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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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阿寒摩周国立公園 阿寒湖

88件の記事があります。

2009年09月17日白湯山展望台から臨む雄阿寒岳について

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 阿部 恭子

 夏の終わりを感じさせるような少し冷たい風の日、菅野自然保護官と共に白湯山展望台への巡視を行いました。
 展望台に着くと、ちょうど北西から雲が風に流され、雄阿寒岳に接近しているところでした。雲は徐々に雄阿寒岳を乗り越え、更に南東の方角へ移動していきます。晴天時の雄阿寒岳は山の輪郭が強調して見えますが(写真1)、この日のように曇りならば、雲の流れ方を見ると、山頂周辺により立体感が出て見えます(写真2)。



写真1:晴天時に撮った写真(2008年7月28日撮影)


写真2:曇天時に撮った写真(2009年9月8日撮影)

 雄阿寒岳は、一見山頂辺りが平坦に見えますが、写真2を見るとわかるように、山頂付近(標高約1180m)からピークが大きく分けて2つあります。写真2では、その2つのピークの隙間を通って雲が山を越えている様子を見ることができます。
 天候の違いで、同じ風景も違って見えるのも、自然の面白さの一つだと思います。季節が変わり紅葉の時期になると、阿寒湖の自然はもっと私達の目を楽しませてくれることでしょう!



ハラオカメコオロギのオス

 さて、最後の写真は、白湯山展望台から車で約5分の所にあるボッケ付近で撮ったものです。阿寒の火山性地熱帯では、このほかにもツヅレサセコオロギやマダラスズなど数種のコオロギ科が生息しています。

 虫の音が似合う季節になってきました。紅葉狩りに出かけようと思っている方もいらっしゃると思いますが、山に入る際はしっかりヒグマ対策をするようにして下さい。阿寒湖でのヒグマ目撃情報は最近ありませんが、彼らのテリトリーにお邪魔するという意識を持ち、熊鈴を持ち歩くなどの工夫をしましょう。


※白湯山展望台までのアクセスについて
コース①→阿寒湖温泉から阿寒湖畔スキー場まで車で約5分。そこから徒歩で登り約1時間半。歩道沿いのボッケを見ながら軽登山を楽しむことが出来る。
コース②→阿寒湖温泉からフレベツ林道を通り白湯山入口まで車で約25分。そこから徒歩で約8分。展望台へ行く最短コース。



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2009年08月28日湖岸清掃

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 阿部 恭子

 2009年8月23日、阿寒湖南西部の湖岸沿いの清掃活動を行いました。この日は、曇りのち晴れと、ゴミ拾いとしてはまずまずの天候。阿寒湖パークボランティア7名、一般参加者3名、自然公園財団2名、環境省2名の合計14名にて、いざ阿寒湖岸へ!


 午前中はスタート地点であるウグイ川(白湯川)周辺から硫黄山川周辺まで、午後は硫黄山川周辺からゴール地点であるキナチャウシ川(万代川)までの間を、胴付き長靴を履いてのんびり散策しながらのゴミ拾い…何とも心地良いのです。湖岸には、ツルアジサイが巻き付いたケヤマハンノキやイタヤカエデが湖を覆うように枝を伸ばし、浅瀬にはたくさんのヨシが風に揺れています。水面では、オヒルムシロが花を咲かせ、湖上へ飛び出したチョウやトンボの休憩所になっていました。

 回収したゴミは、同行しているカヌーに乗せて運ぶため、地上で行うゴミ拾いよりも楽々です♪…と、喜んでばかりはいられません。水中を歩くことは、予想以上に力を使うものです。ゴミ拾いも終盤に差し掛かった頃には、太もも辺りの筋肉に若干の疲労感が…。

 帰り道、「きょーちゃん、これ!」と参加者の一人が私を呼びました。行ってみると、阿寒の森では見慣れない鮮やかな花が…。このあたりには自生していないはず園芸植物が数種、そこにありました。誰かが鉢植えの中身をひっくり返して捨てて行ったようです。近年、オオハンゴンソウやセイヨウオオマルハナバチなどの外来生物の問題が新聞等でも取りあげられて防除活動が急務とされている中、このように無責任に廃棄された植物たちを見るのは、とても残念でなりませんでした。捨てられていた植物は、移入種として増える危険性が考えられたため、根ごと回収しました。在来種や希少種を守るためには、外来生物を「入れない、捨てない、広げない」という3原則を守りましょう。

