ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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知床国立公園 羅臼

181件の記事があります。

2008年03月24日傷病アザラシ

知床国立公園 羅臼 石名坂 豪

 3/17-18に2日連続で、環境省釧路自然環境事務所において管内会議や各種打ち合わせ等があり、道東に散在する5つの自然保護官事務所と上記釧路事務所の職員がほぼ全員集まりました。会議が終わって18日昼過ぎに釧路を出発。佐々木ARと運転を交代しながら約4時間かけて夕方の羅臼に戻ると、直後に羅臼町役場の軽トラックが駐車場に入ってきました。荷台には・・・なんと1頭のゴマフアザラシが積まれていました。「羅臼漁港の中に弱っているアザラシがいる!」と町民の方から通報があり、町役場と知床財団の職員がとりあえず捕獲してきたそうです。

 羅臼町内では、傷病鳥獣がゴマフアザラシのような普通種(絶滅の恐れが少ない、個体数が十分多い種)だった場合、対応主体は環境省ではなく、北海道庁や町役場、それに役場から鳥獣関係の業務委託を受けている知床財団になっています。しかしちょうど会議続きでどこの組織も人手不足、さらに私が獣医で、大学院時代の博士論文テーマが野生のアザラシやトドだったこともあり、作業に参戦しました。

 まず、一時収容場所をどこにするかで悩みました。羅臼には傷病鳥獣の収容や治療を、衛生的にできる公的施設がありません。結局、昨年までビジターセンターとして使っていた古い建物の奥にある、パークボランティア用宿泊スペースのバスタブに収まりました。



 弱っているとはいえ、相手は野生動物。特にアザラシは、身体的接触を特に嫌う性質を持っています。うかつに聴診器や手を近づけると「ガァー!」と怒って咬んできます。「馬乗り保定」というアザラシならではの拘束方法もあるのですが、収容直後で興奮している野生動物を無理矢理押さえつけてまで検査して、余計なストレスを与えたくありません。餌用に町役場の方(釣りが趣味)からもらったワカサギが解凍されるまで、とりあえず2時間ほど安静にさせることにしました。

 さて、解凍が終わったワカサギを器具でつまんで顔の前で振ってみましたが、威嚇するだけで食いつきません。怒って口を開けた瞬間に中に放り込んでもみましたが、クチャクチャした後、結局「ペッ!」と吐き出されてしまいました。無理矢理ノド奥に突っ込んで飲み込ませる(強制給餌をする)なら馬乗り保定が必要ですし、そもそもここのバスルームは、そのような作業をするスペースとしては狭すぎました(失敗)。脱水が心配なので、ひとまず経口補液だけでもするか? おっと、胃まで挿入する長さのカテーテル(チューブ)やブドウ糖液も無いのだった・・・

 無い無い尽くしのせいだと自分とアザラシに言い訳しつつ、ワカサギと、イカの足だけを小さめに切ったものを置き餌にして、その晩は様子を見ることにしました。収容時期と毛の状態から見て、このアザラシはパップ(今年生まれの新生子)ではなく昨年生まれのようでしたが、弱っているので、ひとまずバスタブには水をまったく張らないことにしました。

 翌朝、早起きして出勤前にバスルームを覗いてみたところ、餌はそのまま、バスタブ内は下痢便だらけになっていました・・・呼吸も前夜に比べて少し荒くなっており、もしこのままここで収容し続けるなら、抗生物質の投与が必要そうです。しかし餌を自分から食べないとなると、錠剤を仕込んだ魚を強制給餌するか?それとも注射薬を使うか?
あー、抗生剤の注射薬にも、ロクなストックが無いのだった。

 その後官庁の業務時間になり、羅臼町役場の担当者が北海道庁(根室支庁)の担当者等と電話相談をした結果、この個体に関しては、運良く釧路市動物園が引き取ってくれることになりました。
 搬出直前に感染症モニタリング用に少しだけ採血をさせてもらい、その後アザラシちゃん(メス)は大きなプラスチック容器に入れられて知床財団トラックの荷台に乗せられ、釧路へと旅立っていきました・・・


