アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、利尻礼文サロベツ、知床、阿寒摩周、釧路湿原、大雪山、支笏洞爺、日高山脈襟裳十勝国立公園があります。
環境省アクティブ・レンジャー写真展 北の自然の舞台裏
2022年06月01日
東川
アクティブ・レンジャー 渡邉 あゆみ
「Breeze is nice」
"黄金ヶ原"は、私の担当エリアの中でも特に好きな場所の一つです。広大で平坦な溶岩台地、あたりを埋め尽くす高山植物群落、風景にアクセントを加えるように点在する池塘。大雪山国立公園の山岳地の最深部に位置し、原始性が高く、神秘的な雰囲気が漂う場所です。
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暖かな光に包まれ、心地良いそよ風が吹いています。この柔らかな風はお花やハイマツを揺らし、山肌をなで、ヒグマの鼻先をくすぐり、そのさきも漂いながら悠久のときを旅するのでしょう。なんと羨ましい。私も風になりたい。
「秀峰 旭岳」
すそ野に紅葉をまとった旭岳は重厚感が増し、その堂々たる山容は、北海道最高峰の威厳に満ち、しばし立ち止まり見入ってしまいました。
大雪山には鋭さや険しさはありませんが、この大きさがあります。山腹には噴煙を上げる活火山、一年中消えない万年雪、長い歳月をかけて作られた複雑な地形やオブジェのような岩、その下で無数に広がる命の営み・・・大雪山に堆積されてきた目には見えない太古からの「時間」の息づかいを感じることができます。
あらゆるものがめまぐるしいスピードで変わってゆくおぼろげな私たちと、不変で在り続ける自然の強さ。圧倒的な自然を目の前にすると、人間は特別な存在ではなく、自然界の一員で、自然に生かされているのだと気付くことができます。自然を大切にするということは、私たち自身を大切にすることに繋がるのでしょう。