知床国立公園 羅臼
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2008年06月03日巡視の一コマ
知床国立公園 羅臼 木村 慈延
羅臼市街から、知床半島の先端方向に30km程離れた場所に「相泊」(画像1参照)という場所があります。相泊へは海岸沿いの道道を走って向かうのですが、今回は画像1の「★」の「瀬石」という場所で、巡視中にちょっと微笑ましい光景が見られたので紹介します。
画像1(カシミール3Dを使用して作成)
海岸沿いを歩くキタキツネを見つけました。
何かくわえているようです。魚か何かでしょうか?
一生懸命かじり付いています。
どうやら食べ終わった・・・と思った瞬間でした。
我慢できなくなったのでしょうか。ウンチをしています。
食べたら、消化して排出する。
やがて微生物に分解されて、大自然に還る。
ほんの2~3分の間に自然の循環を目の当たりにした巡視の一コマでした。
画像1(カシミール3Dを使用して作成)
海岸沿いを歩くキタキツネを見つけました。
何かくわえているようです。魚か何かでしょうか?
一生懸命かじり付いています。
どうやら食べ終わった・・・と思った瞬間でした。
我慢できなくなったのでしょうか。ウンチをしています。
食べたら、消化して排出する。
やがて微生物に分解されて、大自然に還る。
ほんの2~3分の間に自然の循環を目の当たりにした巡視の一コマでした。
2008年05月26日巡視場所紹介①
知床国立公園 羅臼 後藤 菜生子
私たちアクティブレンジャーの仕事の一つに「巡視」という仕事があります。配属されている担当地区にある、国立公園や国指定鳥獣保護区などを巡回し、自然状況や利用状況をみる仕事です。
例えば、自然の状況が現在どうなっているか、そこにどんな動物が生息し利用しているか、生息している動植物にどんな変化があるか、観光客の方々や地域の方々がどれくらいどのように利用しているか、ビジターセンターや歩道など施設の利用上の問題はないか、自然に悪影響を及ぼす人為活動が無秩序に行われていないか、など自然と人間活動両方の監視と情報収集を行う仕事です。
今回より羅臼地区のアクティブレンジャーが定期的に巡視を行っている場所とその活動内容を紹介していきたいと思います。
まず第1回目は、国指定野付半島・野付湾鳥獣保護区を紹介します。
野付半島は知床半島と根室半島の中間に位置し、標津町と別海町をまたぐ日本最大の砂嘴(さし)です。野付半島はその特異な環境を利用する海鳥を始め様々な鳥類が生息することから、ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)湿地にも登録されています。
ナラワラやトドワラと呼ばれる場所では、かつて存在した原生林が海水浸食のため立ち枯れを起こし、荒涼とした景観が広がります。また、その景色の中を歩くとエゾカンゾウやハマナスなどの花々が彩る原生花園も楽しむことができます。
野付半島は、そんな自然が体感できる道東の観光名所の一つでもあり、訪れる人が沢山います。
そんな野付半島が私たち羅臼地区アクティブレンジャーの定期的巡視場所の一つです。現在は週に1~2回の巡視を行っています。
まず、野付半島の自然状況がどうなっているか、どんな動植物が野付半島に生育・生息し利用しているのかを調査し、記録する仕事です。
プロミナーで鳥類を観察する木村AR
野付半島には沢山の鳥達が飛来します。野付半島で繁殖している鳥も沢山います。オジロワシやタンチョウなどの大きな鳥からベニマシコなどの小さな鳥まで、また、海を利用するカモメ類から湿地を利用するシギ類まで、様々な鳥類を一度に観察することができるのも野付半島ならではの環境です。
その季節によって観察できる鳥に違いがあり、現在は冬鳥が少なくなり夏鳥が多く観察できるようになりました。4月初旬には多くのカモ類が観察できましたが、現在は水辺を利用するシギ・チドリ類、オオジュリンやコムクドリなどの夏鳥が増え、観察することができます。
オオジシギ
トウネン、キョウジョシギ、ムナグロ、ダイゼンなど様々なシギ・チドリ類を多く観察できるようになった現在の野付半島で、最も目立っているのがこのオオジシギです。というのも、その鳴き声に特徴があるからなんです。
今、オオジシギは大事な繁殖時期にあって、ディスプレイ飛翔というのをするんです。上空で「ズビャーク、ズビャーク」と激しく鳴いたかと思うとまるで雷のような「ダダダダ……」という尾羽で風を切る音と共に急降下!この写真の可愛らしい顔からは想像がつかないような声と音です!
