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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

幸福な静寂

2024年03月05日
東川 渡邉 あゆみ
こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。
あっという間に3月になりました。本音を言うとあと1mくらい積雪が増えて欲しいと願っている冬好き人間です❄
みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

【扇沼山から見た十勝岳連峰と硫黄沼】

アクティブ・レンジャーは冬はどんな仕事をしているの?と聞かれることがたびたびあります。
毎日のように山に行っている夏と比べて、冬はデスクワークが多いですが、月に数回スノーモビルのパトロールを行なっています。

大雪山国立公園は原生的な山岳環境があり、希少な野生動物や高山植物が生息・生育しています。
スノーモビルが発する騒音や排気ガス、踏圧は自然環境に悪影響を与えるため、国立公園の特別保護地区、車馬等乗入れ規制区域、原生自然環境保全地域ではスノーモビルの乗り入れが禁止・規制されています。

そのため、スノーモビルの乗入れが多い場所に、乗入れ規制周知のための看板や乗入れ状況把握のための監視カメラを設置したり、スノーモビルに乗ってスノーモビルのトレースを追跡し、乗入れ経路や最終到達地点の確認をしています。




この日は、南富良野町のとある地点からスノーモビルのトレースを追いかけました。
トレースは途中楽しい斜面を寄り道しながら、最終的に地図の青線の●の地点まで伸びていました。
乗入れ地点から距離で約23km、あと250mで乗入れ規制区域まで到達する場所です。
もちろん、山深く広大なので「ここからは乗入れ規制区域です」といった看板は設置していません。
モビラーはGPSでここから先は乗入れ規制区域だと把握しているのでしょう。
規制区域の手前で引き返していて安心しました。

先日は、警察、地元山岳会の協力を得ながら、モビラーへの乗入れ規制普及啓発パトロールを行ないました。

【国立公園へのスノーモビル乗入れについて説明中】

冬山登山の大きな醍醐味の1つに”静寂”があるでしょう。
聞こえると言えば風の音だけ。
真っ白い雪山で、幸福な静寂を味わいながら、厳しい自然と対峙していると、人間の小ささをしみじみと実感します。ときに弱い気持ちに負けそうになるのを誤魔化しながら、頑張って登頂に至ったときの喜びは他には変えられません。
どうか静寂を破るエンジン音が山に響くことがありませんように。

【富良野岳と振子沢噴気孔群】