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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

四十三山登山道の閉鎖作業を行いました

2023年11月21日
洞爺湖 荻原 沙理
こんにちは。洞爺湖管理官事務所アクティブ・レンジャーの荻原沙理です。
今日は、パークボランティア活動として行った四十三山閉鎖作業の様子をお伝えします。

四十三山(よそみやま)とは

四十三山は1910年有珠山噴火によってできた山で、「明治新山」とも呼ばれます。
上昇してきたマグマが地表に流出せず、地面を押し上げてできた潜在ドームです。
 
1910年の噴火によって温泉が発見され、洞爺湖温泉が発展しました。
現在でも遊歩道脇にある噴気孔から出る噴気の温度は50度前後あります。
 
この時の噴火観測に参加した三松正夫氏は、のちの昭和新山噴火の観測を行いました。三松氏が残した記録は、火山の隆起の様子をとらえた世界的にも珍しい記録「ミマツダイヤグラム」として学術的に高く評価されています。
 
現在は噴火から100年以上経過し、植生が回復、山全体が緑で覆われています。
(前任小松AR撮影 アクティブ・レンジャー写真展で展示中)

閉鎖作業の様子

直前まで雨予報だったため、中止が心配されましたが、当日は晴れ、無事実施することができました。
今回は四十三山の閉鎖前に登山道をきれいにする作業として、登山道上の枝の片付けや看板のふき上げ、ゴミ拾いなどを行いました。
 
登山道内には折れたり倒れたりした木の枝が多くあり、それを登山道からどける作業を行いながら歩き進めました。

四十三山には噴火の歴史を解説する看板が設置されていますが、それらをぞうきんで拭き、汚れを落とします。
参加してくださったパークボランティアの方が「1年間お疲れ様」と声をかけながら拭いてくださっているのが印象的でした。

分担しながら作業を進め、山頂に到着。
今の時期は葉が落ちているため、木の間から洞爺湖と羊蹄山を見ることができました。

樹木が成長したため、特に夏場は生い茂った葉が洞爺湖や中島を覆い隠してしまいます。
(今年8月に同じ場所から撮影)

「100年経つと植生はここまで回復するのか」と思う反面、100年前にここで火山活動が起き、その後も1944~45年、1977~78年、2000年と噴火が起こっている、という事実に改めて気づかされます。
温泉の恵みが火山によってもたらされているということも忘れてはいけない事実です。
 
登山道を出てからは、壮瞥温泉側の登山口から洞爺湖温泉に向かってゴミ拾いを行いました。
羊蹄山と中島を眺めながらゴミ拾いを進めます。

登山道上にはほとんどゴミがなかったのとは対照的に、多くのゴミ(パッケージのフィルム、缶・ペットボトル、たばこの吸い殻など)が見受けられました。
 
四十三山は来年4月下旬頃に開通作業を行う予定です。それまで楽しみにお待ちください!