一見地味に見えるオオジシギの派手で意外な一面を見ることができます。
また、これらの調査とともに行っている野付半島・野付鳥獣保護区巡視の仕事の一つに、セイヨウオオマルハナバチの監視・防除活動があります。
セイヨウオオマルハナバチ捕獲!
セイヨウオオマルハナバチはヨーロッパが原産の外来生物で、盗密による植生への影響や在来マルハナバチとの餌や営巣箇所の競合などが問題となり、外来生物法(通称)に基づく特定外来生物に指定されています。
そのセイヨウオオマルハナバチが昨年初めて野付半島で観察され、野付半島に元々生息しているエゾオオマルハナバチやアカマルハナバチなどの在来種、道東の限られた場所にしか生息しないノサップマルハナバチ(希少種)などの生息を脅かす要因になっています。このままセイヨウオオマルハナバチが沢山増え続けてしまえば、在来種や希少種の数が減り、絶滅の危険性もあることから、セイヨウオオマルハナバチを捕獲しなくてはいけません。
そのため、巡視の途中で飛来しそうな環境があると網を持って捕獲作業をします。
5月15日(木)野付半島では今年初となるセイヨウオオマルハナバチを捕獲することができました。セイヨウオオマルハナバチにとっては可哀想ですが、もともとある自然を守るためには必要な活動の一つです。
花のシーズンの始まりとともに活動を開始するセイヨウオオマルハナバチ。彼らも地球上のかけがえの無い生き物ですが、ここにしかない自然、生態系を末永く未来に残すため、野付半島の自然の貴重さを改めて認識してもらうため、そして、セイヨウオオマルハナバチの防除に向けた活動に多くの方々へ理解・協力してもらうため、5月31日に別海町でセイヨウオオマルハナバチのシンポジウムが開催されます。興味・関心のある方は是非ご参加下さい。
また、セイヨウオオマルハナバチは北海道のみならず、全国で分布拡大が懸念されている状況です。もしかしたらお庭の花や、畑の花に飛来しているかもしれません。皆さんのまわりでも注意して見てみてください。
STOP!セイヨウオオマルハナバチ
○講演会○
日時:5月31日(土) 14:00~17:30
場所:別海町マルチメディア館 マルチメディアホール
講演:「野付半島の自然と送粉共生系」加藤真 京都大学教授
「セイヨウオオマルハナバチの侵入と対策」鷲谷いづみ 東京大学教授
野付半島におけるセイヨウオオマルハナバチの確認 石川聖江 野付半 島NC主任専門員
セイヨウオオマルハナバチ監視活動について 菊池玲奈 東京大学東京 特任研究員
※詳細は野付半島ネイチャーセンターへお問い合わせください。
例えば、自然の状況が現在どうなっているか、そこにどんな動物が生息し利用しているか、生息している動植物にどんな変化があるか、観光客の方々や地域の方々がどれくらいどのように利用しているか、ビジターセンターや歩道など施設の利用上の問題はないか、自然に悪影響を及ぼす人為活動が無秩序に行われていないか、など自然と人間活動両方の監視と情報収集を行う仕事です。
今回より羅臼地区のアクティブレンジャーが定期的に巡視を行っている場所とその活動内容を紹介していきたいと思います。
まず第1回目は、国指定野付半島・野付湾鳥獣保護区を紹介します。
野付半島は知床半島と根室半島の中間に位置し、標津町と別海町をまたぐ日本最大の砂嘴(さし)です。野付半島はその特異な環境を利用する海鳥を始め様々な鳥類が生息することから、ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)湿地にも登録されています。
ナラワラやトドワラと呼ばれる場所では、かつて存在した原生林が海水浸食のため立ち枯れを起こし、荒涼とした景観が広がります。また、その景色の中を歩くとエゾカンゾウやハマナスなどの花々が彩る原生花園も楽しむことができます。
野付半島は、そんな自然が体感できる道東の観光名所の一つでもあり、訪れる人が沢山います。
そんな野付半島が私たち羅臼地区アクティブレンジャーの定期的巡視場所の一つです。現在は週に1~2回の巡視を行っています。
