アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、利尻礼文サロベツ、知床、阿寒摩周、釧路湿原、大雪山、支笏洞爺、日高山脈襟裳十勝国立公園があります。
環境省アクティブ・レンジャー写真展 北の自然の舞台裏
2022年06月01日
利尻礼文サロベツ国立公園
アクティブ・レンジャー 福田 蒔太
「王者の風格」
沓形岬にて 12月
12月初旬、利尻島西岸の沓形岬にて、日本最大級の猛禽類であるオオワシに出会いました。オオワシは冬が近づくと越冬のため北海道に訪れ、利尻島でも運が良ければその姿を見ることができます。強風が吹き、荒い波が打ち付ける海岸にたたずむその姿に、王者の風格を感じました。
そんなオオワシも人間と同じく、ウイルスには感染してしまうようです。令和4年1月に北海道内で発見されたオオワシの死体から、高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されました。オオワシへの感染は道内初です。オオワシは鳥獣の死肉を食べることもあるため、ウイルスに感染した野鳥を食べて感染した可能性が考えられます。翌月には利尻島内でも野鳥の高病原性鳥インフルエンザ感染が確認されています。島内での希少猛禽類への感染拡大防止のため、行動に異常がある希少種の個体が確認された際は、慎重かつ迅速な対応に努めていきたいと思います。なお、鳥インフルエンザウィルスは、日常生活においては、過度に心配する必要はありませんのでご安心下さい。
「湖面に輝く利尻富士」
姫沼にて 10月
姫沼は、利尻山からの湧水をせき止めて造られた人工湖。ヒメマスを放流したことからこの名前がつけられました。秋には色鮮やかな紅葉を眺めることができ、利尻山と美しい湖沼とがあわさって創り出される風景は、心穏やかな気持ちにさせてくれます。天気が良い日には、この写真のように、湖面に映し出される「逆さ利尻富士」に出会えるかもしれません。風がないタイミングに訪れるのがおすすめです。
姫沼の周囲には環境省が設置した木道があり、一周にかかる時間は約20分。森林浴をしながら、利尻島ならではの風景を探勝することができます。また、クマゲラをはじめ多くの野鳥が生息しており、バードウォッチングを楽しむこともできます。
この木道を利用者が安全に歩行できるように点検、補修するのも利尻島アクティブ・レンジャーの大事な役割です。日々の巡視では、散策の支障となる倒木や、木道の損壊がないか、利用者目線で考えることを心がけています。