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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

大雪山を登山するには携帯トイレが必須です。
大雪山国立公園には総延長300kmに及ぶ登山道があります。しかし、山中の常設トイレは数えるほどしかありません。

初中級者に携帯トイレを広めたい。

2022年12月05日
上士幌 上村 哲也

大雪山登山には携帯トイレを持って行こう。

大雪山国立公園には総延長300kmに及ぶ登山道があります。しかし、山中の常設トイレは数えるほどしかありません。特に、東大雪地域の山中にあるトイレといえばヒサゴ沼避難小屋・野営指定地だけ。そこで、登山者には携帯トイレの持参を呼びかけています。

今年、十勝西部森林管理署東大雪支署は、主な登山口に設置する入林簿に、携帯トイレの持参について問う欄を設けました。
シーズンの終了後に入林簿をお借りし、携帯トイレの有無について登山口ごとに集計しました。携帯トイレ有を青、無を橙色とし、積み上げ横棒グラフを作成しました。登山口名の右に添えた数値は、携帯トイレの持参率です。
登山口別携帯トイレアンケート集計結果
トムラウシ山やニペソツ山で90%前後と、登山時間が長い健脚向きの登山口で携帯トイレ有の割合が高いように見受けられます。
一方で、然別湖周辺の山々は、登山時間が短いことや獲得標高差が小さいなど登山の難易度は低いことからか利用者は多く、苔の森や風穴、ナキウサギ、秘境の東雲湖など見所多く滞在時間は長いようです。例えば、登り1時間、下り40分とも紹介される東ヌプカウシヌプリは、入山から下山までの平均滞在時間が3時間余りでした。白雲岳や天望山は、それぞれ往復3時間弱ですが、東雲湖を加えて一巡りすると6時間ほどでしょうか。これらの山々で携帯トイレ有が50%前後と低いことは関連区域のし尿による汚染や用を足すため登山道を外れることによる植生の踏みつけが懸念されます。

然別湖周辺の山々を足がかりに登山を始めたみなさん。次から登山の装備に携帯トイレを加えましょう。
然別湖周辺の山々に繰り返し通い、花や動物を愛でるみなさん。大好きな自然を守るため装備に携帯トイレを加えましょう。
シーズン初めの足慣らしに然別湖周辺の山々を選ぶみなさん。忘れずに携帯トイレを持ちましょう。
シーズン締めくくりの登り納めに然別湖周辺の山々を選ぶみなさん。忘れずに携帯トイレを持ちましょう。

登山の前にトイレに行こう。

然別湖周辺の山々

  • 白雲山士幌側登山口には、士幌高原ヌプカの里の公衆トイレがすぐ近くにあります。
  • 白雲山湖畔側登山口には仮設トイレが夏の登山シーズンに設置されます。
  • 南ペトウトル山は、然別湖畔温泉公衆トイレがすぐ近くにあります。
  • 東ヌプカウシヌプリ、西ヌプカウシヌプリは、扇ヶ原展望台のトイレを利用しましょう。

石狩岳、ニペソツ山、ウペペサンケ山

  • 石狩岳シュナイダーコース登山口には仮設トイレが設置されています。ユニ石狩岳登山口からは2kmほどです。
  • ニペソツ山幌加温泉コース登山口には仮設トイレが設置されています。
  • ウペペサンケ山は、ぬかびら源泉郷の公衆トイレを利用しましょう。

トムラウシ山、十勝岳

  • トムラウシ山温泉コース登山口には、公衆トイレがあり夏の登山シーズンに利用できます。
  • トムラウシ山短縮コース登山口には、バイオトイレがあり夏の登山シーズンに利用できます。利用後は説明書きに従い攪拌機を作動させてください。
  • 十勝岳新得コースは、十勝ダムの公衆トイレなどを利用しましょう。

山中では携帯トイレを利用し持ち帰ろう。

東大雪地域の山中には常設トイレがありません。山中では携帯トイレを利用しましょう。けれども、ほかの登山者の目が気になりますよね。携帯トイレを使うにしても身を隠すために登山道を外れると、植生を踏みつけ傷めてしまいます。では、どうすればよいでしょう。

次のアイデアはいかがでしょうか。
  • ポンチョ、折りたたみ傘、レジャーシートなどで身を隠す。
  • 登山道の前後をパーティのメンバーに一時通行止めにしてもらう。
トムラウシ山の南沼野営指定地とニペソツ山の前天狗に携帯トイレブースがあり、携帯トイレを使用するときには身を隠すことができます。

登山口の回収ボックスが利用できます。

携帯トイレを含め山で出たゴミは持ち帰りが原則ですが、東大雪地域の次の登山口には、携帯トイレの回収ボックスがあります。使用済み携帯トイレに限り投入いただくことができます。
決して、使用済み携帯トイレ以外のゴミを入れないでください。御協力をよろしくお願いします。
  • トムラウシ山短縮コース登山口
  • トムラウシ山温泉コース登山口
  • ニペソツ山幌加温泉コース登山口