 ゴマフアザラシは個体数が多く、漁業に被害を与えています。そのため「漁業有害獣」として道内一部地域では猟銃を用いた駆除の対象になっています。その他、漁網による混獲も相当数あるようです。したがって、今回のように住民や観光客からの通報で傷病個体を一旦保護収容したとしても、動物園や水族館が引き取ってくれない場合は難しい判断を迫られることになります。簡単な治療で元気になったとしても、近くに放せば再び漁業被害の原因となるため、地元漁業者の感情を考えればそうそう簡単には放せません。人馴れした分だけ、治療後放流個体は他の野生個体より大胆な行動をとる恐れもあり・・・ 結局、引き取り先が無い場合は、治療せずに人目につかない場所に放して自然界の食物連鎖に委ねる、あるいは麻酔薬などを使って安楽死させる、というのが、羅臼で可能な現実的対応なのかもしれません。

 たまたま運良く引き取り先が決まった今回のアザラシ。元気になれば、将来は新しい血を飼育個体群に入れるために活用される可能性もあると聞いています。なんとか回復して、長生きして欲しいものです。


後ろ肢裏側つけ根の静脈叢(静脈が集まっている部位)から翼状針を使って採血しました。青い尻は、カッパを着て馬乗り保定をしてくれている知床財団職員です。

アザラシが去った後のバスタブを掃除中。次に羅臼へ来られる予定のパークボランティアや研究者の皆さん、念入りに洗って、バッチリ塩素消毒もしましたので、どうかご安心を!
どうしても心配なら近所の温泉ホテルや「熊の湯」に行って下さい(苦笑)。でもこのバスタブには、実は過去にも傷病水鳥などを収容したことが・・・

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2008年03月14日スキーorスノーシュー

知床国立公園 羅臼 佐々木 尚子

3月10日、石名坂ARは山スキー、私はスノーシューを履いて、熊越の滝まで巡視に行ってきました。
この日は、珍しく4月下旬並の暖かさとなり、スキーでスイスイ先を行く石名坂ARに、スノーシューでついて行こうとする私には、上着がいらないくらいでした。


羅臼川沿いの河川敷。右奥に熊越の滝がある。


だいぶ置いていかれ、やっぱりスキーにすればよかったかな・・・と、ちょっと後悔しつつ羅臼川を渡り、熊越の滝遊歩道に入りました。
熊越の滝遊歩道には、急な坂や小さな橋があり、小回りのきかないスキーは、なかなか大変な様子。遅れていた私は、小さな橋を渡ろうとしている石名坂ARに追いつきました。
雪が積もった橋は、高く、狭くなっていて、見ている私がハラハラしてしましました。
このとき、やっぱりスノーシューで来て良かった、と思いました。


小さな橋を渡るのに苦戦する石名坂AR


お互い苦戦しながらも、無事熊越の滝に到着。
静かな森の中に滝の音だけが響き、賑やかな夏にはない滝の姿を見ることができました。


雪に覆われた熊越の滝


熊越の滝は、冬の羅臼を楽しめる人気の場所ですが、急斜面や雪に隠れた小川などがあります。また、遊歩道が斜面に囲まれているところもあるので、温度変化が激しくなるこれからの季節、雪崩などに十分注意して入山してください。

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2008年02月27日羅臼の吹雪

知床国立公園 羅臼 石名坂 豪

 今日(2/27)の羅臼は、先日2/15と同様のひどい吹雪です。視界は真っ白。出勤時に運転していたら道路脇のスノーポールどころか、空中の矢印(矢羽根または視線誘導標:地面近くの視界ゼロの際に道路端の位置を教えてくれる)も時々まったく見えなくなり、徐行運転を余儀なくされました。こんな時、うっかり車を完全停止させると後続車に追突されるのが、北国での運転の難しいところです。

 出勤後に事務仕事をしていると、羅臼町役場からの防災無線がいろいろな情報を次々に提供してくれました。羅臼から相泊へ向かう道道が先ず通行止め、羅臼と町外を結ぶ唯一の道路である国道335号が幌萌-峯浜間で通行止め、ゴミ収集車は午後の収集を中止、路線バスは全路線運休・・・
 国道の通行止めは14時半に解除となりましたが、解除までの4時間、羅臼は完全に陸の孤島となりました。孤立は今冬2回目です。


 羅臼ビジターセンターの駐車場もこんな状態。車が何台かありますが、これはセンターを管理している知床財団職員の車や、環境省職員の車、それに自然保護官事務所の公用車です。

 こんな日でも羅臼ビジターセンターは、頑張って開館しています。しかし14時半の時点で来館者ゼロ。2月はワシや流氷目当ての観光客が意外といるため、強風で観光船が欠航になった日は来館者数が増えることが多いです。しかし今日はさすがに・・・ 
もっとも、こんな視界が悪い日の運転は、路外転落や衝突のもとです。無理してビジターセンターにまで行く必要なしと皆さん判断されたのでしょうか。下手すれば命がけになるので、それが正解でしょうね。
普段の私は、昼休みになると5分ほど車を走らせて、市街まで昼食を食べに出ていますが、さすがに今日はあきらめました。

