アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、利尻礼文サロベツ、知床、阿寒摩周、釧路湿原、大雪山、支笏洞爺、日高山脈襟裳十勝国立公園があります。
環境省アクティブ・レンジャー写真展 北の自然の舞台裏
2022年06月01日
大雪山国立公園
アクティブ・レンジャー 上村 哲也
「夜明け」
石狩連峰には、ユニ石狩岳三股登山口とシュナイダー登山口があり、山から山へと続く道が表大雪の沼ノ原までつながっています。
石狩連峰からは、北に石狩川が始まり日本海へ、南に音更川が始まり十勝川に加わって太平洋へ、東に無加川が始まり常呂川に加わってオホーツク海へと流れていきます。北海道の長い川が始まるような遠いところに連なる山々ですから、人々が暮らす街からも遠いところです。山に登る人がテントを張る場所は、日が落ちればたちまち暗くなります。風が木の葉をゆらす音、小川のせせらぎを耳にしながら、夜を過ごします。
夜明け前、気の早い小鳥たちがさえずり始めます。深く息を吸って雲のない空を見上げると今日の行動に向けて体に力が湧いてきます。
「夏の訪れ」
大雪山は、冬が長く雪の多いところです。6月の山開きにも多くの場所で雪の上を歩きながら山登りを楽しみます。9月には黒岳や銀泉台、旭岳周辺などに日本一早い紅葉が訪れ、初雪もやって来ます。
7月、花々は短い夏を待ちわびたように雪が消えてゆくそばから次々に咲き広がります。高根ヶ原は白雲岳から忠別岳へと緩やかに続く尾根。冬は強い風が吹き、雪が少ないことでかえって地面が冷たく凍りつきます。厳しい気象に堪えた様々な花が開きます。その中で初夏を知らせる花のひとつがホソバウルップソウ(Lagotis yesoensis、環境省レッドリスト2020絶滅危惧IB類)です。栄養の少ない大地にたくましく根を張っています。