ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大雪山国立公園 上川

159件の記事があります。

2010年09月07日色付き始めました(紅葉情報第一弾)

大雪山国立公園 上川 井上 智雪

本日の銀泉台~赤岳の様子です。

第一花畑と第三雪渓付近の様子です。うっすらと黄色くなり所々赤色が混じっています。



奥ノ平ではチングルマがきれいなピンク色に染まっています。



コマクサ平ではウラシマツツジが真っ赤に染まり見頃を迎えています。





最近かなり暑かったのでもう少し朝晩が冷え込んだら一気に紅葉が進みそうです。

私は今年、大雪で初めての紅葉を見ます。多様な植生の大雪の山々がどんな素晴らしい景色を見せてくれるのか今から楽しみです。

銀泉台への道路は9月9日19時からマイカー規制を行います。詳しくは下記を参照ください。

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2010年07月29日寒いです

大雪山国立公園 上川 井上 智雪

最近事務所へ登山中の服装についての問い合わせの電話が多いので普段私が巡視やプライベートで使用している服装を紹介します。

一番下は半袖のTシャツを着ます。日焼けが気になる方は長袖が無難です。

次に薄い長袖のシャツです。温度調節が安易にできるように胸元がジッパーで開く様になっているものを選んでいます。早朝体が暖まる前や肌寒いがフリースを着て歩いたら汗をかきそうなときに重宝します。




その次はフリースです。いわゆる防寒着です。強風と豪雨の稜線はもちろん山頂でのティータイムにも使用します。汗をかいたあとの休憩時には肌寒くなることが度々あります。そんなときこそザックからおもむろに出してパッと羽織ると便利で快適です。




これら全ての服の素材は化学繊維です。例外としてメリノウール100パーセントのシャツは使用しますが、綿のシャツは一切着ません。
汗や雨に打たれて濡れて風に当たると驚くほど寒くなります。速乾性のある化学繊維はそんな時にこそ真価を発揮します。




最後に一番大事な雨具ですが、これはゴアテックスのセパレートタイプのものを使用しています。雨だけでなくウインドブレーカーの代わりにも使います。登山道で100円ショップに売っているような合羽?や傘を差して歩いている人を見かけますがやめましょう。傘は転んだときに運が悪いと骨組みが体に刺さって大けがをします。

街は暑いかもしれませんが山は寒いです。事務所の標高が約300m。ロープウェーで手軽に行ける黒岳が約2000mです。山の気温は100m登るごとに0.6℃下がると言います。真夏でも20℃を下回ることがちょくちょくあるので、事務所の気温を20℃として単純計算したら標高差1700mの山頂では約10℃低い10℃です。東京の真冬の気温と同じくらいです。風に当たると体感温度がさらに下がります。風速1mで1℃と言われていますので悪天候時は体感温度が簡単に氷点下になってしまいます。

山のウェアはお金がかかります。高いからといって手抜きをしますか?楽しいはずの登山が苦行になり、場合によっては命を落とすことにもなりかねません。
命の値段だと思えば安い買い物だと私は思います。装備をそろえれば安全になる訳でも、事故が起きない訳でもありません。しかし装備の貧弱さに起因する事故は未然に防ぐことができるはずです。


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2010年07月09日【日本のいのち、つないでいこう! COP10まで100日前】

大雪山国立公園 上川 井上 智雪

高山蝶の密猟

 新聞報道等でご存じの方もいらっしゃるでしょうが、大雪山系で天然記念物の高山蝶を違法に捕獲していた人が警察に捕まりました。ウスバキチョウ、アサヒヒョウモン、ダイセツタカネヒカゲの三種類で約170頭も違法採取されていました。


違法に捕獲された蝶
(写真はいずれも旭川東署提供)


 後日、私も違法捕獲の現場へ行き、2時間程いましましたが、その間にダイセツタカネヒカゲ1頭のみしか目撃することができませんでした。聞いた話によると、そもそもとても数が少ない蝶だそうです。
 蝶は成虫になるまで3回脱皮しなければなりませんが、高山蝶は1年に1回しか脱皮しないそうです。ウスバキチョウ、ダイセツタカネヒカゲは卵から羽化するまで足かけ3年かかります。来年は例年通り観察することができたとして3年後はどうなるでしょう?もし産卵する前に捕獲されていたとしたら個体数は激減するでしょう。高山蝶の幼虫を食べる種もいます。幼虫になるべき卵が産まれていなければ少なからず影響があるはずです。高山帯でも食物連鎖は立派に成立しています。極端に言えば生態系が崩れ生物の多様性も失われてしまいます。