 さて、阿寒湖畔エコミュージアムセンターへ戻り、「臭い…」と言いながらも頑張って分別をして…。今回回収したゴミの量は、可燃ゴミ23袋分、不燃ゴミ5袋分、タイヤ3本でした。なかなかの収穫ですね。

 ゴミ拾いに参加して下さった皆さん、ありがとうございました。また、楽しく清掃活動しましょう!阿寒湖にゴミがある限り!

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2009年06月04日2009年6月3日(水) ボッケの森 ~ニリンソウ~

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 阿部 恭子

ボッケの森の巡視を行いました。春まっ先に咲き誇っていたミズバショウも、今時期になると大きな葉を広げ、初春の頃とは違った存在感があります。
阿寒湖畔エコミュージアムセンターからボッケの桟橋へ向かう直線の遊歩道脇では、ニリンソウが全盛期を迎えています。周りで成長を始めたエゾイラクサに負けないように、健気に小さく可憐な白い花を咲かせ、私たちの目を楽しませてくれます。ニリンソウ(二輪草)はキンポウゲ科の多年草で、林床や草原に好んで生育します。ニリンソウとはいうものの、花柄(かへい)(花軸から分かれ出て、その先端に花を付ける小さな枝のこと)は1~3つ付けます。ボッケの森では、5月半ばから6月下旬頃まで見ることができます。


さて、ニリンソウ(二輪草)があるなら、イチリンソウ(一輪草)やサンリンソウ(三輪草)もあるのでは?と思われる方もいるのではないでしょうか。その通り!いずれも、植物分類学上で、立派な種として実在します。ただ、それらの見分け方は、1つの茎に2つの花柄(かへい)を付けるからニリンソウ…というような、単純なものではないようです。花柄(かへい)が2つのイチリンソウや、花柄(かへい)が1つのサンリンソウだってあるのです。では、どのようにしてそれらを見分けるのでしょうか?いくつか方法はあります。
まず、3種の花の大きさを比較すると、イチリンソウが最も大きいこと。また、イチリンソウとサンリンソウの葉には柄があるのに対し、ニリンソウの葉は無柄であるという違いがあります。その他にも、サンリンソウの開花時期が他の2種に比べて少し遅いなど、実はいろいろな違いがあるようです。
 現在ボッケの森では、ニリンソウの他にもエゾオオサクラソウやミヤマエンレイソウなど、様々な花を見ることができます。野鳥の声を聞きながら、爽やかなボッケの森をのんびり散策してみてはいかがでしょうか?


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2009年02月27日2009年2月22日(日) 「一歩園の森展望スキーハイキング」

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 阿部 恭子

 この日、阿寒湖畔エコミュージアムセンター主催の「一歩園の森展望スキーハイキング」が開催されました。一般参加の方が9名と、ガイド役を務める自然公園財団職員や阿寒湖パークボランティアからなるスタッフ7名の合計16名で、歩くスキーを履いて自然散策をしました。「一歩園の森」というのは、財団法人前田一歩園財団の所有林のことで、その所有林は阿寒湖を取り囲むように広がっており、昭和9年に阿寒国立公園の特別地域に指定されました。

 午前10時、阿寒湖畔エコミュージアムセンターで開会式を行い、いざ出発です。阿寒湖畔の国道240号線沿いにある、第2駐車場横の林道入口がスタート地点です。あいにくの空模様でしたが、自然公園財団職員の指導の下、全員でしっかり準備運動を済ませ、歩き始めました。その時の参加者の皆さんの目は輝いており、やる気がみなぎっている様に見えました。スタート地点から数十m進んだ辺りで、いよいよ林道を逸れ、本格的な散策が始まります。

