ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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利尻礼文サロベツ国立公園

141件の記事があります。

2015年05月28日今年も外来種除去リレーが開催されました。

利尻礼文サロベツ国立公園 青山留美子

5月24日、南浜湿原で、利尻島自然情報センターとの共催で今年最初の外来種除去活動が実施されました。今回の除去活動は、今年で2年目となる「外来種除去リレー」として行われ、私はサロベツの豊富から利尻島へと引き継がれてきた襷を掛けて作業に臨みました。(「外来種除去リレー」については、2014年5月29日・6月24日の利尻礼文サロベツ国立公園のAR日記をご参照ください)



今回の活動参加者は8人と少数ながら、外来種除去の経験が豊富な方が多く、僅か2時間の作業で1445本ものオオハンゴンソウを除去する事が出来ました。風があったものの晴天に恵まれ、気持ちよく作業が出来た事も除去作業がはかどる後押しになったのかもしれません。



ところで今回はテレビ局の方が外来種除去の様子を取材しに来ていたのですが、カメラが回っている最中も参加された方々は実にいつも通り作業を行っていました。こんな風にどんな時でも気張り過ぎず、自然体で作業に取り組んでいく事が、この活動を14年という息の長いモノにする秘訣なのかもしれません。省みれば今でも時々張り切り過ぎて空回りしてしまう日頃の私。私がこの活動から学べる事はまだまだ多くあるようです。



さてさて、いよいよ始まった各地区の外来種除去活動。次のリレー走者である礼文島を応援しつつ、今年の利尻島での除去活動も地道にそして着実に頑張っていこうと思います。


(みなさんお疲れ様です。これからもよろしくお願いします。)

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2015年05月19日ポン山山頂で植生保護のための作業をしました

利尻礼文サロベツ国立公園 三枝 幸菜

 利尻島にはポン山と呼ばれる山があります。山といっても標高は444mしかなく、おまけに後方に標高1721mの利尻山が控えているため、より一層小さな山に感じてしまいます。かつてこの地にいたアイヌの人々も同じように感じたのか、ポン山の「ポン」という言葉は、アイヌ語で「小さい」を意味しています。

 

 しかし、ポン山の山頂からの眺望は素晴らしく、利尻山とその山麓の姫沼、そして礼文島が浮かぶ海を一望する事ができます。また、イワギキョウやエゾタンポポなどの貴重な植物も自生している事から、ポン山は姫沼やオタドマリ沼に並ぶ利尻島の主要な観光スポットとなっており、毎年多くの観光客が訪れています。

 

 5月18日、このポン山の山頂で、利尻花ガイドクラブや利尻森林事務所と協力して、植生保護のためのロープ張りや、花が咲く場所を踏まないようにするための囲い作りを実施しました。

 

 この時期のポン山山頂は強風が吹いている事もあるのですが、この日は風も陽射しも穏やかで絶好の作業日和。おかげで、とてもスムーズに作業を終える事ができました。

 

 ガイドの皆さん、そして森林官さんありがとうございました!

 

 さて、いよいよ利尻島の観光シーズンも本番です。駆け抜けるように過ぎ去っていくこの季節、気合を入れて頑張っていきたいと思います。

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2015年05月19日巡り来る花の季節

利尻礼文サロベツ国立公園 高澤 和大

 こんにちは、礼文島担当アクティブレンジャーの高澤です。


 月日は百代の過客にて、行きかふ年もまた旅人なり。いくばくかの急ぎ足で今年もまた礼文島へ本格的な花の季節が訪れました。普段は稚内で勤務している私は気もそぞろ。花々が日に日に輝きを増しているであろう国立公園最北の離島に、想いばかりが駆け巡ります。


エゾノハクサンイチゲ(2015年5月15日、桃岩展望台コース)


 「花の浮島」とも呼ばれる礼文島の最大の魅力はなんといっても高山植物。彼らはかつて地球上に繰り返し訪れた氷河期の、どこかのタイミングで島へたどり着いた旅人の末裔です。同じように日本各地へ旅した彼らの仲間の多くは高山植物というその名の通り、今では標高の高い場所でしか生き残ることができていません。だけどここでは潮の匂いを感じる低地の草原に力強く咲き誇っていて、どこか夢でも見ているような、あるいは氷河期へタイムスリップしてしまったかのような錯覚を覚えます。