包み紙に入れられ潰れてしまったウスバキチョウとアサヒヒョウモン

 今回違法に捕獲された蝶は氷河期から生息し、温暖化が進むにつれて寒冷な気象条件を求め高山帯へと生息地を移して行きました。現在では厳しい自然環境下の高山帯のごくわずかな限られた場所にしか生息していません。蝶が好きならなおさら数年後、数十年後野生の飛んでいる蝶が見られるように守って行かなければなりません。

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2010年06月24日表大雪開花情報

大雪山国立公園 上川 井上 智雪

赤岳方面に巡視に出ってきました。
赤岳のコマクサ平から小泉岳にかけて、ようやくお花が咲き始めました。


赤岳から小泉岳の稜線

ミヤマキンバイ、メアカンキンバイ、イワウメ、ホソバウルップソウ、エゾオヤマノエンドウなどの開花を確認しました。


エゾオヤマノエンドウ

なお今年は例年になく残雪が多いようです。


今回の巡視ルートでは、写真のような雪渓が計4カ所有り、かなりの急斜面をトラバースしたり上り下りしなければなりません。朝晩はまだまだ冷えますし、風が強いと表面が瞬時に氷化します。しっかりとした装備と慎重な判断で楽しんでください。

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2010年06月15日生命力の不思議

大雪山国立公園 上川 井上 智雪

先日沼の平に巡視に行ったときにおもしろい形のダケカンバを見つけました


下の木は黒っぽくてごつごつした樹肌、上の木は白く見るからにダケカンバです。ねずみのしっぽのような枝も生えています。ダケカンバを見るのは初めてだったので、私はてっきり別な木が折れて、そこにダケカンバの実が落ちて生えたと思いました。




森の木に詳しい先輩に聞いたところ、この正体はどちらもダケカンバだそうです。私にとっては珍しかったのですが、折れたところから新たしい枝が芽吹き大きくなったようで、大雪山ではよく見かけるそうです。珍しいものではありませんでしたが、たくましい生命力に感動しました。皆さんも森の不思議を探して下さい。


ちなみに山はまだまだ雪が積もっています。

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2010年06月02日春から初夏になるはずですが・・・・・

大雪山国立公園 上川 井上 智雪

今年は雪が多いそうです。
先日行った沼の平も登山道を雪が覆っていてさらに融雪による増水で渡渉ができず引き返しました。




本日行ったユニ石狩岳でも林道に雪が残っていて、そこから先に進めず狭い道で必死になって車の切り返しをして引き返しました。



これからの季節本州から梅雨を避けて北海道で登山しようと思っている方もいるかと思いますが、まだまだ雪山です。事務所のある上川でも朝晩はかなり冷えます。夏山の格好で山に入ると大変なことになりかねません。
しっかりした足回りと装備で楽しんでください。



登山道にヤチブキが生えていました。
※国立公園内では採らないでください。




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2010年05月26日はじめまして

大雪山国立公園 上川 井上 智雪

はじめまして
17日に上川自然保護官事務所に着任しました井上智雪です。

プライベートでは雪のある時期は冬季登攀や長期の縦走、アイスクライミングを雪のない時期はフリークライミングやアルパイン、時々縦走をしております。
結構危ういクライミングが好きだったりします。
ここでは主に登山道情報を載せていこうと思っています。
事務所ではなくできる限り山に行きたいと思っています。なので上川管内の山には頻繁に出没するはずなのでよろしくお願いします。

さて先日早速層雲峡にある紅葉谷に行ってきました。クマゲラに会えることを期待したのですが、見事に裏切られました。かわりに大きな蝦夷鹿に会うことができました。
今年は雪解けが遅いらしく、至る所に残雪があります。本来は気軽に行ける紅葉谷でも残雪と泥濘が多いのでスニーカーではしんどいと思います。




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2009年10月30日初冬

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

木の葉も落ち、見通しが良くなった樹林帯の中を歩くと、枯れ葉のにおいや、枯れ葉を踏んだ音、霜柱や薄氷を踏みしめる感触が、初冬の雰囲気を盛り上げています。

人気の少なくなった樹林帯の登山道では、見通しがよくなったおかげで小鳥たちをよく見かけます。群れで枝に残っている種を食べているところ、仲間達でピーチクパーチク鳴いているところ、雪の上に落ちた種をついばむことに夢中なところや登山道をゆっくり歩いているところなど、近くで鳥たちの動きを見ることができました。