林の中は、前日まで降り続けた雪でスキーの板がずぼずぼと埋まりましたが、転倒しても痛くないのが新雪のいいところです。転倒した場合にはストックも雪の中に深く埋まって支えが効かず、立ち上がれないという難点もありますが…。途中、数年前に植樹が行われた地点(標高約500m)周辺では針葉樹が多く見られ、スタッフからアカエゾマツの生長についての解説を受けたり、「枝に積もった雪が重そうだね。」とか話しながら、更に林の奥へと進んで行きます。出発前、新雪のため動物の足跡の観察は困難かもしれないという不安がありましたが、キタキツネや、エゾクロテンのものと思われる足跡が見られ、観察しながら歩みを進めることができました。
展望地点に着いた頃には若干の風雪があり、残念ながら阿寒湖とその横にそびえ立つ雄阿寒岳、阿寒湖に浮かぶ大島を望むことが出来ませんでした。その後、風当たりの少ない場所を探し、全員で楽しく昼食をとり、帰路につきました。
冬の阿寒の自然をたくさんの人たちと共有でき、貴重で有意義な時間だったと思います。
冬にしか体験できないことはたくさんありますので、阿寒の冬を大いに楽しんでみてください。

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2009年01月29日2009年1月27日  オンネトー地区への巡視

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 阿部 恭子

 今日は、阿寒国立公園の南西部に位置するオンネトー地区へ巡視にでかけました。といっても、冬期間は雌阿寒温泉から先のオンネトーまで至る道道が通行止めとなっているため、通常の巡視ではオンネトー湖畔までの巡視は行いません。ただ、冬の間でもスノーシューや歩くスキーで雌阿寒岳山麓周辺の散策や氷の張ったオンネトーを楽しみに来る人達もいるため、周辺地域の利用状況の把握や定点写真撮影などのため、オンネトー方面にまで巡視の足を延ばすこともあります。

 まず、雌阿寒岳登山口に着いたところで、「乗入規制区域」の看板が積雪で隠れてしまったことに気づきました。環境省では、自然を保護するための取り組みとして、国立公園内での自動車などの乗り入れの規制を行っている地域があります。野生生物の生息・生育環境などに悪影響を与えないように、自動車、スノーモービル、モーターボートなどが入ることなどを規制しているのです。そのような、国立公園内に設置された自然保護のための看板の管理も、アクティブレンジャーの仕事の一つです。場所によって様々な設置方法がありますが、雌阿寒岳登山口の看板は、設置する樹木への負担をできるだけ軽減するため、伸縮性のあるゴム製の紐で結わえています。看板の前に積もった雪を乗り越え、利用者の視界に入りやすい高さにまで移動しておきました。

 冬のオンネトー地域は、スノーシューや歩くスキーで散策するには、自然が豊かで大変気持ちのいい場所です。春から秋までの顔とは違う自然の様子を探しに出かけてみませんか?安全面には十分注意して、魅力あふれる阿寒国立公園の冬のレジャーを楽しんでみてください。

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2008年12月25日2008年12月15日(月) オンネトー湯の滝への巡視

