ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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知床国立公園 ウトロ

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2010年02月19日完全接岸宣言<流氷>

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

この時期になると、ウトロの町の住人だけでなく、日本中の人達が心待ちにしている、流氷。前回の日記にも書きましたが、これはもう宣言してもよいでしょうか。
「完全接岸・流氷」
流氷は気まぐれ。このまま、ますます氷が増えていくのか、それとも遠ざかってしまうのか・・・。いつがピークかわかりません。そんな人々の心を惑わすところが流氷の魅力なのかもしれませんね。毎日の挨拶が、「今日こそは流氷が見えるのではないか」から「もう流氷は今年は終わりかな」まで、流氷に関する話題が毎日続く訳です。


<2月17日幌別>


そして、以前にも紹介した「知床自然音ピアノ」。覚えていますか?新しい音、追加する予定です(現在、録音・編集中)。その名も「流氷の軋む音」。ウトロに流氷を見に来た!でも、すでに遠ざかってしまった等々の理由により、残念なことに流氷に出会えなかった方のために。目をつぶり、目の前いっぱいの流氷を思い浮かべながら、この音を聞くことで、気分を味わってみてください。

※不用意に流氷に近づいたり、流氷に乗るようなことは危険です!一見しっかりとしていそうな氷の塊も、脆いことがあります。海に落ちてしまったら一大事。流氷の上を歩きたい時には、いくつかのツアーがありますので、熟練のガイドさんとともに、楽しんで下さい。(↓ガイド付き流氷ウォークの様子)


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2010年02月05日漂う~知床の空と海~

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

夜空に「漂う」オーロラを見たいとは思いませんか。ウトロでは流氷のやってくる時期に「オーロラファンタジー」という名のイベントを町の観光協会が主催しています。環境省としても、知床を盛り上げよう!と、週に一回会場整理のお手伝いをします。沢山の人が安全に楽しんでいただけたらと思っています。期間は、2月5日~3月21日。詳しい内容は、斜里町HP(下記)に掲載してありますので、興味のある方は是非覗いてください。

以下の写真は、2月5日のオープニングセレモニーの様子。後ろの知床連山が綺麗ですね。


また今年は、そんなオーロラファンタジーに合わせて訪れた方が撮影した、素晴らしい写真を募集します。詳しい内容は、同じく斜里町HP(下記)で見ることが出来ますので、興味のある方は、是非ご応募下さい。
優秀な作品は、知床世界遺産センターで3月10日から4月20日までの期間、展示を行う予定です。遺産センターは昨年にオープンしたばかりですが、地域の方の交流の場としても、活用してもらえたらよいなと思っています。

そうそう、流氷も海を「漂って」いますよ。1月22日の午前中、鳥獣保護区の巡視をしている際、海と空の間に白い帯が!その後順調に近づいてき、27日には接岸を確認。その後、風向きにより離れたり、近づいたりを繰り返していますが、そろそろ完全に接岸する日も近いでしょうか。


(1月27日撮影<岩尾別>)


斜里町 商工観光課HP:http://www.town.shari.hokkaido.jp/shiretoko/event/fantasia.htm

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2010年01月25日足跡を読む

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

ウトロはすっかり雪景色です。毎朝の除雪作業が慣例化しているそんな中、夏とは違った景色をのんびりと楽しんでいる方も多いと思います。ウトロでは、そんな冬季に国立公園内のどの場所に利用者が訪れているか調べています。スキー、つぼ足、スノーシュー、スノーモービル等どのような手段で、どれくらいの人数が訪れているか。そうそう、スノーモービルは、国立公園内の乗り入れが規制されています!そんな人がいないかどうかの確認も併せて行っています。
下の写真は、調査風景。「男の涙方面、スキー3、スノーシュー2・・・」


そんな人間の足跡だけでなく、動物達の足跡も。これはフレペの滝遊歩道の巡視中のことです。

手前にある小さい足跡がおそらくネズミの足跡。その回りにあるのが、キツネの足跡。そして、写真中央部に雪が丸く乱れているのが、確認できますか。おそらくネズミが穴に逃げ込んだところを、キツネが掘り返そうとしたのでしょうか。穏やかな散策路が、見ようによっては、事件現場なのですね。

