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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
第2回 みんなで調査!らうすの磯の生き物たち
2011年10月27日
羅臼
地球の表面の約70%を占める海。
そんな海にはいろんな生き物がいる、ということは知っていますよね。
クジラやシャチなど大きなほ乳類から、細菌やプランクトンなどの微生物まで
そしてそれらは珊瑚礁や深海まで多様な環境に、
それはそれはたくさんの生き物が生息しています。
では、磯にいる生き物、というと何を思い浮かべますか?
貝?カニ?
陸と海の境目にある磯。
そんな磯場は、海中をなかなか伺い知ることのできない私たち人間にとって、
最も海に近い場所です。
けれど、その実態は、実はあまり知られていない場所でもあります。
先月この日記でご報告した、「地域住民による地域住民を対象とした講座」。
(第1回目の様子はコチラから
http://hokkaido.env.go.jp/blog/2011/09/801.html)
2回目は「みんなで調査!らうすの磯の生き物たち」と題して、
磯場にはどんな生き物が生息するのか、磯場はどんな役目があるのか、
などを調べ、海の生態系や生き物、それらを守る活動のお話しを聞きました。
講師は、日々羅臼の海に潜り羅臼の海を見守り続ける、川原綾子氏。
知床ダイビング企画で水中ガイドを努めながら、海中ゴミ拾いなど
保全活動も行われています。
今回参加いただいたのは、10代から70代まで幅広い世代の7名。
集まった参加者は、早速磯場に降り、生き物の調査をします。
「こんな石の裏にはカニなどが隠れていることが多いですよ。」
「海藻は小さな魚が身を隠していたりするので、網ですくってみると…
ほらね。」
どんな場所にどんな生き物がいるのか、ポイントを川原氏に教わりながら
実際に、網や箱メガネを使って生き物探しを行いました。
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1時間程の調査で、シモフリカジカやハコダテギンポ、
イソガニやコモチイソギンチャクなど、
計17種類の生き物を発見することができました。
見つけた生き物は写真に収めます。
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調査を終えたあとは、羅臼ビジターセンターに戻ってまとめを行います。
川原氏から、磯場の生き物や磯場の役割、またそれらを守る海洋生態系保全の取り組みなどの話を聞きました。
「パッと見ただけでは分からないけど、
磯場には、実はたくさんの生き物がいるんです。」
「浅い水位の磯場は水温が高く、また隠れる場所がたくさんあるため、
多くの生き物の子育ての場や稚魚たちの隠れ場でもあります。
今日見た魚たちも稚魚でしたよね。
彼らにとって、磯場はとっても重要な場所です。」
「たとえば、
この写真は“ごっこ”と呼ばれる“ホテイウオ”という名前の魚です。
大きくなると20センチくらいになる魚ですが、小さいときは5ミリほど。
この小さな体を浅瀬の海藻に隠して、外敵から身を守っています。」
「この写真の魚の後ろに写っているもの、わかります?人工物ですね。
これは土俵といって、魚場で網を固定するもので、ひとつの土俵に200キロ
の砂利が入っています。
この土俵ですが、切り落とされ海底に沈んだままに なっているものがあり
ます。これの、袋を破いて中の砂利を出し、還らない袋を回収する作業を、
私たちは行っています。そうしないと、海藻も生えない人工物が溜まるだけ
の場所になってしまいます。そんなのって悲しいですよね。」
その後は、調査で見つけた生き物を記録票にまとめます。
なんという名前の生き物が、どんな場所で見つかったか。
そうすることで、その生き物がどんな環境を好んでいるかなど、
生き物の生態なども分かります。
そしてその記録票のもと、模造紙に描かれた磯の図に、撮影してきた写真を
貼って、みんなで調査をまとめます。
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こうしてまとめてみると、
実にたくさんの生き物を観察できたことが分かります。
みんなで作った調査のまとめは、羅臼ビジターセンターで
展示される予定です。
身近だけど、実は知らないことがたくさんあった磯場。
ゴツゴツの岩場は、小さな生き物のゆりかごでもあったんですね。
またひとつ、海の魅力を知ることができた講座でした。
(写真:知床財団提供)
そんな海にはいろんな生き物がいる、ということは知っていますよね。
クジラやシャチなど大きなほ乳類から、細菌やプランクトンなどの微生物まで
そしてそれらは珊瑚礁や深海まで多様な環境に、
それはそれはたくさんの生き物が生息しています。
では、磯にいる生き物、というと何を思い浮かべますか?