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 阿部 恭子

 阿寒国立公園雌阿寒岳の南西麓に、オンネトー湯の滝と呼ばれる温泉水が流れ落ちる滝があります。湯の滝は、入口の駐車場から、南へ約20分林道を歩いたところにあります。かつては秘湯として入浴が可能でしたが、天然マンガン鉱床の生成が見られ、世界的に希少な場所であることから、2000年に「オンネトー湯の滝マンガン酸化物生成地」として天然記念物に指定されており、現在は入浴することができません。
 湯の滝下の池には、マンガン生成現象を作る藻類が繁茂しています。ところが、その藻類を捕食する2種類の外来魚(ナイルティラピアとグッピー)が生息していることによって、その貴重な生態系の維持が危ぶまれています。常時お湯が沸き、冬も水温が下がらない湯の滝は、熱帯魚である彼らにとって生息や繁殖に大変適した環境と言えます。そこで、湯の滝の貴重な生態系を守るため、環境省と足寄町によって、これまで様々な外来魚防除事業を行ってきました。
 現在、環境省では、国立公園等民間活用特定自然環境保全活動(グリーンワーカー)事業を活用して、平成18年度からの3カ年事業で外来魚の防除に向けた取り組みを行っており、今年度は過去の経緯を踏まえた上で、特に外来魚の生態や水質などの調査研究を行いました。足寄町では、10月29~31日に滝下の池の水をポンプで抜くという大々的な駆除事業を行い、約4000匹の成果が得られました。
 足寄町の駆除事業が終了した日から冬期間の雌阿寒温泉地区のゲートが閉鎖になるまでの間、滝下池とその下流の2つの堰(外来魚の他水域への出入りを防止するためのもの)の間に残存する外来魚の状況確認と捕獲作業が、私の業務内容に加わりました。捕獲方法は、主にたも網と釣り竿によるものですが、外来魚もだんだん知恵を付けてきており、釣りでの捕獲は困難になってきました。そこで、最近では主に両手にたも網を持ち、追い込みながら捕獲するような形態を採っています。現在、目視できる範囲での個体数は、滝下の池にナイルティラピア4匹とグッピー数十匹、滝下池の下流に位置する2つの堰の間ではナイルティラピア3匹とグッピー数匹にまで減少しました。
 普段は1人で捕獲作業を行うのですが、この日はボランティアの方3名が駆除作業に加わって下さいました。堰と堰の間での捕獲作業では、2人が下流側で網を構え、残りの2人が上流側から水音を立てながら外来魚を川下へ追いやります。1人では追い込みによる捕獲には限界があるのですが、4人だとやはり作業効率は上がり、いつもより捕獲個体数は多く、ナイルティラピア3匹、グッピー30匹という成果が得られました。
 冬期間は道道オンネトー線のゲート閉鎖により、湯の滝への巡視は難しくなりますが、来春以降も、外来魚駆除に積極的に取り組んでいきたいと思っています。




駆除作業中

岩に咲いた雪の花

捕獲個体の一部(左:ナイルティラピア、右:グッピー)

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2008年09月29日雌阿寒岳

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 阿部 恭子

9月24日、自然保護官と共に雌阿寒岳の巡視を行いました。この日は若干肌寒くはありましたが、青空が広がり、登山にはまずまずの天候でした。

登山口は、道道オンネトー線沿線の野中温泉裏手にあり、周辺には駐車場も整備されています。また、阿寒湖畔と雌阿寒温泉を結ぶバスもあり、登山者にとってはアクセスしやすい山と言えるでしょう。この日は、登山者名簿によると、既に私達の前に約30名の登山者が登り始めていました。

午前9時頃、雌阿寒温泉側の登山ルートを登り始めて間もなく、近くの木々の間から鳥の声が聞こえてきました。ミヤマカケスです。腰が白いので飛んだときによく目立つのが特徴です。

木々の隙間を通り過ぎる少し冷たい風に、秋の訪れを感じつつ、しばらくはアカエゾマツが優占する森林帯を進みました。針葉樹では、アカエゾマツの他にトドマツが分布しており、ナナカマドやミヤマハンノキなどの広葉樹も見られました。

4合目手前の森林限界(写真参照)を過ぎると、実を付けたコケモモやガンコウランが現れ、ハイマツ帯も秋の装いに変身していました(写真参照)。



5合目付近からは、アカエゾマツの美しい森に囲まれたオンネトーの水面を見ることができました。時折振り返ってオンネトーを望むと、湖の色が明るいコバルトブルーからエメラルドブルーに変化していくのが確認できました。オンネトーが五色沼と呼ばれる所以です。

7合目付近からは火山荒野が広がり、砂礫地では砂利に足を取られないよう、一歩一歩慎重に歩を進めました。夏にはメアカンフスマやコマクサ、メアカンキンバイなどの高山植物を観察することができ、最盛期の7~8月には、それぞれ可憐で綺麗な花を咲かせます。

山頂が近づくにつれ、ゴーという火口からの荒々しい噴気の音が聞こえ始めました。徐々に風が強まり、登山開始時の天候が嘘のように突風が吹き荒れている状態でした。山頂からは、火口から激しく噴気が上がっている様子が確認できました。また、青く澄んだ阿寒湖とその隣に雄大にそびえ立つ雄阿寒岳をも望むことができました(写真参照)。その後、強風の中で少しの休憩をとり、下山を始めました。

