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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大雪山国立公園 上士幌

92件の記事があります。

2010年07月02日THE・ザリガニ週間&母なる川

大雪山国立公園 上士幌 三浦 武

 同じケンミンであるJAXAの川口プロジェクトマネージャーによる「はやぶさ帰還」と、サッカー日本代表のカメルーン戦で貴重な勝利を挙げて国内が湧いていたそのころ、一週間ぶっ続け(6月14日~18日)の然別湖のウチダザリガニ春防除を行いました。協力いただいた大雪山国立公園パークボランティアの皆さん、上川事務所の井上AR、北海道環境事務所から援軍参加の皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。

アイヌの白蛇姫伝説にオショロコマとザリガニが登場する然別湖

結果から申しますと、昨年春の1日当たり約700個体、秋の557個体に比べ今年は1日当たり460個体。3日間の罠で2000個体を超えた昨年より確実に捕獲数は減っています。一昨年に比べると1日当たりではほぼ半減しています。これを防除効果による生息密度の低下と見て良いのか、ザリガニがサンマに飽きて簡単に引っかからなくなったのか。通年のデータが出てみなければ判断はできませんが、これまでの防除成果ということにしておきましょう。


 
外来ザリガニだらけの然別湖という現状の一方で、まだ侵入していない流入河川はどうなっているのかと防除週間が終わった直後に調査へ行きました。完全禁漁河川で釣り行為は周年で禁止されています。

オショロコマは川にとどまるうちは共食いしないと言われています
 
きわめて透明度が高い流れにオショロコマ(ミヤベイワナ)稚魚が群れをなしています。上の画像だけでも200匹以上います。川底の石をひっくり返すと水生昆虫の豊富なことに驚嘆します。
この母なる川と外来ザリガニだらけの湖が隣り合わせの状況を連動させて何か体験プログラム(体験型環境教育)をできないかと思案を重ねています。
今年度はウチダザリガニの夏防除も計画されており、次は8月下旬に実行予定です。

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2010年05月18日冬眠から覚めたあいつ

大雪山国立公園 上士幌 三浦 武



 5月14日。公園内のとある調査(いまは内緒)で東大雪の石狩連峰の麓へ踏み入りました。
 林道にはかなりの雪が残り、車では途中までしか行けません。片道約3時間の距離をスノーシューで進みます。気温は10℃くらいで日差しもあり、体を動かすにはちょうどよい条件で森の中を進みます。


 1時間ほど進んだところで足元を見ると何かの足跡が。お化け屋敷やホラー映画などとは全く違う種類の恐怖感が襲います。恐怖映画につきもののBGMや効果音などここにはありません。小鳥のさえずりや木の枝がこすれる音、それに川のせせらぎなど大自然の音しか聞こえませんが、十分怖さを引き立ててくれます。
 爪の痕がはっきり分かるということは前日かこの日の早朝と見て間違いない。かなりの距離をこの足跡とともに進むというなかなか刺激的なひとときです。鉢合わせしてしまったらそのときはそのとき。
 歩幅はそれほど間隔が広くなく、若い個体と思われます。体重はせいぜい200kg弱程度でしょう。大関把瑠都と同じか。それでも闘って敵う相手ではありません。
 足跡はやがて、水のあるところに踏み入って再び林道へ戻っています。


 ミズバショウの食痕です。
 実は足跡の持ち主はザゼンソウをより好んで食べるのですが、北海道では標高700mを越えるとザゼンソウが無くなるために、ミズバショウを食べるというのが本当のようです。ミズバショウはエゾシカも好むので足跡など痕跡がない場合は判断は難しいのですが、この食痕はまぎれもなく奴ですね。
 昨年に比べて雪解けが10日程度遅い大雪山です。これから山菜シーズンが盛況となる季節で被害など無ければ良いのですが。その前に我が身の安全も確保しつつ夏山シーズンを迎えなければと思う2年目です。
※この日の調査で往復約6時間の行程で全身が筋肉痛になりました。冬のトレーニング不足を痛感しております。