まず、野付半島の自然状況がどうなっているか、どんな動植物が野付半島に生育・生息し利用しているのかを調査し、記録する仕事です。
プロミナーで鳥類を観察する木村AR
野付半島には沢山の鳥達が飛来します。野付半島で繁殖している鳥も沢山います。オジロワシやタンチョウなどの大きな鳥からベニマシコなどの小さな鳥まで、また、海を利用するカモメ類から湿地を利用するシギ類まで、様々な鳥類を一度に観察することができるのも野付半島ならではの環境です。
その季節によって観察できる鳥に違いがあり、現在は冬鳥が少なくなり夏鳥が多く観察できるようになりました。4月初旬には多くのカモ類が観察できましたが、現在は水辺を利用するシギ・チドリ類、オオジュリンやコムクドリなどの夏鳥が増え、観察することができます。
オオジシギ
トウネン、キョウジョシギ、ムナグロ、ダイゼンなど様々なシギ・チドリ類を多く観察できるようになった現在の野付半島で、最も目立っているのがこのオオジシギです。というのも、その鳴き声に特徴があるからなんです。
今、オオジシギは大事な繁殖時期にあって、ディスプレイ飛翔というのをするんです。上空で「ズビャーク、ズビャーク」と激しく鳴いたかと思うとまるで雷のような「ダダダダ……」という尾羽で風を切る音と共に急降下!この写真の可愛らしい顔からは想像がつかないような声と音です!
一見地味に見えるオオジシギの派手で意外な一面を見ることができます。
また、これらの調査とともに行っている野付半島・野付鳥獣保護区巡視の仕事の一つに、セイヨウオオマルハナバチの監視・防除活動があります。
セイヨウオオマルハナバチ捕獲!
セイヨウオオマルハナバチはヨーロッパが原産の外来生物で、盗密による植生への影響や在来マルハナバチとの餌や営巣箇所の競合などが問題となり、外来生物法(通称)に基づく特定外来生物に指定されています。
そのセイヨウオオマルハナバチが昨年初めて野付半島で観察され、野付半島に元々生息しているエゾオオマルハナバチやアカマルハナバチなどの在来種、道東の限られた場所にしか生息しないノサップマルハナバチ(希少種)などの生息を脅かす要因になっています。このままセイヨウオオマルハナバチが沢山増え続けてしまえば、在来種や希少種の数が減り、絶滅の危険性もあることから、セイヨウオオマルハナバチを捕獲しなくてはいけません。
そのため、巡視の途中で飛来しそうな環境があると網を持って捕獲作業をします。
5月15日(木)野付半島では今年初となるセイヨウオオマルハナバチを捕獲することができました。セイヨウオオマルハナバチにとっては可哀想ですが、もともとある自然を守るためには必要な活動の一つです。
花のシーズンの始まりとともに活動を開始するセイヨウオオマルハナバチ。彼らも地球上のかけがえの無い生き物ですが、ここにしかない自然、生態系を末永く未来に残すため、野付半島の自然の貴重さを改めて認識してもらうため、そして、セイヨウオオマルハナバチの防除に向けた活動に多くの方々へ理解・協力してもらうため、5月31日に別海町でセイヨウオオマルハナバチのシンポジウムが開催されます。興味・関心のある方は是非ご参加下さい。
また、セイヨウオオマルハナバチは北海道のみならず、全国で分布拡大が懸念されている状況です。もしかしたらお庭の花や、畑の花に飛来しているかもしれません。皆さんのまわりでも注意して見てみてください。
STOP!セイヨウオオマルハナバチ
○講演会○
日時:5月31日(土) 14:00~17:30
場所:別海町マルチメディア館 マルチメディアホール
講演:「野付半島の自然と送粉共生系」加藤真 京都大学教授
「セイヨウオオマルハナバチの侵入と対策」鷲谷いづみ 東京大学教授
野付半島におけるセイヨウオオマルハナバチの確認 石川聖江 野付半 島NC主任専門員
セイヨウオオマルハナバチ監視活動について 菊池玲奈 東京大学東京 特任研究員
※詳細は野付半島ネイチャーセンターへお問い合わせください。
2008年05月16日入山カウンター設置