エゾノハクサンイチゲと利尻富士(2015年5月15日、桃岩 展望台コース)


 最後の氷河期が終わってからおよそ1万年。地球46億年の歴史から見ればほんの一瞬ですが、人の一生にしてみれば気が遠くなるほどの歳月に、この地で連綿と命を繋いできた小さな植物たち。彼らがこれからも氷河期の息吹を伝え続けることができるよう、見守っていかなければなりません。


レブンコザクラ(2015年5月15日、桃岩展望台コース)


 花々が咲き始めるのに合わせ、礼文アクティブレンジャーは巡視や調査のために島へ長期滞在する期間に入ります。次回の更新は礼文島からお届けします。

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2015年05月07日現在の利尻島の様子と、春の利尻山登山の注意事項について

利尻礼文サロベツ国立公園 三枝 幸菜

 5月に入り、利尻でも春の到来を強く実感するようになりました。海に程近い斜面は萌木色に変わりはじめ、南浜や姫沼などの湿原・湿地ではミズバショウやザゼンソウなどが見頃を迎えています。

 

姫沼のザゼンソウ

 

 しかし、利尻山を仰ぎ見れば山を覆う雪が無くなる気配はまだまだありません。この時期利尻山に登るのであれば、やはり「冬山登山知識、冬山装備」は必須です。

 

2015.4.30 利尻山の様子

 

 先日、北海道宗谷総合振興局から登山情報が発行されました。チラシには、この時期の利尻山登山に必要な装備や登山計画書の提出先など、「春の利尻山登山における注意事項」が記載さいれていますので、利尻山登山を計画中の方はご一読ください。

 

http://www.souya.pref.hokkaido.lg.jp/ts/tss/bousai/H27huyuyama.pdf

 

 うららかな陽気に心が弾み、思わず活動的になるこの時期。春を目一杯楽しむためにも、事故のないように気を付けましょう!

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2015年04月28日最北の春

利尻礼文サロベツ国立公園 青山留美子

はじめまして!


4月から利尻礼文サロベツ国立公園・サロベツ地区担当のアクティブ・レンジャー(以下AR)となりました、青山留美子と申します。

これからサロベツ地区の情報をお伝えしていく役を担いました。他のARに負けないよう発信していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。


稚内に来た3月末の時点で既に雪はありませんでしたが、その頃よりも草の色や樹木の様子が生き生きとしてきたように感じます。

サロベツでも、エゾアカガエルの卵を見つけたりミズバショウが咲いたり、マガンやオオヒシクイたちが繁殖地へ帰るためにどんどん北上して来ているのが見えたりと、日々様々な春の刺激を感じています。


生き物情報は心躍る話ですが、ゴミが目立ってくるのも春の風物詩といえるのではないでしょうか。

雪が溶けた後はどこでもある光景だとは思いますが、ここ最北では規模が違います。

冬の間に海岸に流れ着いたゴミが大量です。さらに強風で飛ばされたゴミが、道路から見える海岸草原にひっかかり、国立公園の景観の中にがっかり要素を添えてしまっているのです。


早速私は4月19日に行われた、利尻礼文サロベツ国立公園パークボランティアの会と認定NPO法人サロベツ・エコ・ネットワークが主催の、稚咲内(わかさかない)海岸草原の清掃に参加して来ました。

一見すると何もないように見えるかもしれませんが......

ちぎれたビニール袋や、ペットボトルなどが埋もれており、遠くからみるよりも多くのゴミがあります。

枝にトゲのあるハマナスにも負けず、皆さん進んで行きます。

1時間程の作業でパンパンになった40リットルのゴミ袋たち。総勢86名で回収したゴミは、2tトラック3台分にもなりました。

それでもまだまだゴミは目立っています。一度で終わることではありません。

多くの方々の協力を得て、地道に続けていくことが大切だと思いました。


一面枯れ草色の草原も、よくよく見るとエゾエンゴサクが咲いており、

ゴミがなくなったことを喜んでいるようにも見えました。

国立公園の景観を守るために地道な作業を続けて下さる方々に支えられ、

利尻礼文サロベツ国立公園は観光シーズンを迎えようとしています。


サロベツの魅力を、観光で来ただけではなかなか見ることのできない地道な活動を、

随時紹介していけるよう、走り回りたいと思います!