冬の風景は一見何もなく、静寂に満ちているように思えますが、耳をすましてみると、色々な動物達の息づかいを発見出来ます。白いキャンバスを目をこらして歩いてみませんか。

※散策中、あまり道がよく分からないのに、夢中で歩いてしまうと、自分の場所が分からなくなってしまうことがあります。決められた遊歩道から外れないように歩くことをおすすめします。

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2010年01月15日海岸線海鳥調査

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

2009年12月8日以降から12月末に、網走から斜里にかけての沿岸各地で油曝個体が頻繁に観察撮影されているとの情報が入ったため、年明けから重点的に河口や港において、油曝した海鳥や油の漂着の調査を行っています。

今回の調査では、油曝した海鳥は確認しませんでしたが、他の巡視を行う時にも併せてこまめに見回りを行う必要があります。

そんな調査中にウトロの漁港で見かけた訪問者。


ゴマフアザラシです。
海鳥を見つめていたら、近くで荒い鼻息。ふっと視線を向けると、傍にいるではありませんか。あわてて、カメラを向けて、しばらく観察しました。何とも穏やかそうな顔をしているとは思いませんか。この日(12日)は気温が低いものの、日差しは暖かく穏やかな一日でした。冬期になるとウトロは道路閉鎖で訪れるところが少なくなりますが、こんな時こそ漁港で海鳥などを観察してはいかがでしょうか。

※ウトロの海岸沿いは風が強く、気温も下がります。海鳥の観察をする場合は暖かい格好で行って下さい。

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2010年01月08日フレペの滝遊歩道の巡視を行っています

知床国立公園 ウトロ 高橋 知里

年末年始から雪が降り積もり、知床でもスキーやスノーシューなどが楽しめる季節となりました。冬の季節でも散策が楽しめるフレペの滝遊歩道はウトロ側でおすすめのコースです。

フレペの滝 凍り始めています。

 この遊歩道には利用者数を計測するため利用者カウンターが設置され、日常管理はアクティブレンジャーが行っています。
本日は冬期間遊歩道の積雪が1m以上になることに備えて、利用者カウンターを夏よりも高い位置に設置し直しました。


私(高橋)と伊藤AR。雪の中からカウンターを掘り出しました。
すでに70㎝程度の積雪があり、踏み抜くと危険です。散策に行かれる方はスノーシューなどをご用意されることをおすすめします。

カウンターの管理以外にも自然情報の収集や遊歩道に危険がないかなどを確認するために、週に1回程度巡視を行っています。
巡視で得た情報は知床世界遺産センターのHPで紹介していますので、是非ご覧下さい!
*知床世界遺産センターホームページアドレス・・・http://shiretoko-whc.jp

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2009年12月22日曲芸

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

水面に映るワシの姿か、それとも二羽で堅く足を握り合っているのか。これは、曲芸の練習か・・・。


本日行った海ワシ飛来調査中の出来事。
激しいぶつかり合いで、けんかの様。エサの取り合いでしょうか。


現在、知床世界遺産センターにおいて、ワシの展示を行っています。ヒグマの「ジミー」とオオワシの「ワーシャ」の会話形式で、見た目に楽しい展示を行っています。オオワシとオジロワシの見分け方から、渡り、生態系におけるワシの役割まで、分かりやすく展示しています。
知床にお越しの際は、まず遺産センターでワシの見分け方や観察に適した場所についての情報を手に入れてみませんか。少し意識するだけで、空が違うように見えてくるかもしれません。もちろん、毎週行う、海ワシ飛来調査の内容と報告を載せています。そちらも、楽しみにして下さい。

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2009年12月04日漂着物

知床国立公園 ウトロ 高橋 知里

10月以降、オホーツク海は時化の日が多くなります。荒れた波に押し流されて、海岸に漂着しているものを見つけました。

アザラシの骨
短い足が特徴的です(右側が足です)。
腰をくねらせ、足を水平にふって泳ぐ姿が想像できるでしょうか・・・。


ミンククジラの死体
 小型のヒゲクジラの仲間です。成獣の体長が約10mほどなのに対して、このクジラは4~5mほどしかありませんでした。荒波にもまれることで弱い子供のクジラが死んでしまうことがあるそうです。
クジラの死体のまわりにはキツネやカラスなどの足跡がたくさん付いていました。海獣類の漂着死体は陸上の動物たちにとって、貴重な餌となっているのです。
この様な海と陸の生きもののつながりは、知床の生態系の特徴でもあります。


冬になると飛来してくるオオワシにとってもうれしいごちそうです!

