北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

パークボランティア活動 シカ調査に参加しました

2024年03月14日
川湯 伊藤柚里
こんにちは。
阿寒摩周国立公園管理事務所の伊藤です。
 
今回は2月に行ったパークボランティア活動をご紹介します。
今回の活動では屈斜路湖畔沿いの仁伏ではじめてエゾシカの食痕調査を行いました。
 
パークボランティア会員の方から屈斜路湖畔の道沿いでシカによる樹皮剥ぎが増えているのではないか、その実態を知りたいという声が上がり、この活動は誕生しました。
 
今回の活動の目的は、フィールド調査手法を学ぶこと、スノーシューの技術を磨くことです。
なんと、今年行った活動の中では最多の10名の会員に今回参加していただきました。
また、釧路自然環境事務所で阿寒摩周国立公園のシカ対策を担当する職員も参加し、アドバイス等をもらいながら活動を行いました。
 
【スノーシューを履いて歩く会員さん】

今回は初の取り組みということもあり、調査に必要な時間が読めなかったため、樹皮剥ぎに絞って調査を行いました。
範囲を決め、その中でシカ食痕を探し、痕跡ごとに位置情報や樹種、胸高直径を記録していきます。
(調査を行うに当たり林野庁に入林届を提出しています。)
 
最初に調査範囲を決めるためルートを一通り歩いたのですが、シカも含めて道中いろいろな痕跡を発見することができました。
驚きだったのはクマゲラの食痕です。
樹洞性のアリの巣を最近クマゲラが食べた跡ができていました。
その深さ、なんと60 cm! 腕がすっぽり入ります。食痕の下には大量の木くずが落ちていました。
こんな穴を開けてしまうなんて、クマゲラの力は驚きですね。
【クマゲラの食痕】

【クマゲラの食痕に腕を突っ込む職員】

今回は10 m×30 mの調査範囲を設定し、6個の樹皮剥ぎを確認することができました。
周りをほぼ1周剥がされた樹皮剥ぎが多く、いずれは枯れてしまいそうな木ばかりでした。
【痕跡の周りで話し合う様子】

【樹皮剥ぎの高さを測る様子】

調査後は、結果の共有やシカ食痕、活動の継続について議論を重ねました。
【議論の様子】

今回の調査からニレの木が樹皮剥ぎを受けやすいこと、シカ以外にもネズミやクマゲラなど他の動物もこの森を利用していることなどが分かりました。
食痕の多さは人によって背景が異なるためか感じ方が異なり、いろいろな感想を持ったようです。
その感覚は調査をしなければ分からなかったことだと思います。
反省点としては、調査方法や痕跡の判断など詳しい事前学習があった方が良かったことなどが挙げられました。
後日、結果をまとめデータとして蓄積する予定です。
 
その後、国立公園でのシカ対策について話が出ましたが、皆さん、シカへの興味が尽きないようでシカ専門職員への質問がやみません。
 
今後調査を継続するかどうかも議題に上がり、来年の活動計画等を決める総会の場でも議論することになったため、会員さんがやりたいと思える活動になればと思います。
今後も意欲的な活動ができるよう、環境省職員も補佐していきます。
どうぞよろしくお願いします!