阿寒摩周国立公園 阿寒湖
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2017年02月28日六角形
阿寒摩周国立公園 阿寒湖 北川 栄司
日中はだんだんと暖かくなって雪解けが進んだりしていますが、晴れた日の早朝はまだまだ氷点下10度以下の日が続いている阿寒湖で、先日きれいな雪の結晶を見つけました。
雪のことを「六花」とも言いますが、きれいに六角形になっていますね。
「何で六角形になるんだろう?」
調べたところ、水分子の構造によるものだそうです。
水の分子は、酸素原子1個に水素原子2個が共有結合されてできていますが、結合角度が約104.5°となっているため、別の水分子と水素結合が起こるそうです。
平面図で表すと、以下の図のようなイメージです。
実際には立体的に結合するため、以下の図のように1個の酸素原子に4個の水素原子が結合してテトラポットのような形となり、立体的な六角形の構造ができるそうです。
世界で初めて人工的な雪の結晶を作り出した中谷宇吉郎氏は、気温と湿度の違いで様々な雪の結晶ができることを表したグラフを作成しています。
それによると、上の画像のような肉眼ではっきり分かるような大きな樹枝状の結晶は、「気温が氷点下15度前後で湿度が高い時」にできやすいそうです。
確かに、この画像撮影時の気温は氷点下16度くらいでした。
日本で、気温が氷点下15度以下になるような場所は少ないと思いますので、雪の結晶を見たい方は、冬の北海道に遊びに来て下さいね。
まだ吹雪くと上の画像のようになる時もありますが、暖房付きのテントでの氷上ワカサギ釣りや、パウダースノーのスキー場、夜の氷上フェスティバルなど、冬の阿寒湖も楽しいですよ。
2016年10月28日冬支度
阿寒摩周国立公園 阿寒湖 北川 栄司
先日、雌阿寒岳の初冠雪と紅葉の記事を載せたばかりですが、なんと!平年より3週間も早く釧路で初雪となりました...。どうりで寒いわけですね。
スズメが「ふくらすずめ」になっています。
エゾリスも、雪に埋もれてしまう前に、地面に落ちたオニグルミの実を、食べたり貯め込んだりと走り回っています。
ニンゲンも冬に向けての準備です。
阿寒湖畔エコミュージアムセンターや、阿寒湖畔園地に紅白のスノーポールや、さお竹を立てました。
雪の降らない地域の方には馴染みが無いかもしれませんが、冬には下の画像のような光景になるので、除雪時の目安の為に立てておきます。
まだ積雪はしていませんが、突然の降雪や、道路が凍結している事もありますので、車は冬タイヤに取り替えて、安全運転でお越し下さい。
2016年10月20日雪と紅葉
阿寒摩周国立公園 阿寒湖 北川 栄司
10月7日、平年より1週間ほど早く雌阿寒岳が初冠雪しました。その後、融けたり積もったりを繰り返していますが、紅葉が見頃となってきたタイミングで冠雪となったので、巡視の際写真を撮ってきました。
まずはオンネトーから見た雌阿寒岳。
「冠雪した雌阿寒岳」
山頂がうっすら冠雪しています。
阿寒湖周辺の森は、「針広混交林」といって針葉樹と広葉樹が混在した構成となっています。
オンネトーから山頂に向かって、紅葉した針広混交林→エゾマツ純林→ハイマツ帯→高山植物帯、という垂直分布が良く分かります。
次は、雌阿寒岳のお隣の阿寒富士です。
「阿寒富士と紅葉」
北側の斜面に雪が残っています。
雪と紅葉、今だけの光景です。
ちょうど風のない穏やかな時でしたので、オンネトーもこんな光景が広がっていました。
「鏡のようなオンネトー」
いつものオンネトーブルーとは違う、幻想的な湖面を見せてくれました。
阿寒湖では、雄阿寒岳登山口にある、滝見橋も有名です。
「紅葉の滝見橋」
この時は「もう少し」という感じでしたが、もう見頃を迎えています。
阿寒湖に向かう道路沿いも紅葉が見頃となって綺麗ですので、見とれて事故を起こさないよう運転に気を付けて、阿寒湖を訪れて下さい。
2015年12月22日結氷
阿寒摩周国立公園 阿寒湖 北川 栄司
エルニーニョ現象により暖冬といわれるこの冬、阿寒湖の結氷が例年より遅いようです。
(2015年12月21現在の阿寒湖の様子)
私が赴任した2010年の、同日の阿寒湖はこんな感じでした。
(2010年12月21の阿寒湖の様子)
例年、12月中旬頃から結氷が進んできますので、気象庁のデータで12月11日~20日までの阿寒湖の気温を調べたところ、以下のような状況でした。
12月11~20日 | 平均気温 ℃ |
平均最低気温 ℃ |
平年値 (1981~2010年) |
-6.8 | -12.5 |
2010年 | -5.3 | -10.4 |
2011年 | -9.3 | -15.6 |
2012年 | -7.4 | -12.5 |
2013年 | -2.4 | -4.7 |
2014年 | -5.5 | -10.5 |
2015年 | -3.4 | -7.8 |
暖冬で完全結氷が遅れ、ワカサギ釣りなどの氷上イベント開始が遅れた、2013年に次ぐ暖かさとなっていますね。
2013年度は、例年元旦オープンとなる氷上イベントが10日遅れの1月11日からとなりました。
(2013年度[2014年1月7日]の湖上)
安全確保の為湖水をくみ上げて散布し、車両が走っても大丈夫なレベルまで氷を厚くしてからオープンとなります。
例年ですと、下記画像の通りとなるのですが...。
(2014年度[2015年1月7日]の湖上)
この先、温暖化の影響で完全結氷が年々遅れることにならなければ良いのですが。
12月下旬の冷え込みに期待です!