エサを探すコガラ


また、岩場のある麓では、ナキウサギが登山道脇にも姿を見せてくれました。私の気配に気がつくと、一時は穴に入って隠れますが、少しすると同じ穴や近くの穴から顔を出し、様子をうかがってから出てきて、草や苔をちぎって、食べたり、運んだりと冬の準備のため大忙しでした。実は今まで、せわしなく歩いていたり、会いたいという思いが強すぎて殺気立っていたりするのか、あまりナキウサギに会ったことはないし、見かけても遠すぎてよくわかりませんでした。しかし実際、近くで会ってみると、コロンとした姿やつぶらな瞳、チョロチョロした動き方や、斜め上に顔を上げてじっとしている瞑想といわれるが姿など、全てがかわいらしさ抜群で人気が高いのも納得がいきます。

さて、このナキウサギ見たことは少なかったものの、岩場やガレ場を通れば、鳴き声はよく耳にしていました。言葉では表しづらいけれど、「ピチッ!!」や「キィ!!」「チッ!!」などの鋭い高い声。目立つ岩の上とかで鳴いていたりするので、何でわざわざ目立つところで鳴くのだろう?あれでは「私はここにいますよ」とアピールしていて、より危険なのではないかと思っていたので調べてみたら、どうやら警戒声というよりは縄張り宣言のことのほうが多く、ほかの個体の侵入を防ぐ効果があるそうだ。危険を感じたときには、逃げながら「ピィルルル」という声を上げるらしい。

そして、なんと!!鳴き声で雄雌を聞き分けられるそうです。雄は「キッ」型の鳴き声で、雌は「ピッ」型らしい。えぇ!?聞き分けられるの?というのが率直な感想で、まったく思い出しても違いがわからないほど難しい。聞き分けができるようになるまで長いつきあいになりそうですが、聞き分けられたら会うのが楽しみになりそうです。


穴から出てきたナキウサギ


この時期に外に出たら、これからくる厳しい冬の前の野生動物の一時を見る事ができました。今年の冬はどんなシーズンになるのか、すこしずつ近づいてくる冬をわくわくドキドキそわそわしながら待っています。

さて、上川管内の登山口までの道路が冬期閉鎖しています。
【道道・銀泉台線】  閉鎖期間:2009/10/15~2010/6/17
【道道・愛山渓上川線】閉鎖期間:2009/10/22~2010/4/22
【町道・高原温泉線】 閉鎖期間:2009/10/11~2010/6/5
※積雪の状況によっては予定が変更することがあります。


黒岳6合目から(10/28)

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2009年09月09日高原温泉沼巡りコース

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

大雪山のあちこちの山では、紅葉が見頃になってきました。


9.9緑岳の紅葉


さて、閉鎖していた、高原温泉沼巡りコースは、9月10日からコースに入山できるようになりました。これから紅葉の見頃を迎えるこのコースは、ヒグマの生息地でもあります。なので、ヒグマ情報センタースタッフによるレクチャーを受けなければ、入山することが出来ません。人間とヒグマとの遭遇事故を最小限にするために、センタースタッフの指示に従って登山してください。またここは、マイカー規制をおこなっている場所です。日にちと時間は必ず確認してください。

なお、本日、白雲非難小屋では朝、初雪を確認し、お昼前後の緑岳では吹雪いていました。
あっという間に体温を奪われていきますので、冬山の装備が必要です。


本日緑岳は吹雪きました。
雪とウラシマツツジの紅葉(9.9)


雪解け後に咲くチングルマと紅葉。(9.9緑岳)
春の花と紅葉が一緒に見られるのも大雪山の魅力の一つです。

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2009年09月08日彩る大雪山

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

夏だ!!と思える日もあっという間に過ぎ去り、季節は秋へと移り変わり始めました。山は日に日にみるみると色づき始めて、駆け足で冬支度をしています。
8月25日に黒岳石室では、最低気温が-3℃になり、その日に初氷も確認したそうです。
山の上はもう一歩一歩冬に近づいていますので、防寒対策は必須です。

紅葉といえば、今年もマイカー規制を行います
規制区間は、赤岳登山口の銀泉台線、沼巡りコース及び緑岳登山口の高原温泉線です。
期間や時間などの詳しい情報は下記URLを参照してください。



なお、現在、高原温泉沼巡りコースは、人をおそれないクマが登山道脇に頻繁に出没することから、コースを閉鎖しています。
コースの対応については、関係機関で調整中ですので、規制の変更など今後の動きにご注意ください。

※※※大雪山の紅葉の様子※※※

【9月2日・雲の平】


【9月3日・沼の平】


【9月4日・ニセイカウシュッペ山】

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