*クジラなどの海岸に漂着した死体はヒグマを誘引することがあります。見つけても安易に近づかないように注意しましょう。

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2009年11月20日冬を迎える知床五湖

知床国立公園 ウトロ 高橋 知里

 知床を代表する観光地で今年も大勢の観光客の方々が訪れた知床五湖ですが、道路の冬期間通行止めに伴い、11月24日(火)11:00から冬期間閉鎖となります。
冬の間、知床五湖は静寂に包まれます。と言いたいところですが、実は観光客の来られない冬の間に、高架式木道の延長工事が行われます。
 この工事は昨年の冬も行われ、今年度で完成となります。
真冬の工事は風や雪の中でも行われ、考えただけでも体が凍えそうですが作業員の方達は一生懸命作業を行っていました。


作業の様子。この日は木道を支える鉄筋を地中に入れる作業が行われていました。知床の地盤は固い岩盤でできているので、大変そうですね。
延長路は302mとなり、高架木道の全長は828mとなる予定です。最終展望地は知床五湖の一湖の湖畔に作られ、湖越しの知床連山が眺められるよう設計されています。

来年の知床五湖の開園は4月下旬となります。
完成した知床五湖高架式木道をどうぞお楽しみに!

11月13日展望台からの眺め

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2009年11月17日「海ワシ調査」

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

この時期になるとオオワシがサハリンから渡ってきます。

そこでこの時期始めるのが、海ワシのカウント調査。週に一回海岸線沿いの道路を車でゆっくりと走りながら、飛来したワシの数を数えます。ポイントを決めて、毎週同じ場所から調査を行うとともに、ワシを発見した時点で停車してカウントします。羅臼側でも同じ日に調査を行うことで、知床半島全体のワシの飛来数がわかります。
止まっているワシを見つけるのは難しいです。目を良くしないと! とつくづく思います。ここでいう目の良さというのは、視力の事ではなくて、見つけるための感のようなもの。回数をこなして、鍛えるしかありません。


さて、このようにして集めた最新の渡り状況は、知床世界遺産センターで公開していく予定です。オオワシ・オジロワシの見分け方、生態、観察ポイント(他の車の邪魔にならないように!)なども理解しやすいようにイラストをふんだんに使い、展示を行う予定です。もう少しで、公開になりますので、楽しみにして下さい。

ウトロの町から観光客はめっきり減ってしまい、静寂が漂っていますが、これから、空の上は騒がしくなっていきそうです。


※11月12日には渡り、11月13日にはワシ柱を確認することが出来ました!
 次々にやってくるワシの姿に感動です。一度国後に渡り、流氷と共に再び知床に戻ってきます。
 また、会う日まで~

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2009年11月06日雪が降っても飛んでいました

知床国立公園 ウトロ 高橋 知里

 11月6日、知床国立公園の手前、ウトロ市街地で寒空の下、セイヨウオオマルハナバチを確認しました。セイヨウオオマルハナバチは特定外来生物に指定されており、アクティブレンジャーも防除活動を行っています。

セイヨウオオマルハナバチの女王 → この後捕獲

 残念ながらウトロでのセイヨウオオマルハナバチの目撃は昨年と比べ圧倒的に増え、天気の良い日は頻繁に目につくようになっています。昨年の捕獲数が4頭だったのに対し、今年は9月までで約200頭の捕獲がありました。爆発的に増加する恐ろしさが身にしみて感じられます。
 斜里側の知床国立公園内(幌別~知床五湖)では幸い目撃情報はほとんどありません。今年のハチの活動時期も終わりに近づいてきましたが、少しでも拡散を食い止められるようにこれからも防除活動を続けていこうと思います。

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