利尻礼文サロベツ国立公園 稚内
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2017年05月26日ポン山の山頂の植生保護活動
利尻礼文サロベツ国立公園 今泉潤
こんにちは。北海道北緯45°の離島、利尻島ARの今泉です。
利尻島といえば標高1721mの利尻山が有名ですが、標高444mの「ポン山」というかわいらしい名前の山もあります。山麓の駐車場から徒歩40分ほどで山頂に行けるハイキングコースとして人気がある場所です。来訪者が多ければ植生を傷める機会も増えてしまいます。
そこで毎年5月中旬に地元ガイドのみなさん・町役場の人たちとともに踏み付け予防のための植生保護活動をしています。
活動内容①杭を打ちロープを張って立入り可能範囲の制限
活動内容②サークル状に石を置いて貴重な植生があることを示す
活動内容③看板で明示
登山に尻込みしている人もポン山なら大丈夫かもしれません。ぜひチャレンジしてください。
上級登山者はクールダウンに?下山途中にポン山も訪れて利尻山を別の角度からご覧ください。
作業前のポン山山頂の様子
杭打ち作業 と ロープ張り
利尻山を背景に参加者のみなさんと
2017年05月18日冬の片付けと夏の準備
利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 今泉潤
こんにちは。
北海道北部の離島、利尻島ARの今泉です。
標高1721mの利尻山にはまだ雪がたくさん残っており例年7月下旬でも楽しめます。
夏の登山シーズン準備があちこちで着々と進んでいます。
役場や島の人たちとの協働作業も多くあります。
先月は環境省の看板を養生するブルーシート撤去作業がありました。
今回は登山口近辺にある除雪ポール撤去・駐車場位置看板設置・登山届提出ボックス設置・携帯トイレ回収ボックスの設置を行いました。
濃霧で気温も6℃でしたが2時間で無事に終了しました。
10月下旬にはこれらの逆の作業があります。
冬の島は暴風雪の日もあります。冬期間の設備劣化を防ぐために地味ですが大切な作業です。
写真左:濃霧に覆われた見返台園地駐車場 写真右:撤去された除雪ポールと固定鉄骨
写真左:差し込んだ標識をボルトで固定、写真中:二輪車の駐車案内標識、
写真右:携帯トイレ回収ボックスの固定
2017年05月11日目覚めたサロベツ
利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 青山留美子
稚内でも桜の開花宣言がでました!
この最北にも春が到着し、一気に緑が増え、春らしさを実感している稚内の青山です。
桜が咲く前でも、
あちらこちらで咲いているミズバショウやエゾエンゴサクなどの春一番の花たちや、
あちらこちらで見られた北帰行中の渡り鳥たちによって、
春が来ていることはひしひしと感じていました。
春の予感でうきうきするゴールデンウィークは、
最北にとっての目覚めの時期とも言えます。
冬の間眠っていた植物、動物(人も含む)が一斉に動き出します。
冬の間眠っていた建物や場所なども、併せて開かれていきます。
幌延ビジターセンターもその一つです。
5月1日、半年の眠りから目覚め、開館しました。
室内には、開花情報や湿原についてなど知ることができる展示・映像もあります。
散策前に、是非お立ち寄り下さい。
そして、2階では、
「サロベツ・エコモー・プロジェクト活動報告展」を開催しています。
サロベツ地域(豊富町、幌延町)で活動し、「サロベツ・エコモー・プロジェクト」に登録された32活動についての昨年度の活動報告です。
「サロベツ・エコモー・プロジェクト」とは、サロベツの自然や文化を楽しむ活動の環を広げ、湿原と農業が共生する地域づくりを進めるための取り組みです。
サロベツ地域で行われている様々な活動を通し、この地域の事を知って頂けると思います。
館内の展示と併せて、是非ご覧下さい。
人による活動を室内で知り、外では動植物の活動に触れて、サロベツを満喫して下さい。
木道沿いでは着々と、新たな季節を感じとれますよぅ♪
2017年02月24日利尻山スノーモービル利用の巡視
利尻礼文サロベツ国立公園 今泉潤
2月も終わりに近づき山の積雪量が最大値になろうとしています。日も長くなってきたこの時期、よい天気の日にスノーシューハイキングは楽しいものです。すべてが雪に覆われているので普段は行けない場所にも入っていくことができます。しかし雪の下には植物が生きていて雪解けを待っています。利尻山はその大部分が国有林(保安林)であり国立公園の特別保護地区はスノーモービルの乗り入れが原則禁止されています。利用できるのは以下の場合です。
● 人命救助のための緊急利用
● 調査や研究でスノーモービルの利用が必要で予め許可を得た場合など
2月21日に国有林を管理する宗谷森林管理署職員と巡視に行きました。その結果を報告します。
(巡視に出発。全行程スノーシュー利用。)
(スノーモービル進入禁止看板の状態確認)
(植生の上を通過したスノーモービルの跡を記録)
① スノーモービルの通過跡が多数ありその一部は笹などの上を通過していた
② 数年前に散見されていたチェーンソーでの太い枝払い跡はなかった
自然保護のため、自然公園法によってスノーモービルの乗り入れが規制されています。
国有林でもスノーモービルの乗り入れは禁止しています。
規制外としても、その騒音やヴァージンスノーに残された踏み跡に困惑している登山者・スキーヤー・ハイカーがいます。スノーモービルを利用する人も登山者も自然が好きな人なはず。どちらかを一方的に悪者にするのではなく共生の道は何かを考えたいです。
2016年11月02日サロベツに冬到来!
