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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

残暑の羅臼岳巡視

2023年10月02日
ウトロ 森下南美
みなさん初めまして。8月から着任しました、森下南美です。
学生時代を過ごした北海道、とりわけ知床の自然が忘れられず、この度ウトロにやってきました。
 
全道的に暑いと言われた今夏ですが、ここウトロも例外ではなく、9月に入っても夏のような暑さが続きました。
そんな夏の名残を感じる9月4日に、羅臼岳に巡視に行ってきました。
 
羅臼岳には、斜里側の岩尾別温泉登山口と、羅臼側の羅臼温泉登山口からアクセスすることができます。今回の巡視は、羅臼事務所とウトロ事務所の合同で、岩尾別温泉から登って羅臼温泉に抜けるというルートで行いました。
 
巡視となると、普段自分で楽しむ登山とは少し違って、登山道に異変がないか気を配りながら、時間も気にしつつサクサクと登っていきます。とは言え、一息ついた時に背後に広がる知床の海や、ふと顔を上げた時に見つけたチングルマに癒やされるのはやはり変わりません。
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振り返ると斜里の海が
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チングルマ
さて、今回の巡視の目的の一つは、羅臼岳登山道上の岩への落書きへの対処でした。
問題の岩は、登山道から2メートルほど奥まった場所にありました。ということは、その間の植生は踏まれたということ…。
ここは国立公園内の、特別保護地区。自然公園法で厳しい規制をかけて守られている地区であり、自然物への落書きは規制の対象となるのです。この原生的な景観を、できるだけ長く残していきたいものですね。
格闘すること15分、なんとか落書きを消すことができました


そしてもう一つの目的は、羅臼側の登山道の状況確認です。
羅臼側からの登山道は、斜里側よりも道のりも歩行時間も長く、上級者向けとされることから利用者数がそれほど多くないため、登山道の状況確認と情報収集のため定期的に巡視を行っています。
私は今回初めて羅臼側の登山道を利用しました。険しいとは聞いていましたが、途中砂礫で滑ったり、岩の苔に滑ったりしながら、なんとか先輩ARについていきます。


今年は知床全体でヒグマの出没が多いと言われていますが、私たちも下りの途中で2匹のヒグマに遭遇しました。知床がヒグマの高密度生息地帯であることは頭では分かっていても、実際に登山道で遭遇するとやはり緊張します…。


羅臼側の登山道は、険しくもありますがその分原生的な雰囲気が色濃く残っており、より静かな羅臼岳を楽しむことができるルートでもありました。また、登山口のすぐ近くに熊の湯という温泉があるのも魅力のひとつ。今度は休日にトライしたいものです。
 

この日は天候に恵まれて、海に浮かぶように並ぶ知床連山の姿を眼下に収めながら、知床半島の形や大きさを体感しました。同行した先輩ARの「ここが私たちの仕事場ですよ」という言葉が耳に残っています。改めて知床で働いているんだなあと実感した瞬間でした。
 

【おまけ】
 
羅臼平で一息ついていたところ、ふと気がつくとエゾオコジョの姿が。
人気が少なかったのもあるのでしょうか、かれこれ5分ほどあっちへ来たりこっちへ来たりと姿を見せてくれました。