貝?カニ?
陸と海の境目にある磯。
そんな磯場は、海中をなかなか伺い知ることのできない私たち人間にとって、
最も海に近い場所です。
けれど、その実態は、実はあまり知られていない場所でもあります。
先月この日記でご報告した、「地域住民による地域住民を対象とした講座」。
(第1回目の様子はコチラから
http://hokkaido.env.go.jp/blog/2011/09/801.html)
2回目は「みんなで調査!らうすの磯の生き物たち」と題して、
磯場にはどんな生き物が生息するのか、磯場はどんな役目があるのか、
などを調べ、海の生態系や生き物、それらを守る活動のお話しを聞きました。
講師は、日々羅臼の海に潜り羅臼の海を見守り続ける、川原綾子氏。
知床ダイビング企画で水中ガイドを努めながら、海中ゴミ拾いなど
保全活動も行われています。
今回参加いただいたのは、10代から70代まで幅広い世代の7名。
集まった参加者は、早速磯場に降り、生き物の調査をします。
「こんな石の裏にはカニなどが隠れていることが多いですよ。」
「海藻は小さな魚が身を隠していたりするので、網ですくってみると…
ほらね。」
どんな場所にどんな生き物がいるのか、ポイントを川原氏に教わりながら
実際に、網や箱メガネを使って生き物探しを行いました。
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1時間程の調査で、シモフリカジカやハコダテギンポ、
イソガニやコモチイソギンチャクなど、
計17種類の生き物を発見することができました。
見つけた生き物は写真に収めます。
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調査を終えたあとは、羅臼ビジターセンターに戻ってまとめを行います。
川原氏から、磯場の生き物や磯場の役割、またそれらを守る海洋生態系保全の取り組みなどの話を聞きました。
「パッと見ただけでは分からないけど、
磯場には、実はたくさんの生き物がいるんです。」
「浅い水位の磯場は水温が高く、また隠れる場所がたくさんあるため、
多くの生き物の子育ての場や稚魚たちの隠れ場でもあります。
今日見た魚たちも稚魚でしたよね。
彼らにとって、磯場はとっても重要な場所です。」
「たとえば、
この写真は“ごっこ”と呼ばれる“ホテイウオ”という名前の魚です。
大きくなると20センチくらいになる魚ですが、小さいときは5ミリほど。
この小さな体を浅瀬の海藻に隠して、外敵から身を守っています。」
「この写真の魚の後ろに写っているもの、わかります?人工物ですね。
これは土俵といって、魚場で網を固定するもので、ひとつの土俵に200キロ
の砂利が入っています。
この土俵ですが、切り落とされ海底に沈んだままに なっているものがあり
ます。これの、袋を破いて中の砂利を出し、還らない袋を回収する作業を、
私たちは行っています。そうしないと、海藻も生えない人工物が溜まるだけ
の場所になってしまいます。そんなのって悲しいですよね。」
その後は、調査で見つけた生き物を記録票にまとめます。
なんという名前の生き物が、どんな場所で見つかったか。
そうすることで、その生き物がどんな環境を好んでいるかなど、
生き物の生態なども分かります。
そしてその記録票のもと、模造紙に描かれた磯の図に、撮影してきた写真を
貼って、みんなで調査をまとめます。
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こうしてまとめてみると、
実にたくさんの生き物を観察できたことが分かります。
みんなで作った調査のまとめは、羅臼ビジターセンターで
展示される予定です。
身近だけど、実は知らないことがたくさんあった磯場。
ゴツゴツの岩場は、小さな生き物のゆりかごでもあったんですね。
またひとつ、海の魅力を知ることができた講座でした。
(写真:知床財団提供)