利尻礼文サロベツ国立公園 青山留美子
10月31日朝から降り続いた雪はどんどん積もり、11月の幕開けは銀世界とつるつる路面で始まりました。心身ともに準備不足で、早速初転びも済ませてしまった稚内の青山です。
サロベツの景色も、突然の雪で驚いていたように感じました。
ここ最近は、夏に見られた鳥たちがいつの間にかいなくなり、どんどん寂しい景色に変わっていく中で、寒いなか外に出るのが嫌だなと思っていました。
しかし、雪が降っただけで、次の季節へのわくわく感が一気に高まりました。
雪の重みで湿原の様子は一変し、白い景色が広々と見られるようになりました。
同じ景色を見ているはずなのに、違う場所に来たかのように感じます。
また、寒い中でも湿原を飛び交う鳥たちの姿が見られ、ここで冬を過ごす鳥たちがいることに今更ながら感動しました。
季節は刻々と変わっていき、動植物たちはしっかりと次の季節に備えて移動や行動をしています。私たち人間も、次の季節へとしっかり移行していかなければと、教えられた気分でした。
自然からの教えに従うように、
11月より、サロベツにある2カ所の施設では、次の季節への移行が行われました。
まずは、幌延町にある「幌延ビジターセンター」ですが、
11月1日~来春4月30日まで、冬ごもりに入るため、閉館しました。
併せて、パンケ沼園地側にある建物とトイレも、10月31日をもって閉鎖しました。
これから幌延ビジターセンターからパンケ沼へお越しの際は、
使用できるトイレがありませんので、ご注意下さい。
そして、豊富町にある「サロベツ湿原センター」は、冬期間も開館していますが、
11月より開館時間の変更と休館日が設けられますので、こちらもご注意下さい。
11月1日~4月30日まで
○開館時間 10:00~16:00
○休館日 月曜日(祝日の場合は開館)、12/29~1/3
○トイレの利用時間 上記内容と同じ
寒さに負けず、どんどん外に出掛けて行きましょう!
2016年09月09日利尻山トイレデ-イベント
利尻礼文サロベツ国立公園 今泉潤
楽しい登山のはずがトイレの問題でイヤな思いをしたこと、ありませんか?
● トイレに行きたいがないのでヤブに入って用を足した
● トイレのことがあるので水を控えてから山に入ったら熱中症になりかけた
● 登山道で例の臭気が漂っていた
● ティッシュが散乱していた・・・等々。
北海道の利尻山には登山道沿いに全くトイレがなかったこともあり、かつてはそのような悩みを多く抱え先人たちはその解決のために先駆的に尽力されました。その結果、今では登山道沿いにトイレブースが設けられ、携帯トイレを持参した登山者が気持ちよく利用しています。必要な水をしっかり飲み、しっかし出し、健康で快適な登山を楽しんでいます。臭気も散乱ティッシュもほとんどなくなり全国でもトップレベルのマナーの良い登山者の比率が高くなっています。
毎年9月の第一日曜日に北海道山のトイレを考える会が主催する「山のトイレデ-」は今ある仕組みが有効に機能しているかの監査と改善の機会を得るものです。どんな問題があるか、仕組みを変更する必要があるかなどの情報を得ます。初めて利尻登山をされる方への啓蒙活動や山の清掃活動も行いました。山のトイレを考える会が中心となって、地元企業や住民、利尻礼文サロベツ国立公園パークボランティア、観光ガイド、関係行政機関ら総勢16名が参加しました。活動は参加者の特技や好みによって大きく3つのグループに分かれて行う計画でした。①登山道の麓で「携帯トイレアンケート」と啓蒙活動 ②6.5合目までの登山道清掃とティッシュ痕調査 ③2ヶ所の麓から6.5合目から山頂までの登山道清掃とティッシュ痕調査。 今泉は6.5合目までのグループリーダーとして参加しました。山頂まで行くためには島に前泊して朝5時からの登山開始が必要ですが、6.5合目までなら朝の稚内からのフェリーで来島すれば日帰りでの参加も可能です。
残念ながら当日は天気予報が外れて朝から時々雨模様。開催可否判断が非常に難しい状態でしたが5時時点で大丈夫だったので催行が決まりました。総勢15名のうち、今泉のグループの5人は11時集合でしたがスタート前から結構な雨降り。無事故で効果的な活動を行うため予定変更しました。アンケートは中止し6.5合目まで行かずに4合目で折り返すことにしました。山頂付近は幸い雨も小降りで予定通りの活動が行われました。