知床国立公園 羅臼 木村 慈延
五月になって気温も少しずつあがって、羅臼も春らしくなってきました。
鳥のさえずりや、木々や草花の芽吹きが目や耳を通して楽しませてくれます。
春が来て色々な動植物が見られると目を輝かせている私ですが、雪が無くなると急いでやらなくてはならないこともあります。それは入山カウンターを設置することです。入山カウンターとは、登山道の利用状況を把握するための機械で、カウンターの前を通った利用者の数と時間を計測します。
先日は観音岩とウナキベツという場所でカウンターを設置してきました。観音岩、ウナキベツは、羅臼よりも知床半島の先端方向にあり、車道が途切れる相泊という場所から海岸線を1時間半ほど歩いた場所にあります。
観音岩のロープ場に登るAR後藤(写真下)と木村(写真上)撮影は若松自然保護官
登り切った場所に咲いていたレブンコザクラ。花屋さんで見かける花のように鮮やかです。
入山カウンターの設置風景。エゾシカやヒグマにも反応してしまうので、センサーの高さなど設置にも工夫が必要でした。
このような入山カウンターの設置理由としては、登山道の利用実態を把握するために行っています。また、得られたデータは登山道を適正に利用してもらうためのルール作りに役立てられています。人の手がほとんど加えられていないダイナミックな知床の自然。適正な利用のもと、多くの人が感動的な体験を出来るフィールドで有り続けて欲しいと思います。
鳥のさえずりや、木々や草花の芽吹きが目や耳を通して楽しませてくれます。
春が来て色々な動植物が見られると目を輝かせている私ですが、雪が無くなると急いでやらなくてはならないこともあります。それは入山カウンターを設置することです。入山カウンターとは、登山道の利用状況を把握するための機械で、カウンターの前を通った利用者の数と時間を計測します。
先日は観音岩とウナキベツという場所でカウンターを設置してきました。観音岩、ウナキベツは、羅臼よりも知床半島の先端方向にあり、車道が途切れる相泊という場所から海岸線を1時間半ほど歩いた場所にあります。
観音岩のロープ場に登るAR後藤(写真下)と木村(写真上)撮影は若松自然保護官
登り切った場所に咲いていたレブンコザクラ。花屋さんで見かける花のように鮮やかです。
入山カウンターの設置風景。エゾシカやヒグマにも反応してしまうので、センサーの高さなど設置にも工夫が必要でした。
このような入山カウンターの設置理由としては、登山道の利用実態を把握するために行っています。また、得られたデータは登山道を適正に利用してもらうためのルール作りに役立てられています。人の手がほとんど加えられていないダイナミックな知床の自然。適正な利用のもと、多くの人が感動的な体験を出来るフィールドで有り続けて欲しいと思います。
2008年05月12日春の訪れ
知床国立公園 羅臼 後藤 菜生子
ゴールデンウィークも終わり、本州では汗ばむ日も多く季節は春まっさかりを通り越し初夏に近い?!といったところでしょうか。
本州の情報を耳にしながらも、道東の先端にある知床半島にはなかなか春が到着しないなぁと思っていました。
羅臼岳を始め山々には雪が残り、知床峠ではひんやりと冷たい空気も流れます。でもようやく最近になって春の気配を感じるようになりました。
今日は羅臼の春の光景、春の使者の一部をみなさんに紹介します。
羅臼岳と羅臼川
羅臼町の中心を流れる羅臼川。その河口に掛かる羅臼橋から、羅臼川を背に羅臼岳を望むことができます。真ん中に見えるのが標高1661mの羅臼岳です。まだ若干雪が残っているのがわかります。
1ヶ月前には雪で真っ白だった羅臼川の両岸には、フキノトウが芽吹き、さらにはフキの葉で岸一面緑色になりました。
羅臼川の寒々しく聞こえた水の流れも、今では軽やかに聞こえます。
カラスがエゾシカの毛抜き
この写真はあまりはっきりしませんが、エゾシカはただいま夏毛に向け、冬毛の抜け替わりの時期にあります。その冬毛をカラスがエゾシカの背中に乗り、毛を抜いているところなんです。
なぜ?!