2015年08月28日「雌」ではなく「雄」はいかが?
阿寒摩周国立公園 阿寒湖 北川 栄司
7月28日、気象庁は雌阿寒岳の観測データから火山活動が活発になっているとし、噴火警戒レベルをレベル1(活火山である事に留意)からレベル2(火口周辺規制)に引き上げました。そのため、現在は6合目(阿寒湖温泉登山道)、または7合目(雌阿寒温泉/オンネトー登山道)までしか登ることが出来ません。
体感できるような火山活動は起こっておらず、阿寒湖温泉周辺は平常と変わりがありませんが、百名山登頂を目指して来られた方は、残念な状況になっています。
しかし、実は「日本百名山」に記載されているのは「阿寒岳」であって、「雌阿寒岳」ではないのです。
「日本百名山」の作者、深田久弥氏が登山に来られた時には、「雌阿寒岳」がやはり火山活動のため登山できず、「雄阿寒岳」について書かれています。
歩行時間の短さや登山道が複数ある事、山頂の火口や麓のオンネトー、初夏の高山植物の風景など一般的には雌阿寒岳の知名度が高く、実際に登山者数も雌阿寒岳のほうが何倍も多くなっています。
ですが雄阿寒岳には、雌阿寒岳とはまた違った良さもあります。
まずは、パンケトー。
一般の方が近くまで行ける道路が無いため、湖全体を見ることが出来るのは雄阿寒岳の山頂からだけです。
阿寒湖も、雌阿寒岳より間近に見ることが出来ますよ。
もちろん、屈斜路湖や知床連山などは雌阿寒岳から望むより近くに見えます。
登山道が1本しかなく、コースタイムが往復6時間程度かかりますが、これを機会にまた違った「阿寒岳」に登られてはいかがでしょうか。
2015年04月28日阿寒湖の遅い春
阿寒摩周国立公園 阿寒湖 北川 栄司
北海道各地で記録的な大雪に見舞われたこの冬、阿寒湖周辺も例外ではなく、日の当たらない場所にはまだ多くの雪が残っています。
それでも木道の横に目を向けてみると...
着実に春は訪れています。
まだ湖面に氷の残る阿寒湖でも、毎年恒例の遊覧船による砕氷作業が始まっています。
4月29日には湖水開きのイベント、5月1日からはマリモも見れる定期観光遊覧船も始まります。
ゴールデンウィークには、遅い春が楽しめる北海道をぜひ訪れてみて下さい。
2015年02月20日オンネトー湯の滝の生態系維持回復事業
阿寒摩周国立公園 阿寒湖 北川 栄司
皆様、お久しぶりです。
阿寒湖の北川です。
久々のAR日記は、以前にもお伝えした「オンネトー湯の滝」の状況についてお伝えします。
以前から駆除を実施していましたが、なかなか根絶に至らなかったオンネトー湯の滝の外来魚。
実は、平成25年から「生態系維持回復事業」として、本格的な駆除作業を実施しています。
生態系維持回復事業についてはこちら。↓
http://www.env.go.jp/park/system/kanri10.html
平成25年は、事前調査を行い、外来魚の生息する池に流入する滝からの温泉水を、堰を設けて下流へ迂回させる対策を実施しました。
この対策により、小型のポンプで水抜き駆除が可能となり、頻繁に水抜き駆除が実施できるようになりました。
池の中からも温泉が湧出しているため、水が無くなったり、水温が大幅に低下する事はありませんでしたが、水量が減り水抜き駆除も頻繁に行った事により、生息数は大きく低下しました。
まずは、この対策による効果を確認していたのですが、やはり事前に予想されていた通り、岩の隙間や泥の中に逃げ込んで生き延びた個体が駆除しきれず、この対策だけでは根絶には至りませんでした。
そこで予定通り、次の対策として、冷たい沢水を池に引き込む作業を昨年末に行いました。
池の下流で合流している冷たい沢があるのですが、その沢水を源流に近い少し高い位置から、ホースをつないで池に引き込んでいます。
この冬の大雪の影響や水量調整等でまだ作業中ですが、すでに池で泳ぐ外来魚の姿は見られなくなってきています。
今後、取水による沢への影響を確認しながら、更に池に引き込む沢水を増やしていき根絶を目指していきます。
2012年12月10日発掘作業
阿寒摩周国立公園 阿寒湖 北川 栄司
事務所までたどり着けず・・・。
金曜日20cm強の積雪が、週末更に70cm以上積もり、1m近くの積雪となっていました。
車を路上の空きスペースに停め、ラッセルして事務所へ向かいます。