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2015年04月17日油断大敵

利尻礼文サロベツ国立公園 高澤 和大

 先週、雪解けが早いペースで進んでいると報告した礼文島でしたが、朝に目を覚まして宿舎のカーテンを開けると山が再び雪化粧している様子が飛び込んできました。前日の夜に降り出した雨はいつの間にか雪へと変わっていたようです。

(左は4月15日、右は4月16日の桃岩展望台コース)


 今年は春が早いと言ってもまだまだ4月の北海道。気温が下がれば当たり前のように雪も降ってきます。春めいた暖かさにすっかり慣れた身体には、この日の寒さは堪えました。もうしばらくは十分な防寒対策が必要になりそうです。

 すでに花をつけていたエゾエンゴサク。雪や寒さにやられていないか心配しましたが、何事もなかったように咲き誇っていました。凛とした彼らの姿に負けぬよう、私も姿勢を正して花の季節に備えたいと思います。

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2015年04月10日早すぎる?雪解け

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 高澤 和大

こんにちは、稚内の高澤です。

3月31日に利尻島の三枝ARも記事にしていましたが、ここ利尻礼文サロベツ国立公園では例年にないペースで雪解けが進んでいます。以下の2枚の写真は礼文島の景勝地「桃台猫台」で2014年と2015年の同一日に撮影したものですが、その違いは一目瞭然です。


150409_桃台猫台

140409_桃台猫台


植物が次々に芽吹き出し、エゾエンゴサクなどの春を告げる花々も咲き始めました。この早い春の訪れを喜びたいのはやまやまですが、自然環境に何らかの悪影響を及ぼさないか一抹の不安を感じます。今後とも注視していきたいと思います。

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2015年03月31日利尻島に春が来た

利尻礼文サロベツ国立公園 三枝 幸菜

最近、利尻島は穏やかな春の陽気が続いています。

暖かな陽気に麓の雪もすっかり解け、青空にはいつの間にか戻ってきたウミネコが飛び交うようになりました。

冬が長く厳しい分、春の訪れの喜びはひとしおです。


今年は積雪が少なかったこともあり、雪解けが昨年に比べて2~3週間早く進んでいます。

例えば、1枚目は2015年3月30日に撮影した写真ですが、昨年2014年の4月9日にほぼ同じ場所で撮影した2枚目の写真と比較すると、利尻山の地肌が出ている部分が多いことがわかります。


2015年3月30日、沓形岬園地


2014年4月9日、沓形岬園地


しかし雪解けが早いといえど、利尻山上部はまだまだ冬衣をまとったままです。今の時期に利尻山登山をされる方は、冬山装備と知識をしっかりと備え、安全な登山をお楽しみください。


※注意!!

登山前には必ず登山計画書を提出してください。各宿泊施設、鴛泊駐在所で受け付けています。現在登山口にポストは設置されていません。

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2015年02月27日World Wetlands Day ~February 2, 2015~

利尻礼文サロベツ国立公園 高澤 和大

こんにちは、稚内の高澤です。


世界湿地の日を記念したAR日記リレーもいよいよゴールを迎えます。


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世界湿地の日とは、1971年2月2日にイランのラムサールという街で締結された「ラムサール条約」を記念して、毎年2月2日を「世界湿地の日 World Wetlands Day (WWD)」とした記念日です。ラムサール条約の目的である、湿地の恩恵や価値に目を向け、その維持と賢明な利用を達成するため、世界中で啓発イベントが行われています。

そこで一昨年に引き続き、ウトナイ湖、支笏湖、洞爺湖、クッチャロ湖、サロベツ原野など、北海道の代表的な湿地を含む国立公園等を所管するアクティブレンジャーで、AR日記のリレー企画を行います。