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2008年02月21日外来種の分布拡大

知床国立公園 羅臼 佐々木 尚子

2月14日、「セイヨウオオマルハナバチ監視活動」の19年度の集計結果が東京大学保全生態学研究室より発表されました。
それによると、道内の78市町村で計27,778匹が捕獲され、18年度よりも18市町村、6,526匹も確認数が増えています。
なぜセイヨウオオマルハナバチの監視&捕獲をしているのかというと、彼らは、在来マルハナバチの生息地を奪ってしまったり、盗蜜(花に穴を開けて蜜だけ取るため、受粉が行われない)を行ったりして植生に重大な影響を与えてしまう外来種だからです。ハウストマトなどの受粉昆虫として日本にやってきましたが、平成8年、日高で自然巣が発見されて以降、道内各地で生息が確認されています。

昨年10月21日には、近くにハウス農家がない羅臼でも、生息を確認しました。まだ完全に定着していないのか、捕獲数は3匹だけでしたが、着実に分布域を広げているようです。

羅臼川河口の土手で捕獲したセイヨウオオマルハナバチ。
肩とお腹の鮮やかな黄色と、白いお尻が特徴。


セイヨウオオマルハナバチの定着を阻止するためには、春、巣作りをするために飛びまわっている女王バチを捕獲するのが最も効果的です。
たった1匹の捕獲でも、貴重な自然を守る大きな力となります。北海道に春が訪れるのはまだまだ先ですが、今年の春は、咲き誇る花々を眺めながら、ハチたちの観察もしてみてはいかがですか。


アザミの花を訪れる在来マルハナバチ


北海道では、東京大学が行っている監視活動と連携し、平成19年5月に外来生物法に基づく「防除実施計画」を作成し、防除活動を行っています。一般住民の方が参加できる「セイヨウオオマルハナバチバスターズ」の募集も行っていますので、外来種問題に関心のある方、草花の好きな方など、ぜひ参加してみてください。防除活動への参加方法やマルハナバチの見分け方など、詳しく知りたい方は、下記ホームページをご覧ください。

北海道庁セイヨウオオマルハナバチのページ
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/alien/seiyo/seiyo_top

東京大学保全生態学研究室
http://www.coneco.es.a.u-tokyo.ac.jp/seiyou/index070807.htm

セイヨウオオマルハナバチを捕まえたら?
東京大学保全生態学研究室に送っていただきたいのですが、セイヨウオオマルハナバチは、特定外来生物に指定されているため、飼育・生きたままの移動・運搬が禁止されています。捕まえたハチは、中性洗剤などの殺虫剤入り密閉容器(ペットボトルなど)に入れるなどして殺処分し、取り扱いには十分注意してください。

送付先
〒113-8657
東京都文京区弥生1-1-1
東京大学 農学生命科学研究科 保全生態学研究室
担当:菊池 玲奈宛

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2008年02月12日根室海峡の流氷と動物たち

知床国立公園 羅臼 石名坂 豪

 知床半島と国後島との間に広がる細長い海は、「根室海峡」と呼ばれています。羅臼町が面するこの根室海峡にも、1月末から本格的に流氷が流入してきました。

写真1. 羅臼の海岸線から見た流氷(2月5日撮影. 対岸は北方領土の国後島)

 根室海峡に来る流氷は、斜里町のウトロなどに接岸した後、少し遅れて知床岬先端を回り込んできた流氷です。これには、海流の方向が関係しています。
 さて、羅臼町内の「流氷観測初日」はいつだったのでしょうか?東半分が羅臼町である知床岬の先端部では、1月23日に根室海峡へ流入する流氷帯を見かけました(エゾシカ密度操作実験の業務参加中)。定住人口のいる場所からとなると、1月28日に道道終点である相泊の裏山(標高約250m)から、幅広の流氷帯を観音岩方向に見ました(巡視中)。そして羅臼の中心市街から流氷帯が見えたのは、高台からだと2月1日が最初、海岸線の低いところからだと2月5日が初日になるようです。特に2月5日以降は、羅臼漁港よりも南側(標津町寄り)の海岸からも、沖合に広がる流氷帯が見えています(2/12時点)。羅臼漁港よりも北側(知床岬先端寄り)の相泊やサシルイ岬付近であれば、ほぼ接岸しているのが2月5日に観察されました。

