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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

洞爺財田自然体験ハウスのビオトープ整備を行いました

2023年10月25日
洞爺湖 荻原 沙理
こんにちは。洞爺湖管理官事務所アクティブレンジャーの荻原沙理です。
今日は、パークボランティア活動(以下、「PV活動」)として行った洞爺財田自然体験ハウスのビオトープ整備の様子をお伝えします。

財田とは

財田は洞爺湖の北側に張り出したように広がる地域で、「たからだ」と読みます。
※地図は環境省ホームページより抜粋、加工

明治時代半ばに四国の讃岐地方から多くの開拓者、移住者がやってきました。地名は入植者の出身地香川県財田(さいた)町(現在の三豊市)にちなんで、漢字は「財田」のまま、読み方を「さいた」から「たからだ」へと変えて名づけられました。
香川県三豊市と北海道虻田郡洞爺湖町は1976年から友好都市となっています。
 
洞爺財田自然体験ハウスや財田キャンプ場などアクティビティを楽しめる施設があります。
洞爺財田自然体験ハウス | このサイトでは支笏洞爺国立公園内にある洞爺湖の北側、洞爺財田自然体験ハウスでのクラフト体験などを紹介しています。 (toyako-vc.jp)
【公式】洞爺水辺の里 財田キャンプ場 (town.toyako.hokkaido.jp)
 
水はけがよく、しっかりと根を張って成長する肥沃な土質はコメ作りに適しており、栽培されたお米は「財田米」として販売されています。
財田米(たからだまい)|洞爺湖の、たからだ。 (town.toyako.hokkaido.jp)
 
今回は洞爺財田自然体験ハウスで、ビオトープの整備を行いました。

ビオトープとは

ビオトープとは、生命:バイオ(bio)と場所:トポス(topos)を組み合わせた合成語で、様々な野生の生き物たちが、自然生態系を維持できる生息空間のことを指します。
生物多様性や自然とのふれあい創出を目的に人工的に生物が共存できる空間を指すことが一般的になってきています。
 
環境庁(現環境省)「おしえてビオトープ」等を参考に記載
https://www.env.go.jp/nature/biodic/eap61/pdf/full.pd

ビオトープ整備の様子

ビオトープを維持していくためには定期的な手入れが不可欠です。
今回は、ビオトープ内にたまった泥や生えた草などを、シャベルを使って取り除き、水の流れをよくする作業を行いました。
 
総勢11名で作業にあたりました。皆さん長靴や胴長を着用し、準備万端です。
作業前風景を撮影する間もなく作業スタート。
数日前までの冷え込みから一転、体を動かしていると汗が流れるような暖かさでした。
 
ビオトープの側面に生えた草の根の部分にシャベルを入れて切り、全体をすくいとります。

こちらは底にたまったヘドロをかき出している様子。 独特のにおいが鼻につきます。

かき出した泥の中にウチダザリガニが紛れていました。大きなハサミを高く上げ、威嚇してきます。

ウチダザリガニは、名前だけ聞くと在来種のようにも思えますが、もともと北米大陸に自然分布する生物です。
茶褐色で大きなハサミが特徴です。戦前に食用としてアメリカ北西部のコロンビア川流域から日本に持ち込まれ、北海道の摩周湖で養殖に成功。その後分布が広がっていきました。
 
ウチダザリガニの成体は在来種のニホンザリガニの倍以上あり、外来種のアメリカザリガニよりもさらに大きくなります。ウチダザリガニによるニホンザリガニの捕食(直接的被害)やザリガニペストの媒介(間接的被害)などの影響が憂慮されることから、特定外来生物に指定されています。
 
洞爺湖周辺でもウチダザリガニが生息しており、かごわなを使った防除が行われています。
財田にも生息しているのは知っていましたが、やはり見つけるとショックが大きいです。
(例年PV活動として7~8月ごろ、ウチダザリガニの防除を行っています。)

(※ウチダザリガニを生きたまま運搬及び保管する場合には、外来生物法に基づく防除の確認又は認定が事前に必要です。写真は洞爺湖温泉側の洞爺湖畔にある看板。)
 
その後も、休憩をはさみもくもくと作業を続けること約1時間半。



ビオトープの水の流れを妨げるものがなくなり、スムーズに水が流れるようになりました。
少し泥をかき出しただけで、みるみる流れがよくなっていくのは見ていて気持ちがよかったです。


今年は夏の暑さのせいか、整備中にはあまり生き物に出会えませんでしたが、普段は様々な水生生物の観察を行うことができます。
ぜひ洞爺財田自然体験ハウスに足を運んで、生き物観察をしてみてください。

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ぜひ足をお運びください!