北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
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初めまして。11月からウトロ自然保護官事務所にアクティブレンジャー(以下「AR」)として着任しました、佐野と申します。知床国立公園がある斜里町は私の地元で、大学卒業後、慣れ親しんだ自然が恋しくなって、このたび戻って参りました!
どうぞよろしくお願い致します。
さて、知床国立公園ではARの業務の一つとして、11月から4月にかけて、定期的に海ワシ類の羽数を数えるカウント調査を行っています。
着任して早速、この調査を行ってきたので、今回はどのように調査が行われているのかと、私が実際に調査を行う上で感じたことをお伝えできればと思います。
そもそも、「海ワシとはなんぞや?」とお思いの方!(私もその一人でした)
ここで海ワシとは、オオワシとオジロワシのことを指します!(※)
空を飛ぶ姿はとてもかっこいいですよね。
※海ワシは、餌の多くを海に依存し海岸付近でよく見られるワシの仲間(sea-eagles)で、海外も含めるとウミワシ属(Haliaeetus)に分類されるものは8種います。知床ではこの内、越冬のために渡ってくるオオワシと、国内でも一部繁殖しているオジロワシの2種をよく見ることができます。
次に「なぜワシの数を数えているの?」と思われた方、これには理由が2つあります!
1つ目は、オオワシとオジロワシは、どちらも生息地が減少したり生息数が減っている等の理由から絶滅のおそれがある種(絶滅危惧種)であり、「主にどこに集まっているのか」(餌環境など)、「羽数に大きな変化はないか」(特に急激な減少)を把握するため。
2つ目は、世界自然遺産に登録されている知床には、豊かな自然環境が維持されていることを把握するミッションが与えられています。その一環として、知床の生態系の上位にいる海ワシ類を対象に長期的にモニタリングを行うことで、渡来数や種・成幼の別など構成の変化も参考に環境の変化を把握するため。
そんなわけで私たちは、冬になると毎週、海ワシ類の調査を行っているのです。
では、どのように調査を行っているか手順・方法をご紹介します。
知床国立公園では、斜里町(ウトロ)側と羅臼町側で、それぞれ調査を行っています。
私の担当するウトロ側の調査コースは、知(ち)布(っぷ)泊(どまり)漁港からスタートして、途中何カ所か止まりながらゴールの岩尾別川を目指します。
およそ25kmの道のりを、車を運転する人、調査する人の2名以上で、低速(20~40km/h)で移動しながら、目視で(つまり目で見て)海ワシがいないか探します。車酔いのひどい私にとって最初のころはなかなかの苦行でしたが、今ではそれを乗り越え長距離運転もなんのその...!?
海ワシを発見したら、以下の項目を記録簿に記入していきます。
・発見時間
・オオワシか、オジロワシか
・成鳥か、幼鳥か
・それぞれの個体数
・飛んでいるか、どこに止まっているか(どんな行動をしているかも)
記入している間にも、次から次へと海ワシたちがやってきて手が大忙しになることも。
飛んでいた場合、移動方向も矢印で記入するのですが、地図が苦手な私にはこれまた大変難しい。先輩ARの手もお借りしながら、ただいま修行中です。
苦労することもありますが、調査中に思わぬ発見もあったりします!
遠目だと「タヌキかな?」と思い、双眼鏡をのぞくとオジロワシでした!
海岸の砂地にちょこんと居る姿に癒やされました。
エサを貪るオジロワシ。
目の前で見るとかなりの大きさで、図鑑で見るのとは迫力が違う!
生で見る良さを知りました。
海ワシ調査はまだまだ始まったばかり。流氷がやってきてからが本番だそうで、例年だと一日に100羽以上を数える日もあるそうです。
それまでに先輩の手を煩わせない調査スキルを身につけたいと思う、今日この頃です。
今回は簡単ではありますが、海ワシ調査についてご紹介しました。今後もARがどんな仕事をしているのかや知床の情報をお届けしたいと思いますので、次回もお楽しみに!
