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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

AvSAR 雪崩サーチ&レスキュー講習会に参加して

2022年12月15日
東川 渡邉 あゆみ
こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。
先日、旭岳ビジターセンター主催、東川町の山岳関係者向けに開催された「AvSAR (正式名称Avalanche Search & Rescue、略してアブサー)」のベーシックコースを受講してきました。

雪山に入れば雪崩に巻き込まれる確率は0%ではありませんが、雪崩を知ることでリスクを下げることは出来ます。
ですが、リスク回避に努めた上でも、雪崩に遭ってしまったとき、1秒でも早く埋没者を探し出し、掘り出せるようになるのが、本講習の目的です。
私は3年ぶりの受講となりました。
 
一昔前、雪崩は自然発生で起こる現象で、巻き込まれるかは運次第、といった風潮がありました。
雪山ではメンバー同士、ロープで身体を繋ぎ合い、雪崩に巻き込まれた時にはロープを手繰って埋もれた仲間を見つけるというのが一般的だったそうです。
近年では、雪山に入山するときは「雪崩トランシーバー(ビーコン)」「ゾンデ」「シャベル」の“3種の神器”が必携とされています。

雪崩トランシーバー・・・電波信号の送受信で双方の位置を知る機械。デジタル式とアナログ式のアンテナがあるが、デジタル3本アンテナ式が良い。
ゾンデ・・・雪崩トランシーバーで埋没者のおよその位置を探し当てた後に、より正確に埋まっている場所を特定するために使う折りたたみ式の探り棒。最低でも240cm、300cmの長さがあるのが望ましい。
シャベル・・・ゾンデで埋没者をピンポイントで探し出したあと、雪から掘り起こすためのもの。足で蹴り込んで掘り出せるように、金属製で角が尖っているものが良い。

3種の神器があれば雪崩に遭遇しても100%命が助かるわけではありませんが、正しい装備を、正しい知識で、正しく使いこなすことで、命を救う確率は上がります。

雪崩埋没サーチ&レスキューは、年々アップデートされています。
また、最近の雪崩トランシーバーは高性能なので、初心者でもトレーニングを積めば簡単に埋没者を見つけられるようになりました。
最低でも5年に1度、できれば毎冬シーズンのはじめに、雪崩サーチ&レスキュー講習会などに参加し、知識と技術の復習・ブラッシュアップをすることが推奨されています。

本講習会では午前中に雪崩トランシーバーの基礎知識の座学、午後から雪崩トランシーバーの操作、シャベリング、シナリオ・トレーニングでのセルフレスキューを繰り返し行いました。
シナリオ・トレーニングは5人1グループになり、実際に雪崩が起こった想定で複数の埋没者を探し、掘り出す実技をするのですが、講師が毎回違うシチュエーションを用意してくださるので、練習ですが緊張感があり、グループ全体がパニックに陥る状況もありました。
いち早く的確な行動を取るためには、落ち着いて、周囲の状況を見て“メンタル・マップ”を作成することが鍵になります。

また、複数で捜索するとき「10!(テン)」「ファインサーチ!」「私はプローブを用意します!」「一人目の埋没者発見!」「救助要請しました!」など、自分の行動を大声で周囲に知らせることが大切です。そうすることで、他の捜索者は次の行動に移すことができます。
雪崩レスキューは時間との闘いです。いざ雪崩に遭遇したとき、1秒でも早く的確な行動を取るため、今回改めて受講して本当に良かったと思いました。
 
日本雪崩捜索救助協議会では、講習会を開催しています。
雪山に入山される方は、お近くの会場があれば受講してみてはいかがでしょうか。
練習用のテキストも載っているので、ぜひHPをご覧ください。

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