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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、利尻礼文サロベツ、知床、阿寒摩周、釧路湿原、大雪山、支笏洞爺国立公園があります。

環境省アクティブ・レンジャー写真展 北の自然の舞台裏

2022年06月01日
利尻礼文サロベツ国立公園

アクティブ・レンジャー 福井 翔太

「Restoration」

 

サロベツ湿原 10月

 

 サロベツ川は春先の雪解け時期に幾度となく氾らんを起こし、多くの農地や宅地が浸水するなどして人々の暮らしに大きな影響を与えてきました。そのため、治水対策として1961 年からサロベツ川放水路工事が行われ、氾らんは大幅に減少しました。その一方で、放水路に併せて作られた排水路によって湿原の地下水位は低下し、サロベツ湿原の中にある落合沼はその姿を消すこととなったのです。
 平成16 年に、環境省をはじめとする行政機関、専門家、地域の方々が協力して地域の基幹産業である酪農と多くの生き物を育む湿原の共生を目指した上サロベツ自然再生協議会が立ち上がりました。その中の取組で、地下水位を下げていた排水路を埋め立てたことによって、落合沼は再び水をたたえるようになりました。現在の落合沼にはエゾトミヨが暮らし、オオヒシクイが憩う場となり、サロベツの空を映し出します。

 

 

「優美な女神」

 

下サロベツ園地 7月

 

 日本でも最大級の高層湿原の面積を誇るサロベツ湿原は、希少種・固有種を含め様々な生き物の住処としての役割を果たしています。オオヒシクイ、コハクチョウ渡来地や高層湿原が評価され、2005 年には国際的に重要な湿地を守る取組としてラムサール条約の登録湿地になりました。渡り鳥や湿原一面に咲き誇るきれいな花々はサロベツ湿原の大きな魅力ですが、足下にも美しい生き物たちがひっそりと暮らしています。

 カラカネイトトンボ(Nehalennia speciosa)という名前がつけられたこのトンボは氷河期の遺存種(いぞんしゅ)と言われ、サロベツ湿原が成立したといわれる1 万年前から湿原とともに生きてきたのです。ガラス細工のような光沢のある金属色の身体に瑠璃色の目はまるで宝石のよう。この小さな生き物もずっと昔からサロベツ湿原の立派な一員なのです。