カラスは抜けるエゾシカの冬毛を巣作りの材料にするそうなんです。エゾシカにとっては暑い冬毛を抜いてくれるカラス、カラスにとっては巣材を提供してくれるエゾシカ、といったところなんでしょうか。
それにしても面白い光景ですよね。
エゾエンゴサク開花中!
樹木の芽吹きもようやく見られるようになり、段々と色づき始めた羅臼。草花の開花も徐々に見ることができるようになりました。
その中でも、開花の早かったエゾエンゴサク。背丈も低く、小さな花ですがきれいな青紫色が目を引きます。
こんな小さな花をつけるエゾエンゴサクが、厚い雪の下で長い冬を乗り越え開花したのだと思うと、春の日の暖かさと自然の中でたくましく生きる力強さを感じずにはいられません。
本州の情報を耳にしながらも、道東の先端にある知床半島にはなかなか春が到着しないなぁと思っていました。
羅臼岳を始め山々には雪が残り、知床峠ではひんやりと冷たい空気も流れます。でもようやく最近になって春の気配を感じるようになりました。
今日は羅臼の春の光景、春の使者の一部をみなさんに紹介します。
羅臼岳と羅臼川
羅臼町の中心を流れる羅臼川。その河口に掛かる羅臼橋から、羅臼川を背に羅臼岳を望むことができます。真ん中に見えるのが標高1661mの羅臼岳です。まだ若干雪が残っているのがわかります。
1ヶ月前には雪で真っ白だった羅臼川の両岸には、フキノトウが芽吹き、さらにはフキの葉で岸一面緑色になりました。
羅臼川の寒々しく聞こえた水の流れも、今では軽やかに聞こえます。
カラスがエゾシカの毛抜き
この写真はあまりはっきりしませんが、エゾシカはただいま夏毛に向け、冬毛の抜け替わりの時期にあります。その冬毛をカラスがエゾシカの背中に乗り、毛を抜いているところなんです。
なぜ?!
カラスは抜けるエゾシカの冬毛を巣作りの材料にするそうなんです。エゾシカにとっては暑い冬毛を抜いてくれるカラス、カラスにとっては巣材を提供してくれるエゾシカ、といったところなんでしょうか。
それにしても面白い光景ですよね。
エゾエンゴサク開花中!
樹木の芽吹きもようやく見られるようになり、段々と色づき始めた羅臼。草花の開花も徐々に見ることができるようになりました。
その中でも、開花の早かったエゾエンゴサク。背丈も低く、小さな花ですがきれいな青紫色が目を引きます。
こんな小さな花をつけるエゾエンゴサクが、厚い雪の下で長い冬を乗り越え開花したのだと思うと、春の日の暖かさと自然の中でたくましく生きる力強さを感じずにはいられません。
2008年04月15日はじめまして
知床国立公園 羅臼 木村 慈延
4月から羅臼のアクティブレンジャー(以下AR)として赴任した木村慈延です。羅臼に来てまだ2週間しか経っていませんが、巡視でいろいろな場所に行く度に、羅臼が雄大な自然に囲まれたとても美しい場所だと実感させられます。
私のAR日記では、羅臼の季節の移り変わりから、この土地の暮らしのこと、ARの仕事の話を中心に、読んで下さる皆さんも一緒に楽しめる日記にしたいと思います。
さて今の羅臼(知床半島の先端部)の写真です。
随分雪は少なくなりましたが、それでも気温は0℃!本州では桜も散った頃だと思いますが、ここでは5月中旬頃の開花となるそうです。私は植物好きなので、花が咲く春が待ち遠しいです。
花が咲くにはまだまだ寒い羅臼ですが、鳥はたくさん見ることが出来ます。 特に先日の巡視では、羅臼で記録されたことのないアメリカヒドリとよく似た鳥が一羽確認されるなど、鳥ネタが尽きることはありません。(写真の下部の鳥がアメリカヒドリと似ている鳥)
巡視の後で、鳥に詳しい方に見てもらったのですが、写真の色が暗くて不明瞭なことと、アメリカヒドリと近縁な仲間であるヒドリガモの群に一羽しか居なかったこと等から、「アメリカヒドリとヒドリガモとの雑種である可能性もある」とのことでした。今回はアメリカヒドリと断定する事は出来ませんでしたが、今後も巡視の中で新たな発見があるかもしれません。そのためにも早く羅臼の自然について勉強していきたいと思います。
