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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

ニペの耳の置き石

2022年12月28日
上川 忠鉢伸一
こんにちは
大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。
 
 今年度、大雪山国立公園では違法な工作物が設置される事例が相次ぎ、新聞やテレビで報道される事態になりました。アクティブレンジャー日記を見てくださっている方々は自然に興味がある方だと思います。改めて登山のルールを再確認して欲しいと思い、今年度発生した2件の事例を紹介したいと思います。
 

【ニペの耳ジャンクションピークの置き石】

置き石はSNSで発覚し、環境省事務所に連絡が入りました。
この場所は登山口からかなり離れた所にあるため、往復に10時間近くかかります。
高山植物の上に石で「ニペの耳」と並べてありました。
石を撤去した時、植生は潰されていましたが、枯れてはいなかったようです。
驚きだったのは撤去して数日後、同じ場所に同じように石が戻されて、石文字が復活していたことです。おそらくはじめの置き石の写真を見た登山者が、撤去された置き石を再現して写真を撮ったのでしょう(置き石は現在撤去されています)
 
ニペの耳J.P.にて撮影(2022年9月)



置き石の撤去後の写真ですが、石が置かれていた場所に生えていた植生が潰れてしまっています。
SNSへ投稿する「写真映え」を狙った行為と思われますが、これは完全にルール違反であるとともに違法行為でもあります。
山を愛する登山者ならば、高山植物を傷つける行為はやめましょう。

【当麻乗越の看板】


 
当麻乗越には大岩群があるのですが、その岩の上に看板が設置されていました。
おそらく設置した人も悪気があってのことではないのかもしれませんが、これも違法行為です。
当麻乗越の看板は回収に行った時は既に無くなっていました。新聞記事を見た設置者が自主的に回収したのでしょうか。
 
大雪山国立公園をはじめとする国立公園の特別保護地区、特別地域では工作物や広告物を設置するのには国の許可が必要で、無許可の設置は自然公園法により禁止されています。
自作の看板を持参して一緒に写真を撮るのは問題ありませんが、看板はその場所に残さず必ず持ち帰ってください。
 
代替テキスト
当麻乗越看板

【過去の事例】

過去にもいろいろな場所で違法な工作物や広告物(山頂標識)の撤去を行っています。
立派な看板を作ってわざわざ山頂まで運んでくれたのでしょうが、このような行為は自然公園法という法律に違反する行為です。
山でこのような工作物等を発見した場合は大雪山国立公園管理事務所へご連絡をお願いします。
 
 
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愛別岳に設置されていた看板(2017年)
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安足間岳に設置されていた看板(2017年)
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桂月岳に設置されていた看板(2017年)
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中岳温泉に設置されていた看板(2016年)