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、利尻礼文サロベツ、知床、阿寒摩周、釧路湿原、大雪山、支笏洞爺国立公園があります。
初めまして。11月からウトロ自然保護官事務所にアクティブレンジャー(以下「AR」)として着任しました、佐野と申します。知床国立公園がある斜里町は私の地元で、大学卒業後、慣れ親しんだ自然が恋しくなって、このたび戻って参りました!
どうぞよろしくお願い致します。
さて、知床国立公園ではARの業務の一つとして、11月から4月にかけて、定期的に海ワシ類の羽数を数えるカウント調査を行っています。
着任して早速、この調査を行ってきたので、今回はどのように調査が行われているのかと、私が実際に調査を行う上で感じたことをお伝えできればと思います。
そもそも、「海ワシとはなんぞや?」とお思いの方!(私もその一人でした)
ここで海ワシとは、オオワシとオジロワシのことを指します!(※)
空を飛ぶ姿はとてもかっこいいですよね。
※海ワシは、餌の多くを海に依存し海岸付近でよく見られるワシの仲間(sea-eagles)で、海外も含めるとウミワシ属(Haliaeetus)に分類されるものは8種います。知床ではこの内、越冬のために渡ってくるオオワシと、国内でも一部繁殖しているオジロワシの2種をよく見ることができます。
次に「なぜワシの数を数えているの?」と思われた方、これには理由が2つあります!
1つ目は、オオワシとオジロワシは、どちらも生息地が減少したり生息数が減っている等の理由から絶滅のおそれがある種(絶滅危惧種)であり、「主にどこに集まっているのか」(餌環境など)、「羽数に大きな変化はないか」(特に急激な減少)を把握するため。
2つ目は、世界自然遺産に登録されている知床には、豊かな自然環境が維持されていることを把握するミッションが与えられています。その一環として、知床の生態系の上位にいる海ワシ類を対象に長期的にモニタリングを行うことで、渡来数や種・成幼の別など構成の変化も参考に環境の変化を把握するため。
そんなわけで私たちは、冬になると毎週、海ワシ類の調査を行っているのです。
では、どのように調査を行っているか手順・方法をご紹介します。
知床国立公園では、斜里町(ウトロ)側と羅臼町側で、それぞれ調査を行っています。
私の担当するウトロ側の調査コースは、知布泊漁港からスタートして、途中何カ所か止まりながらゴールの岩尾別川を目指します。
およそ25kmの道のりを、車を運転する人、調査する人の2名以上で、低速(20~40km/h)で移動しながら、目視で(つまり目で見て)海ワシがいないか探します。車酔いのひどい私にとって最初のころはなかなかの苦行でしたが、今ではそれを乗り越え長距離運転もなんのその...!?
海ワシを発見したら、以下の項目を記録簿に記入していきます。
・発見時間
・オオワシか、オジロワシか
・成鳥か、幼鳥か
・それぞれの個体数
・飛んでいるか、どこに止まっているか(どんな行動をしているかも)
記入している間にも、次から次へと海ワシたちがやってきて手が大忙しになることも。
飛んでいた場合、移動方向も矢印で記入するのですが、地図が苦手な私にはこれまた大変難しい。先輩ARの手もお借りしながら、ただいま修行中です。
苦労することもありますが、調査中に思わぬ発見もあったりします!
遠目だと「タヌキかな?」と思い、双眼鏡をのぞくとオジロワシでした!
海岸の砂地にちょこんと居る姿に癒やされました。
エサを貪るオジロワシ。
目の前で見るとかなりの大きさで、図鑑で見るのとは迫力が違う!
生で見る良さを知りました。
海ワシ調査はまだまだ始まったばかり。流氷がやってきてからが本番だそうで、例年だと一日に100羽以上を数える日もあるそうです。
それまでに先輩の手を煩わせない調査スキルを身につけたいと思う、今日この頃です。
今回は簡単ではありますが、海ワシ調査についてご紹介しました。今後もARがどんな仕事をしているのかや知床の情報をお届けしたいと思いますので、次回もお楽しみに!