これから紅葉シーズンを迎え、登山を予定している方もいると思います。登山の際は、くれぐれも怪我や遭難にはご注意下さい。また、雌阿寒岳はヒグマの生息域でもありますので、クマ鈴を持ち歩くなどして、自分の位置をクマに知らせ、突然の遭遇を避けましょう。また、山の天候は変わりやすいので、防寒具や非常食等の装備を整え、楽しく安全に登山をしましょう。

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2008年04月16日はじめまして

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 阿部 恭子

 みなさんこんにちは。先月釧路の大学を卒業し、4月から阿寒湖自然保護官事務所のアクティブレンジャーをすることになりました、阿部恭子です。自然保護官の玉谷レンジャーと、この豊かな大自然、特に阿寒ならではのマリモを始めとした多くの動植物のために、活動していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

さて、今日は阿寒湖自然保護官事務所の裏手に広がる、ボッケの森へ保護官と巡視に出かけました。第1駐車場からつながる遊歩道「森のこみち」を抜け、「ボッケ」へ向かうルートです。
木道の階段を下りて、まず最初に私たちを迎えてくれたのはミズバショウです。一部開花している所もありましたが、阿寒での最盛期はまだ少し先のようです。遊歩道周辺にはまだ雪が残っており、所々ぬかるみになっていました。
今にも落ちてきそうな、歩行者にとって危険と思われる枝がないかを確認すること、自然解説のボードが汚れていたら拭くことなど、アクティブレンジャーとしての仕事を教わりながら林の中を進みました。15分くらい歩いたでしょうか。私達から20m程離れた所で、二匹のエゾリスが木の上を自由に駆け回っているではありませんか。私はエゾリスを間近で観察したことがなかったため、二匹のエゾリスに目が釘付けになりました。カメラを構えましたが、動きの早さについていけず…(写真1)。エゾリスとの素敵な出会いに感謝してその場をあとにしました。


しばらくすると、かすかに硫黄のかおりが風に混じって感じられました。ボッケが近づいている証拠です。しばらく歩くと、目の前に灰色の泥土が広がる沼、ボッケが見えてきました(写真2)。ボッケとは、アイヌ語の「ポケフ」=「煮立つ」から付けられた地名だそうで、「泥火山」と呼ばれる現象を意味しています。ボッケでは、地下からわき立つ火山ガスがボコボコと音を立てて吹き出しています。阿寒国立公園内には、雌阿寒岳という活火山もあり、火山活動が活発な地域であることを実感しました。

今日は、阿寒の自然と触れあうことができ、これからのアクティブレンジャーとしての仕事へのやりがいを強く感じました。まだまだ書き足りないのですが、阿寒のすばらしい自然やアクティブレンジャーの活動内容について、これからのアクティブレンジャー日記に掲載していきたいと思います。つたない文章ですが、一生懸命書きますのでどうぞよろしくお願いします。

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2008年03月19日I LOVE AKAN 

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 福井 絵美


平成20年3月19日(水)現在。
阿寒に来て3年。月日の流れは早いものです。
たくさんの人と出会い、たくさんの素晴らしい自然に触れることができた「地」、「阿寒」は、私にとって特別で大切な場所となりました。

幼少の頃、両親に連れられて巡った私の記憶の中の「オンネトー」や「阿寒湖畔」の面影は、20年以上経った今でも、おぼろげではありますが確かにそこに残っています。
 
いつの頃からか、私は野生生物の分野での勉強を志し、平成11年4月に網走市にある東京農業大学生物産業学部に入学。平成12年、13年と、阿寒における野生エゾシカの樹皮食害調査研究のため、冬季間、週3回、網走から阿寒へと車を走らせては、阿寒で調査をし、そしてまた網走へトンボ帰りをする日々の繰り返しで、多いときで1週間連続ほぼ毎日、阿寒の森へ通い詰めていました。実際、冬場は、研究室にいる時間よりも、阿寒の森で調査研究していた時間の方が遙かに多かったと思います。私にとって「阿寒」は、「自然の学校」だったのかもしれません。
 