まずはゴミ探し、ゴミ拾いです。乗船券・プリントアウトした地図・日程表などの紙ゴミ、ポリ袋や飲み物のペットボトル、金属棒など結構多くのゴミを回収下山しました。また未だにトイレブース以外の場所で用を足す人がおりその跡が散見されました。今泉は何度も利尻山に登っていますがこのようなゴミを見つけることはできず、飴の小袋くらいでした。登山者の心理をよく考えると捨てそうな場所、用を足しそうな場所が想定できるそうです。十数回もこの活動に参加されている方々はさすがです。
悪天候のため体力消耗を自覚し山頂まで行かずに途中で引き返す好判断をされた参加者も何名からっしゃいました。そのお陰で全員ケガなく活動を終えることができました。そのようなことが気軽に言えて下山できる雰囲気であることもこの活動が長年継続され参加者が絶えない理由のひとつかもしれません。
(ティッシュ痕跡を見つけて記録・回収する参加者。赤丸がティッシュ痕)
(作業終了後の一枚:左/山頂グループ、右/6.5合目グループ)
2016年08月05日下サロベツ木道自然観察会を開催しました
利尻礼文サロベツ国立公園 青山留美子
道北で「暑い」と言ったら全国の方々に怒られる気温かもしれませんが、
「暑くて辛い」と感じる毎日が続いている、稚内の青山です。
そんな中、青空が広がるも蒸し暑い8月1日、「下サロベツ木道自然観察会」を行いました。
サロベツ湿原は豊富町・幌延町にまたがっており、豊富町側を「上サロベツ」、幌延町側を「下サロベツ」と呼んでいます。各町に一つずつ自然ふれあい施設があり、今回は下サロベツ(幌延町字下沼)にある「幌延ビジターセンター」にて行いました。
サロベツ湿原では、雪解け後まもなくから花を咲かせる植物が見られますが、大方がとても小さい植物です。エゾカンゾウなどの大きめの花が見られる初夏を越えても、当たり年のポスターの写真などをイメージして来られた方には、物足りなく感じる事が多いようで、
「何もない」という言葉をいつの時期でもよく耳にします。
もっとゆっくり見ると大きな花以外の花が見つけられ、もっとじっくり見ると湿原という過酷な環境で生きているたくましさを知る事ができるのですが、なかなか伝わっていません。
更に、花を見つけ足を止めても、写真を撮り、名前を知ることで満足している方が多いように感じていました。
そこで、もっとゆっくりじっくり見て湿原を楽しんで欲しいという思いから、地元に住むパークボランティアさんと観察会を企画しました。
木道を歩いて見つけた動植物に、自分で名前をつけ、それをまとめて自分だけの「サロベツ図鑑」を作ろうというものです。
名前を付けるためにゆっくり観察し、図鑑を作るためにもじっくり観察することになります。夏休みなので、子どもの参加をイメージしていましたが、実際は小学生1名、大人11名の参加だったため、大人には何かと抵抗がある内容かもしれないと不安がありました。
しかし、実際に外に出て観察が始まると、木道の入口で早速立ち止まり、観察したり、スケッチしたり、考えたりする姿が見られました。
木道に座り込む人、考えながら歩いていて危うくぶつかりそうになる人、言葉を紡ぎ出そうとしている人など、普段の木道で見られる光景とは明らかに違いました。
50分弱の時間でしたが、それぞれがゆっくりじっくりと木道からの観察を楽しんでいるようでした。
観察後、休憩と図鑑の仕上げをしてから、それぞれ一押しの名前を発表してもらいました。
下記にあげたものは、ほんの一部です。
「確かに~」と大きく頷いたり、「なるほど~」と感心したり、「私はこう付けたよ」と違う発想が次々飛び出し、大変盛り上がりました。
最後に、全員でもう一度木道へ行き、発表した名前はどれのどこを見てつけたのかを確認して歩きました。実物を見て、更に様々な名前が誕生していました。
普段、木道をゆっくり歩いているつもりでも、以外と何も見えていないという事に気づくことができた観察会でした。また、多くの人と歩くことで、違う発見と発想を知り、新たな要素を自分の中に取り入れられるおもしろさもわかりました。
参加者からも、「名前を考える事が、脳が活性化して良い」や、「写真を撮らずに書くことが良かった」、「個性あふれるネーミングが面白い」、「ゆっくり観察できてよかった」など、始めに抱いていた不安を全て払拭してくれる感想を頂きました。
そして観察の途中で参加者の誰かが言った「宝探しみたい」との声が最高に嬉しかったです。
サロベツ湿原にお越しの皆様、ゆっくりじっくり「宝探し」をしてみませんか?