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2010年03月10日冬の然別湖自然観察会

大雪山国立公園 上士幌 三浦 武

 前回予告した然別湖での自然観察会。
 新聞告知や鹿追町の広報・回覧が参加締め切り3日前ということで、ひょっとしたら一般参加者の数が極小なのではと心配し、天気予報に一喜一憂し、なんだか心配だらけだったのが、ふたを開けてみると一般参加者14名で当日は太陽がまぶしすぎるほどの好天。
 今回の参加者は最年少24歳から最高齢77歳という幅広い年齢層。しかしいざ出発すると滑走技術は年齢に反比例して年配者が余裕のペース。若手の参加者が置いて行かれるほど高齢者の元気さは目を見張るものがあります。

温泉街をバックに雪原をゆく(背後の山は南ペトゥトル)

 水深90mの湖上を進みます。途中、純白のウペペサンケ山が姿を現し、湖から真正面に見えるロケーションに多少の疲れは吹き飛びます。
 スタートから約40分で然別湖の対岸へ到達。ここから森の中を20分ほど進みます。

いざ森の中へ

 森の中はダケカンバやエゾマツ、トドマツのほか氷点下30度にも耐えられるハクサンシャクナゲの棒状に変化した葉などが見られ、然別湖ネイチャーセンターの石川昇司チーフマネージャーの解説に参加者は熱心に聞き入っていました。伐っても植えてもいない天然林の中を抜けると誰が名付けたのか北海道三大秘湖の東雲湖が現れます。


 以前にも書いたとおり、この湖(以前は東小沼と呼ばれていた)は水草などの枯死体が分解されずに堆積していくのでやがては湿地となる運命です。何年先かは確定していませんが現在の水深1m程度を考えると近い将来であることは間違いないですね。まさに幻の湖です。虹色の湖は中村晃子です。
 東雲湖到着からまもなく我々を歓迎するかのように南方からオジロワシが頭上を飛んでいきました。
 初めてクロスカントリースキーを履いたという参加者も何度か転びながら無事然別湖を往復でき、晴天もあってか参加して良かったという声が聞かれると主催者としてもうれしい限り。好評だったので冬ならではの観察会はまた来年か再来年にも企画しようと思います。

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2010年02月26日危険な陽気

大雪山国立公園 上士幌 三浦 武

前日から記録的な暖気が入り、標高の高い場所ほど気温が上がっている状況が続いています。
昨日は糠平湖や然別湖でプラスの10℃を越えましたが麓ではなぜか2~3℃という不思議な現象でした。
本日も糠平で10℃を超え、結氷した湖面上に積もっていた雪が一気に融けて一部ではスケートリンクに水を撒いたような状態になっており、これが本日夜から凍結します。


明日以降、ワカサギ釣りやタウシュベツ橋梁見学で糠平湖を訪れる方は十分注意して歩いてください。
そのタウシュベツ橋梁ですが、水位低下とこの暖気により付近の氷が非常にゆるんでいます。本来は湖だった北部が川の状態となっていますので氷の亀裂など危険箇所を見逃さないようお願いします。

タウシュベツ展望台から(2月26日)

そして、タウシュベツ橋梁がテレビで取り上げられます。明日昼12:00の民放とだけ申しておきましょう(テレビ欄を見れば一目瞭然ですが)。


ここで自然観察会開催のお知らせです。

然別湖~東雲湖をクロスカントリースキーで行く
日時:3月7日(日)AM9:00然別湖ネイチャーセンター前集合
所要時間:9:30から往復3時間程度
講師:石川昇司(然別湖ネイチャーセンターチーフマネージャー)
参加料:無料
持ち物:防寒着、歩くスキー(持ってない人には貸し出しますが数に限りがあります)
参加人数:先着20人
申込先:0156-69-8181(然別湖ネイチャーセンター)
締切:3月5日


冬の然別湖へ是非

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2010年01月15日姿を現す北海道遺産

大雪山国立公園 上士幌 三浦 武

全面結氷した糠平湖の状況を見てきました。
今年は積雪が多いということで念のためスノーシューを装着し、五の沢から湖岸に降りていきます。
途中、ユキウサギとエゾクロテンの足跡がありました。