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日本最北のラムサール条約登録湿地、クッチャロ湖。


この湖は渡り鳥にとっての地理的な要衝として、道北の地に存在します。



日本最北端の宗谷岬から南南東へ約60km。


かつてオホーツク海の一部だったこの場所は、海流が運ぶ堆積物によって外海と隔てられ、
道北で最大の面積を誇る湖となりました。


極東ロシアと日本の間で渡りを行う鳥たち、とりわけ湖沼に餌を求める水鳥たちにとって、
その存在がどれほどの助けになるかわかりません。



毎年、冬の使者として日本各地に飛来するコハクチョウ。


そのほとんどが渡りの際に、道北地方を経由するといわれています。


生まれ故郷のシベリアから3,000km。


この地で越冬する個体もいますが、越冬地までさらに数百から数千km。


クッチャロ湖はそんな長旅の途中で羽を休める、大切な中継地の一つとなっています。



旅をする生き物にとっても、そこに棲まう生き物にとっても、

ここがいつまでも安らげる場所であるように。


そんなことを願いながら、アクティブレンジャーが何をしていけるか、考えていきたいと思います。



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2015年02月23日World Wetlands Day ~February 23, 2015~

利尻礼文サロベツ国立公園 山上佳祐

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------「世界湿地の日(World Wetlands Day)」とは、1971年2月2日にイランで締結された「ラムサール条約(国際的に重要な湿地に関する条約)」の記念日です。毎年、2月2日にはラムサール条約で定められた、湿地と湿地資源の保全と賢明な利用(ワイズユース)を推進するための啓発イベントが世界中で実施されています。

その世界湿地の日をAR同士が連携してPRできないかと考え、始まったのがAR日記のリレー企画です。3回目となる今年も、ウトナイ湖、支笏湖、洞爺湖、サロベツ原野、クッチャロ湖などの北海道の代表的な湿地を、リレー形式でご紹介します。

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世界湿地の日リレー企画、第5弾。ラムサール条約登録湿地のサロベツ原野については過去にも紹介してきましたので、今回はあえてサロベツ原野ではなく、普段は取り上げられる機会が少ない、サロベツ原野と日本海の間に広がる砂丘林を紹介します。

稚内から幌延までの海岸線に沿って、東西に約3km、南北に約30kmにわたって続くこの砂丘林は、ミズナラやトドマツなどの原生林と、大小あわせて約170もの湖沼群で構成され、国内では類を見ない特異な景観を形成していることから、国立公園特別保護地区、また北海道指定天然記念物に指定されています。中でも特徴的なこの湖沼群は、ミコアイサやアカエリカイツブリといった水鳥の国内でも数少ない繁殖地となっているほか、周辺ではジュンサイやオゼコウホネ、エゾカンゾウなどといった植物が生育する重要な湿地となっています。

さてそのような砂丘林ですが、散策路などは整備されていないため、林床に植物が繁茂し、湖沼の水面があちこちに顔を出している夏季には簡単に立ち入ることができません。しかし冬季には、林床は雪に覆われ、湖沼も厚い氷に閉ざされるため、スノーシューを履けば林内へ入りやすくなります。

※ 砂丘林は国有林であるため、一般の方が許可なく入林することはできません。

そこで林野庁から入林の許可をいただき、冬のある晴れた日に砂丘林の巡視に行ってきましたので、その様子をご紹介します。

砂丘林へ足を踏み入れた当初は物音ひとつ聞こえず、足下に湖沼があることがわからなくなるくらい雪に覆われているため、まるで砂丘林全体が深い眠りについているような感覚を覚えました。

しかし、注意深く探してみると、写真のような様々な生き物やその痕跡を観察することができ、冬の砂丘林も生き物たちにとっては、食料を得る場、風雪を凌いで休息する場などとして、夏と同様に生きていくために欠かせない場所なのだということを、改めて感じました。

いつの季節も変わらずに多くの生命を育むこの砂丘林は、人間にとっても、天然の防風林・防雪林などとして役に立ってきました。過去の厳しい風雪や人間活動などにより立木が失われた場所もありますが、そのような場所では自然再生の取り組みも進められています。私もサロベツ地域のアクティブ・レンジャーとして地域の方々と協力しながら、自然再生の取り組みに関わってきました。これからも末永く、この貴重な砂丘林を見守っていきたいと思います。

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