ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2010年12月14日

2件の記事があります。

2010年12月14日狩りの季節

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

知床付近のエゾシカ狩猟が、10月23日からはじまっています。今年度から、斜里町の一部の区域について、可猟期間に一時期中断する日を設けるようになりました。常に人がいると、シカが警戒して近寄らなくなりますが、中断期間中にシカが油断して、この可猟区内に戻ってくるところを捕獲することで、捕獲の効率を上げることが期待できます。また、常に人が立ち入らないようにすることで、希少猛禽類への影響を少なくすることも目的としています。
狩猟をする方は、狩猟の出来る場所と出来ない場所がある・・・ということはもちろんわかっているとは思いますが。気をつけて下さいね。可猟区と鳥獣保護区(禁猟区)が隣接されている箇所もあります。境を越えて、うっかりとそんな鳥獣保護区に入っている人がいないか確認を行うのも、ウトロARの仕事です。


この赤い看板が目印で、ここから先は狩猟が出来ないことを示しています。
おっと。看板が曲がってしまっていますね。パトロールではこのような看板の立て直し作業も行います。

森の中を歩いている時に、オレンジ色のベストを着た人に出会うことがあるかもしれません。ハンターの方は、自分の居場所を知らせる為に、目立つ格好をしています。みなさんも散策時には、目立つ格好をして自己防衛をして下さい。シカに間違われたら、大変ですからね!

可猟期間や場所については下記のサイトをご覧下さい
北海道のサイト→http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/sika/

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2010年12月14日バックカントリーブームと問題点

大雪山国立公園 東川 宮崎 浩

近年のスキー、スノーボードの滑走性能の向上に伴って、スキー場だけではなく整備されていない山を滑る人が年々増えており、大雪山周辺においてもその雪質の良さで年々入込者が増えてバックカントリー銀座になりつつあるようです。
確かに管理されたスキー場を滑るのとは違い、人が入り込まない山の斜面に自分だけのトラックを刻むのは何とも言えない楽しみがあります。
 ただ、大雪山には夏以上に冬は厳しい気象条件が待ち構えています。辺りを静寂が包むエゾマツに囲まれた森、絶えず強風が吹き付ける高山帯と、数少ない晴天の日を除いては常に道迷いや場所によっては雪崩などの危険が待ち構えており、そこに入り込めるのはそれ相当のスキルを持った選ばれし人間だけ。
ですが、人が多く入りこむようになり様々な問題点も最近は増えてきました。


これはスキー等の滑走により傷ついてしまったハイマツなど。風の強い高山帯などでは雪が飛ばされてしまい、高山植物が真冬でもむき出しになっていることもしばしばです。スキーの滑走面も痛いですが、植物はもっと痛いでしょう。ダメージを受けた高山植物は簡単には回復しません。植物の見え隠れしているような所では滑走を自粛していただき、また春スキーの季節においても滑れる斜面までの雪が無くなった時点で、山スキー(もちろんスノーボードも)の利用は控えて頂く。これはバックカントリーのマナーではないでしょうか?

 旭岳スキーコースではスキー、スノーボード滑走に伴う高山植物の損傷防止ために毎年積雪量調査を行った上でコースオープンとしています。一定の積雪量の基準値の取り決めを行っており、それに達するまではスキー等の滑走道具をロープウェイへの持ち込みを控えて頂いています。

測定の基準箇所を設けて、雪崩の際に使うゾンデ棒を使って積雪量を測定します。今年は一度雨が降ってしまい、雪が固くなってしまっている所もあって、なかなかゾンデ棒が刺さらず測定が非常に困難な箇所もありました。

 測定の結果、深い所では積雪は2m近くあり、植生にも影響はないと思われることからスキーコースオープンとなりました。
 ただ、やはりここは寒い!本日は視界も良好でしたが、姿見駅周辺のこの時期の平均気温は-15℃(厳冬期は-25℃)、平均風速10m以上のこの地ではまさに冬山の厳しさを実感する所です。

 バックカントリーと言えばここ旭岳周辺もロープウェイを利用して気軽に深雪を楽しめる事で国内はもちろん、海外からの利用者も年々増えて来ている所です。
 それに併せて、冬山装備を持たないスキーヤー等による安易なケガ、遭難なども後を絶たないのもまた事実です。
「あまり遠くまではいかないから」「みんなが行っている所だから安心」「昔は皆ここを滑っていた」良く聞く言葉です。が、スキーコースを離れ、山に一歩踏み入れればそこは未知の世界、その場所では今まで起こった事のない雪崩も条件次第ではいつ襲ってくるかもしれません。もちろん山の天候は一変します。くれぐれも自分の技術、装備などにあった行動を心掛けることが重要ではないでしょうか?

 ただ危険も隣り合わせですが、冬山には夏山には無い魅力があるのも確かです。夏山以上に自然に優しく、自分には厳しくという気持ちでバックカントリーも楽しみたいものです。

北海道最高峰旭岳をバックにシュプールを刻む。ただ、冬では大雪山がこのような姿を見せてくれる事は稀です。厳しい冬山であることを十分認識の上で行動する事が大切でしょう。

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