目指すは前回の日記でも触れたタウシュベツ橋梁。

森を抜けると遠くにワカサギ釣り(遊漁料600円)のテントが並んでいましたが、今月は絶不調のようで代わりにサクラマスが釣れているのだとか。

湖には北東方向に踏み跡が付いていてタウシュベツ橋梁まで難儀せず到達できそうです。これならスノーシューよりもクロスカントリースキーが早い。

歩きながら失敗に気づきました。
防寒対策?
いえ違います。
乾燥した冷たい風と強い紫外線の直射日光の対策を全くしていなかったということです(いま現在三浦の肌はぼろぼろです)。
-10~-20℃の極度に乾燥した空気と日差しを遮る物がない一面の銀世界には、UVケアと保湿剤とリップクリーム、それにサングラスが必需品です。
なんだか真夏の海に行く女性の持ち物みたいですが、糠平湖に必要な物です。
東北人として肌荒れはあるまじき失態。

気を取り直して進みます。
左手に真っ白なニペソツ山を眺めながら一気に距離を縮めます。



片道30分ほどでタウシュベツ橋梁へ到着。
現在のところ2m強の出現です。一日約20cmほど水位が低下するので全貌を現すのは月末から2月になるでしょう。



このタウシュベツ橋梁は平成13年に「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」として北海道遺産に選定されています。

毎年、湖面の結氷後に氷によって肌が「削られ」ながら姿を現すこの橋はまさに、幻の橋です。

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2009年12月17日真冬突入の糠平湖

大雪山国立公園 上士幌 三浦 武

連日の氷点下10度以下で管内の湖も氷が張ってきました。おまけに我が家の水道管も。。。
17日現在の糠平湖の様子です。北側から約半分が結氷し、放射冷却でどんどん広がっているようです。

この湖にはあの有名なタウシュベツ橋梁(国鉄旧士幌線)が沈んでいるのですが、夏から秋にかけては水面の下にあり、冬から湖の水位低下に伴い徐々に姿を現します。現在はほんの少し頭を見せています。結氷した湖面が毎年橋を削っていくので劣化のスピードも速く何もしなければいずれは消えてしまう運命にあります。


 タウシュベツ橋梁は糠平湖(ダム)の対岸にあり、糠平湖完成後の士幌線はというと、国道273号線のすぐ脇に線路が変更されているわけです。1987年に士幌線廃止ですからもう20年以上経つのですが、現在は一部区間の線路跡が自然歩道として利用されています。

ルートはぬかびら源泉郷の鉄道資料館から糠平湖北岸のメトセップまでの8.5km。夏期の利用者はそれなりにあるのですが、積雪期はほとんど利用されていません。
しかし、今の時期の自然歩道周辺では盛んに野鳥の活動が活発で、この日はアカゲラが至近距離で樹を突っついていました。冬の静寂のおかげで耳を澄まさずともあちらこちらで野鳥の活動音が聞こえてきます。


スノーシューで冬の自然歩道を散策するのもまた良いではありませんか。おそらく某大型ほ乳類はこの寒さで冬眠に入ったと思われるので(たぶん)安全でしょう。

そして運が良ければ、この猛者にも出会えます。


オジロワシです(絶滅危惧IB類、天然記念物:国・1970)。
まさに飛び立つ瞬間です。
ユーラシア大陸から越冬のため北海道へ飛来するのですが、一部は周年で生息している留鳥も道東などにいます。
なかなか貫禄のある成鳥です。飛び立って悠々と旋回しながら森へ消えていきました。少し、感激。

このような猛禽類が国道付近で見ることができるのも東大雪の魅力ではあります。表大雪に比べ利用者の数は足元にも及びませんが、冬の東大雪もおもしろいですよ。

※くれぐれも車内から目撃した場合にはわき見事故に注意下さい。凍結路面で減速すると大型車両に追突される危険性もありますので。

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2009年11月12日アニマルトラッキング

大雪山国立公園 上士幌 三浦 武

 天気予報通りに雪が降り、気温が下がっている東大雪エリアです。
 冬本番前にスノーモービル乗り入れ規制看板を設置するため鹿追町の北部へ車を走らせていると、規則的な“何か”の跡が。少しだけ降り積もった雪がちょうど良い具合にその形を浮かび上がらせています。はじめは全く気にしていなかったのですが、減速してよく見ると、これはでかいなと。日が昇り融ける前に撮影しておこうと車を降りると、その大きさに結構な恐怖感も湧いてきます。
 通常、足の幅が16センチ程度で200kg~280kgの個体と計算できるのですが、見た感じはそれよりも一回り大きい。タイヤ痕が大体18センチですからこの足跡の持ち主はかなりのつわものでしょう。