写真2. 知床岬先端部の流氷帯. 左側の根室海峡に流入し始めている(1月23日撮影)

 流氷は、知床が世界遺産として認定されるに至った重要な要素であり、知床に生息する動物たちの生態に大きな影響を与えています。以下、勤務日以外の休日に走り回って集めた観察記録も含めて、大型動物各種の今冬の動向と、流氷との関係について、あれこれ書いてみたいと思います。

 まずはオオワシとオジロワシ。羅臼自然保護官事務所が11月30日から週1回ペースで実施している海岸線ワシ調査(羅臼町の海岸線の一部:約40 kmの区間を調査)では、1月22日に確認個体数が急激に増えました。流氷のウトロ接岸が1月21日、根室海峡への流入開始が前述したように1月23日ですから、流氷と共に移動してきて、新たに羅臼へ飛来したワシたちがいるのかもしれません。実際、1月23日に知床岬先端から流氷帯をこじ開けて脱出したときには、船から見える範囲の流氷上だけで、とまっているワシたちを15羽以上確認しました。

写真3. 流氷にとまるオオワシ成鳥(2月5日撮影)

 トドは、11月18日に数頭規模の群れを初確認し、それ以降は沿岸の休息場所でほぼ毎日、ゆったりと遊泳するメス成獣主体の群れを陸から観察できていました。このようにトドが昼の間ずっと滞泳・休息している特定の休息場所(上陸はしない)は、知床の海獣ハンター達から長年「付き場」と呼ばれ、近年は羅臼漁港よりも標津寄りの沿岸に数ヵ所点在しています。トドが最も多かった12月には、各付き場にいた複数群を合計すると約100頭が確認されていました。しかし流氷帯が羅臼市街地に接近してきた2月4日を最後に、大きな群れを付き場で見かけることはなくなりました。現在は、「ごく少数を場所不定で時々見かける」というような、流氷期の例年どおりのパターンになっています。

写真4. トドの群れ. 付き場の1つにて撮影(1月19日)

 ゴマフアザラシは、12月23日に標津寄りの沿岸で1頭確認したのを皮切りに、海岸線から時々見かけていました。1月19日以降は、羅臼市街地から近い礼文町地区にある暗礁で、プカプカのんびり立ち泳ぎをするアザラシたちを毎日観察できるようになり、2月4日には同所で20頭以上を確認しました。しかし2/8の昼休みと2/10に同所へ行ってみたところ、1頭も発見できませんでした(他の場所では1頭見ましたが)。2月5日に有害駆除が実施された影響も多少あるかもしれませんが、みんな沖合の流氷帯の方へ移動してしまったのでしょう。
 なにはともあれ2月下旬になれば、流氷の上に乗るゴマフアザラシを観光船からたくさん観察できるようになるはずです。アザラシの出産期である3月末-4月上旬まで羅臼沖に流氷帯が残っていてくれれば、ゴマフアザラシやクラカケアザラシの真っ白な赤ちゃんとの出会いも、期待できるかもしれません。

写真5. 立ち泳ぎしてノドをこちらに見せているゴマフアザラシ(1月19日撮影)

 シャチは、1月23日に知床岬からの帰路、観音岩沖で親子連れ3頭と遭遇しました。今後3月まで流氷勢力が強いまま維持されると、シャチの餌となるアザラシ類の数が羅臼沖に増えてくると予想されます。そうなれば、沖合でシャチと遭遇する機会も増えるかもしれません。

写真6. 横一線に並んで浮上したシャチの家族群. 左から子、メス、オスの順に背ビレが並んでいる(1月23日、観音岩沖にて撮影. 背景は国後島)

写真7. 船に自ら接近、下をくぐってから急浮上した子シャチ
(1月23日に若松自然保護官が撮影したビデオ映像よりキャプチャ)

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2007年11月22日「知床の四季」を見に来ませんか?

知床国立公園 羅臼 佐々木 尚子

現在、羅臼ビジターセンター特別展示室では、斜里町在住の写真家赤坂勝美さんの写真展を開催しています。
知床横断道路(国道334号線)が冬期全面通行止めとなってから、めっきり冬の装いになった知床半島は、吹雪く日も出てきました。そんな外の寒さを忘れ、ゆっくりとくつろぐことができるような空間を目指し、やわらかな日差しを浴びて咲く高山植物の写真をたくさん展示しました。


青空の下に咲くチシマノキンバイソウやエゾノツガザクラなどを見ていると夏にタイムスリップしたようです!もちろんこの他にも、美しく色づいた紅葉や雪化粧した山々と様々な表情の知床を見ることができます。
あなたも、ゆっくりと流れる時の中で、知床の四季を眺める贅沢な時間を過ごしてみてはいかがですか?