私のAR日記では、羅臼の季節の移り変わりから、この土地の暮らしのこと、ARの仕事の話を中心に、読んで下さる皆さんも一緒に楽しめる日記にしたいと思います。
さて今の羅臼(知床半島の先端部)の写真です。
随分雪は少なくなりましたが、それでも気温は0℃!本州では桜も散った頃だと思いますが、ここでは5月中旬頃の開花となるそうです。私は植物好きなので、花が咲く春が待ち遠しいです。
花が咲くにはまだまだ寒い羅臼ですが、鳥はたくさん見ることが出来ます。 特に先日の巡視では、羅臼で記録されたことのないアメリカヒドリとよく似た鳥が一羽確認されるなど、鳥ネタが尽きることはありません。(写真の下部の鳥がアメリカヒドリと似ている鳥)
巡視の後で、鳥に詳しい方に見てもらったのですが、写真の色が暗くて不明瞭なことと、アメリカヒドリと近縁な仲間であるヒドリガモの群に一羽しか居なかったこと等から、「アメリカヒドリとヒドリガモとの雑種である可能性もある」とのことでした。今回はアメリカヒドリと断定する事は出来ませんでしたが、今後も巡視の中で新たな発見があるかもしれません。そのためにも早く羅臼の自然について勉強していきたいと思います。
2008年04月11日はじまして
知床国立公園 羅臼 後藤 菜生子
羅臼自然保護官事務所に4月から赴任した、アクティブレンジャー(以下AR)の後藤 菜生子です。
3月まで東京の専門学校で自然環境保全、野生動物保護などを学び、このたび羅臼でARとして活動することになりました。
羅臼でARとして活動できる機会を与えてくださったことに感謝しながら、持てる力を精一杯発揮し、ここ羅臼を目一杯楽しみながら活動していきたいと思っています。
そして、このAR日記を読んでくださる多くの方々に、羅臼の自然の素晴らしさと私たちARの活動をお伝えしたいと思っています。
4月9日、羅臼岳に残雪状況・自然環境状態の把握のため巡視に行ってきました。連日の雪・濃霧にも関わらず、この日は見事な晴天に恵まれました。
今の時期でも山には雪があり、入山するにはスキーやスノーシューが必要になります。私たち(若松自然保護官・木村AR・後藤)はゾンメルスキーというスキーを装着して入山しました。このスキーは山を歩くためのスキーで、歩きやすいように踵が上がり、板の裏には斜面を登るときに滑らないよう、シール(アザラシの毛皮)がついています。その他にも、アイゼンやピッケルに加えビーコン,ゾンデ,スコップの雪崩対策3点セットを装備しての入山です。
雪の斜面に苦労する木村ARと後藤
岩肌や登山道がところどころ出ていたり、スキーを装着しては進めない所ではスキーを脱いで進みます。
しかし雪は見た目以上に深く、うっかりすると腰まで埋まってしまいます。また、雪質もくされ雪といわれる水分を多く含む雪で、重さがあるのでただ歩くだけでも体力を消耗してしまいます。
斜面では踏み外し滑ってしまうことを考えると、慎重になります。
また、この時期は雪崩の危険もあり、注意して進む必要があります。
ただでさえ歩くのに困難な状況なのに、それらも注意して進むなんて…。
その上空では…
雪の斜面に悪戦苦闘する私たちの上空を、オオワシが悠々と旋回していました。
まるでおもしろいものを見るかのようにしばらく旋回した後、壁を越え飛翔していってしまいました。
この日、羅臼の自然の素晴らしさと厳しさの一部を知り、羅臼岳の洗礼を受けたような気がしました。
今後も、私たちが定期的に行う巡視の中で得た、最新の自然情報や羅臼の情報を中心にお届けしていきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