 このとなりにも別の足跡があり、これはテンです。少し斜めに前後2つ並ぶのが特徴です。
 予定としては冬本番のネタとしてアニマルトラッキングなど考えていたのですがこうも早く、しかもくっきりと現れているとは思いませんでした。
 それにしても、車道の真ん中を堂々と歩いてますねえ。おそらく相当な貫禄なんでしょう。300kgを超えているかもしれません。


 足跡の主は100m以上車道を歩いてから5mほどUターンして森の中へ消えています。できればこのまま冬眠して欲しいものです。


 最近は暖冬には冬眠せず、真冬でもエサを求めて徘徊するヒグマが確認されています。真冬の厳しさが少しでも和らぐと人間にとっても暮らしやすくて暖房代もかからなくなるのですが、それとこれとは別。やはり冬眠すべき動物は冬眠してくれないと怖いですね。
 かくいう私は毎年冬になると、冬眠できたら良いのになあと思いながら過ごしています。枕草子の作者の境地に到達なんぞできなくとも構わぬのでござりまする。

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2009年10月22日ウチダザリガニ秋防除in然別湖

大雪山国立公園 上士幌 三浦 武

 今月17日から5日間、ウチダザリガニ秋防除(主催:環境省、鹿追町、北海道ネイチャーセンター)を然別湖にて実施しました。冷たい風が強く吹く中、応援に駆けつけてきてくれた十勝支庁や大雪山PV、大雪山の各保護官事務所、札幌事務所の皆様にお礼申し上げます。
 今回の防除作戦はこれまでと異なり、始めの2日間をダイバーによる防除にし、残りの3日間が罠による防除という日程で行われ、最終日には地元中学生39人が体験学習という形で個体測定に加わりました。
防除結果は昨年秋に比べて7割程度の数。これをどう見るか。良い方に受け止めると、これまでの防除作戦が功を奏して数は減少に向かっているかもしれない。悪い方に受け止めると、ザリガニの活性が低かったのか罠の場所が悪かったために捕獲数が減った。最終日に現地を見た(独)土木研究所の中田和義研究員によれば「大型が少なくなって小型化しているように見えます」とのこと。ウチダザリガニは縄張り争いをする。当然、大型で強いものが好条件の場所を優占する。するとこれまでの防除で大型個体が居なくなったおかげで小型個体も動き回っている可能性があるという。ひとまず減少傾向を防除による効果と前向きにとらえておきましょう。

今回の防除期間中に捕獲された最大級のウチダザリガニ(持っているのはネイチャーセンタースタッフ 爪を伸ばすと人の顔の長さに)

 このウチダザリガニですが、防除の大義名分として在来生物への影響が甚大であるからなのですが、ここ然別湖でかつて数多く見られ土産売り場でも食されていた二ホンザリガニは絶滅したと考えられています。それでは何を守るのか。
この魚です。


 然別湖北岸のヤンベツ川が繁殖河川になっているミヤベイワナ(オショロコマ亜種)です。
 現在のところウチダザリガニは湖でしか確認されていませんが、北上を続けてヤンベツ川に侵入してしまうと逃げることのできない魚卵はたちまちウチダザリガニに食べられてしまうでしょう。そのため湖内の生息密度を上げないためにも防除を続けて行かなくてはならないという宿命なのです。
 それにしても後々の影響を考えない人間は結果として罪作りであります。イギリスでは外来種の定着をオウンゴールと喩えています。必死にゴールを守っているのに味方が自陣ゴールに入れてしまえば二度と消えることはない。サッカーの国らしいうまい表現です。

 最後に、試食した中学生の反応です。「うまい~~~」。
 ザリガニを食べたらこんな顔になってました。

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2009年09月18日東大雪紅葉情報

大雪山国立公園 上士幌 三浦 武

各地の紅葉情報がUPされていますがこちらも情報を伝えなければと17日に東大雪の石狩連峰を見てきました。標高が1000mを超えるあたりまではっきりと色づきが確認でき、これから徐々に下へと降りていくことでしょう。
天候不順の北海道の夏山でしたがここへきて気温が安定しており、急に紅葉が進んだり終わったりということはなく順調に「燃える秋」(byハイファイセット)に変化していくと思われます。とはいってもこの連休は人気のあるいわゆる表大雪への人出が多いでしょうね。


