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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

大雪山国立公園の野営指定地

2023年07月26日
上川 忠鉢伸一
こんにちは
大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。
 
7月は大雪山にある野営指定地や避難小屋と、その場所へ至る登山道や水場の確認の為の巡視を行っていました。
大雪山国立公園内には全部で8つの避難小屋と12の野営指定地があります。
今回そのうちの4つの避難小屋と6つの野営指定地を紹介したいと思います。

白雲岳野営指定地・避難小屋

今年はテン場近くに親子熊が居座り、日によって野営禁止措置がとられています。
とても良い場所にある避難小屋ですが、7月24日現在ヒグマが頻繁にテン場近くに出没しているため、白雲避難小屋を訪れる際は最新情報を事前に得る必要があります。
避難小屋 | 白雲岳避難小屋 (hakuundake.jp)
 
巡視帰りにもう一度立ち寄ったのですが、悪天候のため停滞している登山者で避難小屋は満員状態でした。早くテン場付近からヒグマが立ち去ってくれると良いのですが、現在も注意が必要な状況が続いています。
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【白雲岳避難小屋】
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【白雲岳野営指定地】
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【白雲岳避難小屋の水場】

忠別岳野営指定地・避難小屋

静かな環境ですが、辺りは熊の足跡がたくさんありました。
視界の悪い場所では鳴り物をならしてこちらの存在をヒグマへ伝えるようにしましょう。
熊スプレーの携帯をおすすめします。
 
小屋付帯の常設トイレがあります。使用したトイレットペーパーは持ち帰り、便槽にゴミを捨てないでください。また、うっかり大事なものを便槽に落とさないように気をつけましょう。
 
雪渓はまだ沢山残っていて、今のところ水は涸れる気配がありません。
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【忠別岳避難小屋】
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【忠別岳野営指定地】
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【忠別岳避難小屋の水場】

ヒサゴ沼野営指定地・避難小屋

大雪山には登山口がたくさんありますが、ヒサゴ沼はいずれの登山口からも離れており、最も山深い場所にある避難小屋と言って良いでしょう。
日帰りで訪れるにはちょっと難しい場所ですが、野営指定地は沼に隣接した楽園のような場所です。
アクセスに長時間を要するため維持管理が難しく、荒廃した登山道が手をつけられないまま数十年が経ってしまった場所でもあります。設置された木道の脇を雪渓の雪解け水が削り、木道はほぼ役目を果たさず障害物になってしまいました・・・
ヒサゴ沼へ下りる登山道の荒廃は大雪山の大きな課題のひとつになっています。

ヒサゴ沼にも常設トイレがありますが、忠別避難小屋のトイレと同じく使用済みトイレットペーパーは持ち帰りがルールです。し尿以外のものは便槽へ落とさないでください。
水場は今年もシーズン中は涸れることはないと思われます。
雪渓を歩く際(特に下り)は充分に気をつけて下さい。
 
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【ヒサゴ沼避難小屋】
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【ヒサゴ沼野営指定地】
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【ヒサゴ沼の水場】
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【ヒサゴ沼へ下りる登山道】

美瑛富士野営指定地・避難小屋

天気が悪くあまり視界が良くなくて残念な写真になりますが、美瑛富士避難小屋の定員は20名と小さめで、テン場もそれほど沢山張れるスペースはありません。
避難小屋の隣に携帯トイレブースがあります。
 例年であればまだ雪渓が残っていて水が取れる美瑛富士避難小屋ですが、今年は雪解けが早く雪渓はすでに消えていました(7/18時点)オプタテシケ山や、美瑛岳への中継地点になっている避難小屋ですが、ここの水場はあてにせず、十分な水を、持って登山に臨んでください。
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【美瑛富士避難小屋と野営指定地】

双子池野営指定地

大雪山を完全縦走する人は必ず一泊するはず?の野営指定地です。看板や道標などの人工物は一切ありません。
 この辺りの登山道は笹やハイマツが繁茂していて、ザックの外側につけたギアを枝に持って行かれたり、足元が見えずに転倒する可能性もあります。
また、視界の悪い日は道に迷う可能性もあるのでGPSを確認しながら歩くことをおすすめします。
 
野営地は水はけがあまり良くないので、降雨の為一部泥濘化したテン場もありましたが、この日はなんとか固い地面にテントを張れました。雪渓がまだ残っており、水は1~2週間は取れそうです(7月19日時点)

 近くでハギマシコのつがいを発見しました。大雪山で見かけたのは初めてです。
あまり人間の訪れない深い山の中でひっそりと繁殖しているのでしょうか。
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【双子池野営指定地】
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【双子池の水場】
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【ハギマシコ 雌】
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【ハギマシコ 雄】

南沼野営指定地

トムラウシの山頂まで20分の距離にある野営指定地です。携帯トイレブースもあり、時間が許す限りゆっくりしたいといつも思う場所です。
 
雪渓もまだ残っていて、水は豊富に流れていました。野営指定地の周りは花達が咲き誇っていました。
出発前、晴れていたので山頂から素晴らしい景色を見ることができました。
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【南沼野営指定地】
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【南沼の水場】
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【トムラウシ山頂から十勝岳連峰を望む】
大雪山の避難小屋は緊急避難用として使用する目的で設置されています。
トイレや水場の使い方はもちろん、小屋も清潔に保って、「来たときよりも綺麗」に使うことが山の常識です。また、一定以上の人数で小屋やテン場を占領するような使い方も避けるのもマナーでしょう。限られた場所なので、遅く到着した登山者にも場所を極力譲り合って使ってください。
 
山中泊をする場合は、体調不良や、天候の急変でビバークせざるを得ない事態に備える為にも、避難小屋での宿泊を前提にせずに、「十分な装備を持参して野営地で宿泊する計画を立てる」ことをおすすめします。