写真展は、12月16日(日)まで開催しています。
2006年のフォトコンテストで特別賞を受賞した「縦走路の秋」をはじめ、17作品を展示していますので、ぜひお越しください!
詳しくは羅臼ビジターセンターHPをご覧ください。
http://rausu-vc.jp/

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2007年11月12日家庭ゴミの不法投棄

知床国立公園 羅臼 石名坂 豪

 11月8日(木)の夕方、羅臼町役場の方から「羅臼温泉の源泉のところに家庭ゴミを不法投棄された」との情報が入りました。国立公園区域内でもあったので、早速状況確認と回収の手伝いに出向きました。

 現地に到着すると、モウモウと上がる水蒸気のそばに町役場の車が2台駐まっており、役場の建設水道課と環境管理課の担当者が集まっていました。大きなゴミ袋で4袋分のゴミが捨てられたようで、既に3袋が回収され、軽トラの荷台に載っていました。町指定ではない半透明のゴミ袋がカラスにつつかれて破れ、残飯や使用済みの紙オムツが穴からこぼれていました・・・・

 残り1袋は川の対岸に流され、カラスにやられて中身が散乱していました。他の人は長靴を履いていなかったため、私が川を渡って回収しに行きました。

 こちらもやはり残飯や汚れた食品の容器、使用済み紙オムツでいっぱい。紙オムツが水を吸ってかなりの重量になり、運ぶのに一苦労でした。今回は幸い発見が早かったため、残飯についたのはカラスだけでした。でも、一晩放置したらヒグマがついていたかもしれません。

 幼児用紙オムツのようだったので、これらを捨てたのはおそらく地元の若い世代でしょう。町指定の有料ゴミ袋を買うのをけちって、まさに「ゴミを山に投げた(北海道方言では捨てることを投げると言う)」といったところでしょうか。年配の人ならともかく、若い世代だとするとちょっとショックです。環境教育の浸透がまだまだ手ぬるい証拠でしょうか?

 国立公園区域の内外を問わず、ゴミの不法投棄はよく目につきます。釣り人や観光客(含、長期キャンパー)が原因の場合もありますが、「これ捨てたのは明らかに地元民でしょう」という場合も多々あります。町外からの来訪者はもちろん、地元の方にも、羅臼の自然や美観にもっと関心や大切にしようという心を持っていただきたいものです。地元の方々全員とは言いませんが、どうも自然があることが当たり前すぎて、それに対する甘えがあるような気がしてなりません。油断は禁物ですよ~

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2007年10月26日露天風呂の珍客

知床国立公園 羅臼 佐々木 尚子

「露天風呂で暴れている動物がいる!」と、事務所のすぐ近くにあるホテルから朝一で電話がありました。大掛かりな捕獲を覚悟して飛び出していった石名坂ARがホテルに着くと、小さな瓶を手渡されました。「暴れていた動物」はすでに捕まえられて、空気穴が開けられた瓶に入れられていたのです。
瓶の中でうごめく動物の正体は、小さなコウモリでした。
体の特徴から大人のモモジロコウモリであることが判明。夜行性なので、夕方まで保護することにしました。


個体識別用のリングが付けられた翼
コウモリの翼の膜は奥が透けてしまうほど薄い


コウモリというとたいていの人が吸血コウモリを想像しますが、日本にいるコウモリは昆虫や果実などを食べているので、いきなり飛びつかれてガブリッ!なんてことはありません。このモモジロコウモリも、川や湖で蚊などの昆虫を食べています。
ホテルの裏側を流れる川で餌を探していたのでしょうが、冷え込みの厳しくなってきたこの季節は、暖かい露天風呂が絶好の休憩場所だったのでしょう。


軍手の中から様子をうかがうモモジロコウモリ


日も落ち、辺りが真っ暗になってきた頃、モモジロコウモリを放しに外へ出ると、周りの木の枝が揺れるほどの風が吹いていました。モモジロコウモリの体重はわずか8g。1円玉8枚分の重さしかありません。この強風の中飛んでいけるのかな・・・と不安になりながらゆっくり手を離すと、風などものともせず元気に飛び去っていきました。