2016年07月27日利尻山コマドリプロジェクトPR活動
利尻礼文サロベツ国立公園 今泉潤
利尻山の困(コマ)ったことを取り(トリ)除くプロジェクトは2014年より実施されています。困ったこととは登山道の荒廃やトイレ汚物による植生への悪影響です。
登山道の維持整備には継続的に多額の費用がかかり地元自治体・林野庁・環境省も費用負担しながら改善をすすめていますが足りません。そのために登山者や観光客の方に趣旨を理解して頂き賛同して下さった方から1口1000円の寄付を募りお礼としてバッチを進呈しています。今年も例年登山者が一番多い7月の連休にPR活動を行いました。
コマドリは本州では珍しい鳥ですが利尻島には高密度に生息しており、利尻富士町・利尻町両方の「町の鳥」です。PR活動中も会場そばで美しいさえずりが聞こえました。
開催した7/18は予報の雨ではなくよく晴れた日でした。
利尻富士町・利尻町・利尻森林事務所・(株)トレイルワークス・利尻礼文サロベツ国立公園パークボランティアの会・環境省が合同で行いました。また利尻島自然情報センターも共催で外来種除去活動を現地で実施しました。
登山道上では補修活動を実際に行ってPRし、山麓ではボードを使って説明して登山道利用者への理解を深めることができました。
今後もこの活動を継続して、利尻山と登山道の荒廃予防に役立てます。
2016年06月20日高山植物盗掘防止合同パトロール
利尻礼文サロベツ国立公園 小笠原涼太
こんにちは。礼文担当アクティブレンジャーの小笠原です。
今回は、高山植物盗掘防止パトロールについてお話します。
この高山植物盗掘防止パトロールというのは、その名の通り礼文島に生える高山植物が誰かに持っていかれないように地元のボランティアの人たちと一緒に見回りをする活動です。
礼文島は本州などでは高山帯にしか生育できないような植物たちが、低い標高であるにもかかわらず生育することができる特異な場所です。
そんな場所だからこそ育つことができる珍しい固有種も多くいる礼文島は、過去に実際に盗掘の被害にあったことがあります。
盗掘されると、当然その植物の個体数が減ってしまいます。また採取のために踏み込まれた場所は荒らされることとなり、それによって周囲の植生にも影響が及びます。
法で規制されているものを取ろうとすれば当然犯罪になります。
そんな心無い行為を防止するために見回りを行い、同時に高山植物の保護について周囲の方々へとアピールしていくのがこの活動の目的となります。
今回の活動を行った桃岩展望台コースでは、多くの方々に声をかけることができ、十分なアピールができたと思っています。また、貴重な植物たちが採取された後もなく一安心といったところでした。
これらの花は自然にあるからこそ美しいものです。窮屈な鉢植えなどに植えても、その美しさはほとんど失われてしまいます。
ぜひとも自然のままで、礼文の素晴らしい花々を楽しんでください。
パークボランティアとの活動が目白押しになってきた、稚内の青山です。
5月21日(日)に、グリーンウェイブ2017の活動として、「苗木の床替え」作業をしてきました。
グリーンウェイブ2017とは、5月22日(国際生物多様性の日)前後に世界各地の子どもたちの手でそれぞれの学校や地域等で植樹等を行う活動です。
豊富町稚咲内(わかさかない)では、利尻礼文サロベツ国立公園に指定されている砂丘林内の一部で、毎年秋に植樹を行っている場所があります。
グリーンウェイブ2017の活動に賛同するため、今年は春にも活動することになりました。
苗畑には、地域の皆さんで集めたドングリから育てた苗木が所狭しと育っています。
ここから1本ずつ掘り起こし、別の畑に植え直す作業です。
植え直すことで、ヒゲ根がたくさんつくようにし、活着しやすくします。
主役の子どもたちは、
サロベツの自然の中で様々な活動をしている「なまら!!サロベツ∞クラブ」の子どもたちで、
ジュニアパークレンジャーの活動として、一緒に汗を流しました。
子ども用の仕事はありません。大人と同じ道具で同じ作業を、協力しながら頑張りました。
地元稚咲内の方たちと、パークボランティアも含めた全27名で、移植した苗の本数は292本でした。
最初は途方もない作業だと思っていましたが、新たに整列した苗畑がうまれるまで、あっという間の1時間半でした。
秋の植樹が楽しみです! それまで、しっかり根を広げてね~!