私の住まいは同じ釧路市阿寒町でも平地にあり、カルデラ内にある標高420mの阿寒湖とは気象条件にかなり差があります。
阿寒湖では風雪共に強かったようで・・・。
埋もれた車の後ろ姿、屋根に雪庇が出来ていました。
道東は北海道の中でも雪が比較的少ないほうで、阿寒湖のアメダス過去記録でも1日の積雪量57cmが最高なのですが、土曜日から1日30cm程度の雪が今も降り続けており、この時期で1mも積もったようです。
ちなみに、ここ2年間ではクリスマス時期に50cm程度の積雪となり、1mとなるのは2月以降でした。
さて、通常の積雪の場合、除雪作業はエコミュージアムセンタースタッフにお任せしているのですが、今日の状況ではそうは言ってられません。
除雪車と除雪機をフル稼働させて、エコミュージアムセンター来館者用の除雪作業を行っているスタッフとは別に、発掘作業を行います。
発掘中のお宝、官用車です。
屋根からソリすべりが出来そうなスロープが出来ています。
4輪駆動の官用車ですが、さすがに70cm越えの雪の中からは脱出できません。
スコップで掘って、掘って、掘り出します。
やっと官用車を脱出させ、エコミュージアムセンタースタッフと共に除雪作業を行い、マイカーを敷地内に入れ終わったのは2時間後、朝から汗だくとなり、お昼までまだ1時間以上あるのにお腹がグーッと鳴っています。
アクティブレンジャー、冬場のお仕事の1つでした。
2012年11月07日お片付け
阿寒摩周国立公園 阿寒湖 北川 栄司
6月から稼働していた登山者カウンターも、積雪の前に撤収です。
菅野保護官と共に、雄阿寒岳・雌阿寒岳に設置していた4台のカウンターを撤収してきました。
気温2℃の環境のなか、手袋では作業しにくいので素手で金属のボルトやコネクターを掴んで、鼻水をすすりながらの作業です。
(分解するのは早いので、同じような気温の5月下旬の設置時よりはましですが…。)
4台の撤収作業は、2人で半日程度で終わります。
但し、このまま倉庫入り、という訳にはいきません。
データを回収した後のお片付け…清掃、乾燥、充電、動作チェック、シリコングリス塗布などのメンテナンス作業があるので、しばらくテーブルはこの状態です。
ちなみに現在事務所の中には、湯の滝外来魚駆除用品、ウチダザリガニ調査用品も置かれています。
ウチダザリガニの調査は今月も実施するため、こちらのお片付けはもう少し先になりそうです。
事務所を所用で訪れる方には申し訳ありませんが、今月中は物が散らかってザリガニ臭いかもしれません。
ご容赦ください。
環境省では、世界水準のナショナルパークとしてのブランド化を目標とし、8つの国立公園で「国立公園満喫プロジェクト」をスタートさせました。阿寒国立公園もその1つです。
これに伴う組織体制の強化で、「阿寒湖自然保護官事務所」は「阿寒国立公園阿寒湖管理官事務所」に名称が変わりました。
国立公園管理事務所の設置について(環境省)
→http://www.env.go.jp/press/103888.html
人員も強化され、阿寒湖も4月からアクティブレンジャーが2名となりました。
新人アクティブレンジャーを伴って、春の巡視です。
「木道沿いのミズバショウ」
昨年度補修工事が終わった、阿寒湖畔エコミュージアムセンター木道沿いのミズバショウです。
白い苞が見えてきていますね。例年、ゴールデンウィーク頃が見ごろとなっています。
次は、天然記念物の「オンネトー湯の滝」。
「オンネトー湯の滝」
ここの温泉水が流れ込む池は以前、ナイルティラピアやグッピー等、人為的に放流された外来魚が繁殖し、池の藻類を食べ尽くしていました。
「以前繁殖していたティラピアとグッピー」
「藻類が食べ尽くされている池」
今まで様々な駆除を行ってきましたが、平成25年度から実施している「生態系維持回復事業」が効果を奏し、外来魚は激減しました。
「生態系維持回復事業」
上の画像の池では、現在外来魚は確認されておらず、池の中に藻類が増えています。
「外来魚がいなくなった池」
まだ他の池にグッピーが生き残っており、道路が冬季通行止めだったため数か月ぶりに確認を行いましたが、目視では魚影を確認できず、大きく数を増やしてはいないようです。
今後も、追加対策や調査を行い、根絶を目指します。
この事業で設置した配管や堰が若干目につくかもしれませんが、駆除終了後設置物は撤去しますので、暫くの間ご容赦ください。