鮮やかだった山々の紅葉も色あせ始め、冬眠間近のモモジロコウモリが活動できるのも残りわずか。まもなく知床半島に厳しい冬がやってきます。

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2007年10月17日冬がやってくる

知床国立公園 羅臼 石名坂 豪

 10月15日(月)。この日は早朝出発して羅臼岳登山道を羅臼温泉登山口から山頂まで巡視・・・・する予定でした。しかし山の天候悪化が予想されたため、前日夜の時点で中止という判断が下されました。また14日夕方に下山してきた登山者が、ゴールの登山口間近で親子グマに帰り道をふさがれて携帯で通報。町役場や知床財団のクマ対策担当者だけでなく、警察も出動したちょっとした騒ぎになったことも理由の一つです。羅臼岳登山道にクマが現れること自体はまったく驚くに値しない出来事ですが、騒ぎになった翌朝に、わかっていて行くのもちょっとね・・・といった感じです。

 そのようなわけで、羅臼岳に行かなかった代わりに、羅臼湖など管内3ヵ所の入山カウンターの保守点検とデータ回収に出かけました。羅臼湖入口付近では道路脇に雪が積もっており、先週きれいだった紅葉はすっかりくすんでいました。


道路脇の雪

くすんできた紅葉。足下にはやはり雪


 知床峠付近では冷たい強風が吹き、みぞれが時折降り、羅臼岳方向は黒い雲の中。おそらく山頂付近では雪がたくさん降っていたことでしょう。行かなくて良かった!(苦笑)。

 自宅ではハロゲンヒーターだとつらくなり、とうとう灯油ストーブを使い始めてしまいました。
 短い秋が終わり、知床半島は冬に突入しようとしています。

※ 国道334号「知床横断道路」は、夜間交通規制が10/24開始と報道されています。しかし既に悪天候などで路面凍結の恐れが出てきたため、日によって「夜間通行止め」や「終日通行止め」が始まっています。知床半島の羅臼-ウトロ間を走行する予定の方は、交通情報にご注意ください。

既に10/16までに・・・・・
 夜間通行止め:10/12, 10/14, 10/15
 終日通行止め:10/13

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2007年10月16日木階段作りに初挑戦

知床国立公園 羅臼 佐々木 尚子

10月10日、羅臼湖の二の沼近くの急斜面で木階段作りが行われました。今回の維持補修活動は根室支庁主催で行われ、環境省、林野庁、根室支庁、羅臼町、知床財団、知床ガイド協議会、羅臼山岳会から26名が参加しました。
目的は「木階段作り」なので、当然材料である木材、さらにスコップやカナヅチなどの道具類も運ばなければなりません・・・。30段分の木材と道具を分担して運ぶことになりました。予定では2、3回往復するはずだったのですが、力自慢?の参加者が多かったのか1回で運びきることができました。


木材運搬中


二の沼付近の斜面は、水の通り道となっているため削れやすく、以前設置された歩道もほぼ機能していない状態です。雪解け水の流れる6月頃は、まるで小川のようになっていて、「これが歩道なの!?」とビックリしました。


削れて溝になった歩道はかなり滑ります!!


重い木材運びの後は、いよいよ階段作りです。といっても誰も木階段なんて作ったことがないので、お手本として地元の建設会社の方々に頼んで1段作っていただきました。


作業手順を覚える参加者の皆さん。真剣です!


手順を覚えたところで、2、3人のグループに分かれて作業開始です。土の中に隠れていた石に杭打ちを邪魔されたり、段差を埋めるための土嚢運びに悪戦苦闘しながらも、29段の階段を完成させることができました。


横板を固定する根室支庁職員

完成した木階段
段差もなくなり、かなり歩きやすくなりました。


羅臼湖へ向かう皆さんへ
羅臼湖の歩道は、常に水たまりやぬかるみがあるような所です。雨が降った次の日には、グチャグチャの田んぼ状態で、股のところまで泥まみれ・・・という悲惨な状態になることもあります。そして、靴が汚れるからと歩道を外れると、高山植物を踏みつけてしまいます。作業中も泥一つ付いていない靴で歩いている利用者を見かけました。
足下の植物を踏みつけて、周りの景色は楽しむなんて良い気分はしないですよね?自分のためにも、自然のためにも、羅臼湖歩道に入るときは、どんなに天気が良くても長靴を履いていきましょう!


二の沼の紅葉
残念ながら羅臼岳は雲の中・・・

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