ】
【左からワタスゲ・ハクサンチドリ・ショウジョウバカマ】
【実をつけたチングルマ】
【モウセンゴケ】
松仙園はまだ閉鎖中のため、当然他に登山者はいません。
静かで天候に恵まれたこともあり、山日和でした。
 
しかしながら、人がいないということは野生動物にとって生活しやすいということでもあります。
いくつかのモニタリングポイントで記録を行い、登山道を歩いているとヒグマの足跡とフンを見つけました。
そしてその50mほど先にある木の上に、子グマを2頭連れたヒグマがいました。
子グマを連れていたからか、こちらに気づいても立ち去る様子はありません。
やむを得ずこの日はそれ以上進まずに記録作業を諦め、普段は登り一方通行の松仙園登山道を下山しました。
【ヒグマの足跡】
松仙園周辺のみならず、大雪山はヒグマ生息地です。
登山の際は熊鈴や熊スプレーを携行するなど、ヒグマと出会わない・軋轢を生まないための対策が必要です。
遭遇しないために万全の対策をとり、ヒグマと出会わないことが一番ですが、遭遇した際は落ち着いて、慌てずに対処しましょう。
ヒグマの足跡やフンを目撃した際は来た道を引き返す勇気ある選択も大事かもしれません。