北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

西別岳 登山道管理のお手伝いに参加しました!

2024年02月29日
川湯 伊藤柚里
こんにちは。
阿寒摩周国立公園管理事務所の伊藤です。
 
大分前の活動ではありますが、今回は西別岳の登山道管理について紹介します。
 
西別岳は阿寒摩周国立公園の東側に位置する摩周湖の南東にあり、初夏には高山植物の花であふれるお花畑があります。
西別岳の登山道は摩周岳へと繋がっており、摩周岳山頂に向かう分岐までの約7 kmは標茶町と維持管理協定を結び、実際の管理作業は地元の山岳会のお力もお借りしています。
 
登山道管理の仕事は、登山道脇のササ刈り、「がまん坂」と呼ばれる急勾配の坂の維持管理、登山道外への踏み荒らし防止用の杭の設置などがあります。
 
今回は管理のお手伝いとして、古くなった杭の交換のため西別岳山頂とごくらく平まで新しい杭の運搬を行いました。
春先は残雪や地面の凍結で杭打ちができないため、今回運搬した杭は積雪前の11月に交換していただいています。
 
今回は計100本の杭を運搬するため、阿寒摩周国立公園管理事務所の総出の7名で行ってきました。
 
それぞれ14本程度の杭を背負子にくくり、山を登っていきます。
一人当たり重さ15 kgくらいでしょうか。
 
【杭を背負ってがまん坂を登る様子】


【登山道の新たに交換された杭】

杭の運搬中に新しく掘られた水切りを発見しました。登山道の浸食を防ぐために、勾配のある道脇に複数箇所、溝が掘られています。
【新しく彫られた水切り】

帰りは古い杭を下へ運搬します。山頂ではあいにくの雨に見舞われましたが、帰りには綺麗な虹に見送られ、無事に作業を終了することができました。
【登山道から見た虹】

登山道は車の乗り入れができないため、基本的に道具などは人力での運搬となり、人手と時間が必要になる作業が多いです。
これを地元山岳会には毎年行っていただいており、頭の下がる思いです。
 
実は登山者の方も登山道の管理に携わることができます。
草刈りや利用に支障のある木の伐採などは登山道の管理者が行いますが、道に落ちている邪魔な石や木をのけることは一般の利用者も行うことができます。
これも立派な管理だと思います。
些細なことかもしれませんが、登山時には転びそうな石など除けていただくと、後から来る登山者も快く登山できるのではないでしょうか。
 
私はアクティブ・レンジャーの仕事に就いてから、探勝路や登山道の管理を実感するようになりました。
誰かが登山道の管理を行っていただくことで、利用者が快適に歩けるのだと思います。
皆さんも登山をする際には、登山道の様子にも目をむけてみてはいかがでしょうか。
 
 
話は変わりますが、西別岳へ登山を行う皆様へお願いがあります。
西別岳・摩周岳ではコマクサは自生しないとされており、許可なくコマクサを植える、種子を撒くことは自然公園法で禁止されているため、行わないでください。
 
阿寒摩周国立公園内の西別岳及びその周辺におけるコマクサ植栽等規制について | 釧路自然環境事務所 | 環境省 (env.go.jp)
 
また、登山中にコマクサを発見した場合は、阿寒摩周国立公園管理事務所までお知らせください。
(電話番号:015-483-2335)
私たちも巡視を行っていますが、多くの目があればいち早く気付くことができます。
今年はコマクサの発見はありませんでしたが、引き続き注視したいと思います。
 
これから先も長い間続く登山道を目指し、自然と人が触れ合える場所を残すため、ご協力のほどどうぞよろしくお願いいたします!