快晴の石狩連峰

人気の面では劣るといってもこの東大雪も侮れない実力を秘めています。
なんといっても石狩岳、ユニ石狩岳、音更山からは旭岳、黒岳、トムラウシといった有名どころをすべて眺めることができ、さらにはニペソツの勇姿と糠平湖の眺めも付いてきます。晴れという運がついていればですけど。
このエリアの登山道の特徴としては途中から急激に勾配が変わってきつくなるということです。ペース配分をしっかり計算し、後半にバテないように気をつけましょう。かくいう私は思いきりバテて精根尽き果てて下山したことがあるのですが。


十石峠から音更山(1932)へ進みます


雲がなければ表大雪が一望なのですが

最後に注意事項です。登山道を進んでいると脇の笹藪からガサガサバキバキという音が聞こえてくることがよくあります。大型ほ乳類なのですが、幸い私が確認できたのはすべてエゾシカでした。万が一ということもありますのでヒグマへの心構えは万全に(装備も)。それから、ちょうど高山植物の実がたくさん付いている季節ですが、国立公園では人間の取り分はありませんから誘惑に負けずに気をつけて歩いてください。旭岳の方面と違って下山ルートが日陰になりますので道がよく見えるうちに下山することを心がけてください。日陰は気温も体感気温も下がります。
それではシーズン終盤を安全に登山しましょう。

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2009年09月07日トムラウシ山登山道整備(南沼)&紅葉情報

大雪山国立公園 上士幌 三浦 武

頂点に立ったつもりが有頂天だったことがよくある三浦です。

さて、7月のヒサゴ沼避難小屋清掃登山に引き続き、トムラウシ山(2141m)へパークボランティアの方々と5、6日にかけて行って参りました。総勢10人(男5、女5)+荷揚げ援軍1人で今回は南沼野営指定地周辺のロープ緩め作業とゴミ拾いです。
天気予報は初日が雨のち曇りで翌日は曇り時々晴れ。しかし、2日目も結局天候は回復することなく終日降ったり止んだりの視界悪の状況でした。それでもほぼ無風状態でしたので難儀することなく、設定時間より少し早めのペースで進むことができました。
午後に南沼の野営指定地にテントを設営し、水運び班とロープ班が作業を終えて各々の荷物整理などをしていましが、その間もガスがかかって視界は悪く、このまま初日は終わるものと思っていました。するとしばらくしてガスが晴れ、雲の切れ目からトムラウシ山頂上が姿を現したのです。

短時間姿を見せたトムラウシ山頂(幸運)

山頂アタックは女性陣5名でした。それにしても元気です。女性の方が寿命が長いというデータに妙に納得したりします。
テントに戻ってきた女性陣によれば、頂上でブロッケン現象(注)が現れ感動していたとのこと。どこまで運は女性に味方するんでしょう。
予報通りなら翌日はもっと天気は回復するはず。早朝には男性陣も山頂アタックをするのだ。
しかし-。
翌日も雨でした。しかも前日よりもさらにガスが濃くて見通しが悪い。あえなく山頂はあきらめ下山準備です。

濃いガスに覆われた翌日の野営地

ゴミを拾いながら、また迷い防止の対策をしながらの下山でしたが初日同様風は弱く、ほぼ予定通りの帰路でした。

迷い防止の処置をしています

全員怪我もなく(歯痛の方1名おられましたが)無事下山を果たし、遠いところ再び戻られる方々にお礼申し上げます。ボランティアの皆さん、来年も元気な姿でお会いしましょう。
最後に紅葉情報です。中腹のナナカマドが色づき始め、トムラウシ公園付近はウラシマツツジが赤く染まりウラジロナナカマドも蛍光色のオレンジのような色合い。これから5~7日で紅葉は見頃になりそこから冠雪まで続くと思われます。予報がめまぐるしく変わる今シーズンですので、視界良好なコンディションを求めるならば各登山者が気象情報をこまめにチェックして準備するようお願いします。

(注)ブロッケン現象・・・霧の中に伸びた影と、周りにできる虹色の輪。太陽などの光が背後からさしこみ、影の側にある雲粒や霧粒によって光が散乱され現われる現象。

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