2012年2月15日
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2012年02月15日冬のエゾシカ
阿寒摩周国立公園 阿寒湖 北川 栄司
この時期、雪のボッケ遊歩道を歩くと彼らに出会います。

エゾシカです。
地熱により暖かなボッケに出てきては、休息しています。
このボッケ、阿寒湖周辺にはいくつもあり、特に阿寒湖畔スキー場のある白湯山周辺に多く見られます。
果たしてこれら白湯山のボッケを、湖畔ボッケと同じようにエゾシカが冬季利用しているのか、菅野自然保護官と調査を行って来ました。
無雪期には林道から数分で行ける個所が多いのですが、この時期は深雪の森の中をスノーシューで歩いて山越えして行かなければなりません。
夏には雌阿寒岳山頂付近までエゾシカの痕跡が見られますが、スキー場より奥、山の中のボッケは、雪の中を1日歩き回った今回の調査では、エゾシカはほぼ使っていないことが確認されました。

上段が山中のボッケ、下段がスキー場近くのボッケです。
山中のボッケは、周囲がきれいに雪で覆われており、動物の痕跡はほとんど見られません。
ササの葉は地面から顔を出しており、エサはあるようです。
これに対し、スキー場近くのボッケはシカ牧場状態で、複数の群れが逃げ出し、雪の上は食痕やシカ糞で一面黒く染まっていました。
この違いは何なのでしょうか?
実は、山中のボッケで1頭だけエゾシカを目撃しました。
大人のオスジカが、私たちを見て逃げようとするも雪に阻まれ、なかなか前に進めず急斜面で危うく滑落しかかりました。
一方、スキー場近くのボッケは周囲に河川や除雪された林道があり、実際ボッケに行くまでの林道上で車の前を数頭が走って逃げていきました。

上の画像は、今回調査した白湯山林道の夏との比較です。
標識の埋まり具合から見ると、1m以上雪に覆われているようです。
阿寒湖畔周辺で山林管理を行い、エゾシカの生態にも詳しい前田一歩園財団によると、エゾシカは、積雪が50~60cmを超えると雪を掘ってササなどを食べることが出来なくなり、標高を下げ、雪を掘りやすい川岸などに集まってくるそうです。
エゾシカの肩までの高さは1m程度、50~60cmといえば脚がすっぽり埋まってしまう深さです。
オスジカであれだけ苦労しているので、体の小さなメスや子供では身動き取れないのでしょうね。
人間と同じように、(人の気配がなく)静かで暖かで食べ物があっても孤立しているボッケより、騒がしくて(エサの)競争が激しくても活動しやすい平地のほうが人気があるようですね。
きっと彼らも、我々道民と同じように、
「今年は雪が多くて大変だね~。」
と思っていることでしょう。

エゾシカです。
地熱により暖かなボッケに出てきては、休息しています。
このボッケ、阿寒湖周辺にはいくつもあり、特に阿寒湖畔スキー場のある白湯山周辺に多く見られます。
果たしてこれら白湯山のボッケを、湖畔ボッケと同じようにエゾシカが冬季利用しているのか、菅野自然保護官と調査を行って来ました。
無雪期には林道から数分で行ける個所が多いのですが、この時期は深雪の森の中をスノーシューで歩いて山越えして行かなければなりません。
夏には雌阿寒岳山頂付近までエゾシカの痕跡が見られますが、スキー場より奥、山の中のボッケは、雪の中を1日歩き回った今回の調査では、エゾシカはほぼ使っていないことが確認されました。

上段が山中のボッケ、下段がスキー場近くのボッケです。
山中のボッケは、周囲がきれいに雪で覆われており、動物の痕跡はほとんど見られません。
ササの葉は地面から顔を出しており、エサはあるようです。
これに対し、スキー場近くのボッケはシカ牧場状態で、複数の群れが逃げ出し、雪の上は食痕やシカ糞で一面黒く染まっていました。
この違いは何なのでしょうか?
実は、山中のボッケで1頭だけエゾシカを目撃しました。
大人のオスジカが、私たちを見て逃げようとするも雪に阻まれ、なかなか前に進めず急斜面で危うく滑落しかかりました。
一方、スキー場近くのボッケは周囲に河川や除雪された林道があり、実際ボッケに行くまでの林道上で車の前を数頭が走って逃げていきました。

上の画像は、今回調査した白湯山林道の夏との比較です。
標識の埋まり具合から見ると、1m以上雪に覆われているようです。
阿寒湖畔周辺で山林管理を行い、エゾシカの生態にも詳しい前田一歩園財団によると、エゾシカは、積雪が50~60cmを超えると雪を掘ってササなどを食べることが出来なくなり、標高を下げ、雪を掘りやすい川岸などに集まってくるそうです。
エゾシカの肩までの高さは1m程度、50~60cmといえば脚がすっぽり埋まってしまう深さです。
オスジカであれだけ苦労しているので、体の小さなメスや子供では身動き取れないのでしょうね。
人間と同じように、(人の気配がなく)静かで暖かで食べ物があっても孤立しているボッケより、騒がしくて(エサの)競争が激しくても活動しやすい平地のほうが人気があるようですね。
きっと彼らも、我々道民と同じように、
「今年は雪が多くて大変だね~。」
と思っていることでしょう。
日向ぼっこでもしていたのでしょうか、カメラを向けてもピクリともしません。
私に気がついたのか顔をあげてあくびをしました。
ただ、耳だけはしっかりと私の方に向けています。
あくびをするキタキツネ
そのあと、トラックが大きな音を立てて通り過ぎたため、
サッと立ち上がり、私を数秒凝視したあと、湖畔の林の中へ走っていきました。
凝視するキタキツネ
警戒心が低いキタキツネ。もしかすると餌付けなどで人慣れしているのかもしれません。
人馴れしていると道路でうろうろして車にはねられることもあります。
もしキタキツネに出会っても決して餌などやらない様にしてください。
また、人との距離が近づくとキタキツネの糞などを媒介とするエキノコックス(※2)に感染する危険が増します。
野生動物とは適度な距離をとってうまく付き合っていきましょう。
※1キタキツネ(学名:Vulpes vulpes shrencki)
哺乳綱食肉目イヌ科の哺乳類。北海道の平地から高山帯まで、広く生息しています。ネズミやエゾユキウサギ、鳥類、昆虫などを主に食べ、秋には果実や木の実も食べます。
※2エキノコックス:扁形動物の一種の寄生虫。幼虫がエゾヤチネズミに、成虫がキツネやイヌに寄生します。ネズミが卵を摂取すると、体内でふ化し、幼虫が寄生します。幼虫の寄生したネズミをキツネやイヌが食べると、キツネやイヌの小腸で成虫となり、やがては産卵します。卵はキツネやイヌのフンとともに体外に排出され、周囲を汚染し、再びネズミが卵を食べると幼虫に寄生されます。