そんな「自然の学校」で、平成17年6月から、環境省の「阿寒湖アクティブレンジャー」として阿寒国立公園(阿寒湖自然保護官事務所)で仕事ができることが決まった時は、本当に心から嬉しかったです。再び、自然豊かな「阿寒」に舞い戻り、社会人として、仕事を持って、生活できる喜び。

大学時代に研究のため阿寒の森へ通ってはいましたが、実際阿寒で四季を通して住んでみると、阿寒の本当の自然の凄さ、貴重さが改めてというか初めてに近いものを感じました。

環境省の「アクティブレンジャー」として阿寒国立公園で働けたことは、少なくとも私にとっては、生涯の誇りです。長生きしていつかおばあちゃんになったら、孫にでも自慢したいと思います。

「阿寒」のたくさんの恩恵を受けて、私は、本当に良い経験・体験をさせていただきました。「感謝」の一言につきます。

ありがとう。阿寒。 




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2008年03月10日幻の白湯山スキーハイキング

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 福井 絵美

  
3月2日(日)。晴れ。今年度最後の自然ふれあい行事「白湯山スキーハイキング」に参加してきました。
  
10:00 阿寒湖畔スキー場に集合。身の回りの準備を整えたら、リフトに乗って今回のコースのスタート地点であるリフト終点へ向かいました。


▲リフトに乗ってスタート地点(リフト終点)へ向かう参加者の方々

 
10:30 リフト終点に辿りつき、準備運動をしていざ出発。はじめは登りでもっとも傾斜のきついところでした。皆さん苦戦しつつも階段登行などでなんとか一歩一歩登っていました。傾斜のきついところから登りつめやっと平坦になってきました。



▲階段登行で登る


11:30 針葉樹を避けながら先へと進むと、次第に雪の少ない開けた場所に辿りつきました。それは、今回のコースの見どころのひとつでもある「白湯山展望台」です。展望台周辺の雪が少ないのは、地熱があるためです。「白湯山」の名前の通り、ところどころに白い湯気が立ち昇っているのを観察することができます。この展望台からは、天候がよければ雄阿寒岳や阿寒湖、雌阿寒岳などが一望できます。参加者の方々は、その雄大な景色を前に思い思いに今回のハイキングの記念にたくさん写真を撮っていました。スタッフによる自然解説が終わると、最後に全員で記念撮影。


▲針葉樹が凛とそびえ立つその姿はとても美しかった


▲白湯山展望台に到着


▲白湯山展望台にて


▲白湯山展望台からの景色(右に見える山が雄阿寒岳、正面の白い部分が結氷した阿寒湖、その手前の湖畔が阿寒湖温泉街)


12:30 展望台を後にし、アカエゾマツやトドマツの木々を抜けて一端南東方向へと下っていくと昼食場所の三叉路に到着。風の当たらない木々の間で、昼食をとりました。

13:00 再度点呼をとって、参加者及びスタッフ全員がいることを確認すると、ダケカンバの純林をめざし、いざ出発。次第に針葉樹の森を過ぎると、突如ダケカンバだらけの森にでました。このダケカンバの森は、大正初期に山火事が発生し、その後、荒地にいち早くダケカンバが再生した一斉林だといわれています。ダケカンバの木々の間をうまくすり抜けて、参加者の皆さんは思い思いの場所をスキーで滑って楽しんでいました。


▲ダケカンバの純林


15:00 林道を滑り下りてゴール地点の大島前の駐車場につき、スタッフの車で阿寒湖畔スキー場へ移動し、再び集合場所に戻ってきました。ここで閉会式を行い、解散。皆さんケガもなく無事、行事を終えることができなによりでした。
 
  この「白湯山スキーハイキング」は、一昨年、昨年と天候に恵まれず、吹雪のため当日中止となっていたイベントでした。スタッフの間では、「幻の白湯山スキーハイキング」とまで呼ばれていました。今回はようやく天候に恵まれ、私が阿寒に来て3年目にして、初めてこのハイキングに参加することができました。冬でしか見られない阿寒の森を観察し、白湯山展望台からの雄大な阿寒カルデラの景色を眺め、ダケカンバの純林など植生の変化を楽しめる見どころ満載のスキーハイキングでした。


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