アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、利尻礼文サロベツ、知床、阿寒摩周、釧路湿原、大雪山、支笏洞爺、日高山脈襟裳十勝国立公園があります。
環境省アクティブ・レンジャー写真展 北の自然の舞台裏
2022年06月01日
支笏洞爺国立公園
アクティブ・レンジャー 小松 瑠菜
「火山が生む絶景」
昭和新山 11月
1943年12月に有珠山の北山麓で地震が頻発し始めました。後に大地が隆起し、畑や民家、道路、鉄道があった場所が盛り上がり、翌年5月までに最大50m隆起しました。6月には畑から水蒸気爆発が始まったことで、10月末には7個の火口が誕生しました。1954年春に急激に大地が盛り上がり、407mの昭和新山が誕生しました。
こちらの写真は、支笏洞爺国立公園の特別保護地区に位置する「昭和新山」の山頂で撮影した写真です。私有地であることや、防災の観点から、通常は立ち入り禁止区域となっておりますが、業務で特別に立ち入った際に撮影しました。支笏洞爺国立公園を代表する羊蹄山・洞爺湖・中島・昭和新山と、火山が生み出す絶景を一望できたことはもちろん、この写真の下部にもうっすらみえる、白煙が足元から立ち上っていく様子にも圧倒されました。
「実るまで10年以上...」
羊蹄山 7月
羊蹄山を下山していたところ、地面で何かが動きました。よく見ているとシマリス(Tamias sibiricus)が登山道を駆け回っていました。どうやら食べ物を探していた様子。
背伸びをして、何かを頑張ってもぎ取る姿はなんとも愛らしく、こちらが何度もシャッターをきってもお構いなしで、夢中になって青々とした実に食らいついていました。
その後、山の中へ走り去っていったため、何を食べていたのか不思議に思い、残飯を見たところ、シマリスが食べていたのは、なんと実るまで10年以上かかるエンレイソウ(Trillium apetalon Makino)...!
エンレイソウに少々同情しつつ、食い意地を張り続けるシマリスの愛くるしい姿に癒されたひとときでした。