3月まで東京の専門学校で自然環境保全、野生動物保護などを学び、このたび羅臼でARとして活動することになりました。
羅臼でARとして活動できる機会を与えてくださったことに感謝しながら、持てる力を精一杯発揮し、ここ羅臼を目一杯楽しみながら活動していきたいと思っています。
そして、このAR日記を読んでくださる多くの方々に、羅臼の自然の素晴らしさと私たちARの活動をお伝えしたいと思っています。
4月9日、羅臼岳に残雪状況・自然環境状態の把握のため巡視に行ってきました。連日の雪・濃霧にも関わらず、この日は見事な晴天に恵まれました。
今の時期でも山には雪があり、入山するにはスキーやスノーシューが必要になります。私たち(若松自然保護官・木村AR・後藤)はゾンメルスキーというスキーを装着して入山しました。このスキーは山を歩くためのスキーで、歩きやすいように踵が上がり、板の裏には斜面を登るときに滑らないよう、シール(アザラシの毛皮)がついています。その他にも、アイゼンやピッケルに加えビーコン,ゾンデ,スコップの雪崩対策3点セットを装備しての入山です。
雪の斜面に苦労する木村ARと後藤
岩肌や登山道がところどころ出ていたり、スキーを装着しては進めない所ではスキーを脱いで進みます。
しかし雪は見た目以上に深く、うっかりすると腰まで埋まってしまいます。また、雪質もくされ雪といわれる水分を多く含む雪で、重さがあるのでただ歩くだけでも体力を消耗してしまいます。
斜面では踏み外し滑ってしまうことを考えると、慎重になります。
また、この時期は雪崩の危険もあり、注意して進む必要があります。
ただでさえ歩くのに困難な状況なのに、それらも注意して進むなんて…。
その上空では…
雪の斜面に悪戦苦闘する私たちの上空を、オオワシが悠々と旋回していました。
まるでおもしろいものを見るかのようにしばらく旋回した後、壁を越え飛翔していってしまいました。
この日、羅臼の自然の素晴らしさと厳しさの一部を知り、羅臼岳の洗礼を受けたような気がしました。
今後も、私たちが定期的に行う巡視の中で得た、最新の自然情報や羅臼の情報を中心にお届けしていきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
2008年03月24日傷病アザラシ
知床国立公園 羅臼 石名坂 豪
3/17-18に2日連続で、環境省釧路自然環境事務所において管内会議や各種打ち合わせ等があり、道東に散在する5つの自然保護官事務所と上記釧路事務所の職員がほぼ全員集まりました。会議が終わって18日昼過ぎに釧路を出発。佐々木ARと運転を交代しながら約4時間かけて夕方の羅臼に戻ると、直後に羅臼町役場の軽トラックが駐車場に入ってきました。荷台には・・・なんと1頭のゴマフアザラシが積まれていました。「羅臼漁港の中に弱っているアザラシがいる!」と町民の方から通報があり、町役場と知床財団の職員がとりあえず捕獲してきたそうです。
羅臼町内では、傷病鳥獣がゴマフアザラシのような普通種(絶滅の恐れが少ない、個体数が十分多い種)だった場合、対応主体は環境省ではなく、北海道庁や町役場、それに役場から鳥獣関係の業務委託を受けている知床財団になっています。しかしちょうど会議続きでどこの組織も人手不足、さらに私が獣医で、大学院時代の博士論文テーマが野生のアザラシやトドだったこともあり、作業に参戦しました。
まず、一時収容場所をどこにするかで悩みました。羅臼には傷病鳥獣の収容や治療を、衛生的にできる公的施設がありません。結局、昨年までビジターセンターとして使っていた古い建物の奥にある、パークボランティア用宿泊スペースのバスタブに収まりました。
弱っているとはいえ、相手は野生動物。特にアザラシは、身体的接触を特に嫌う性質を持っています。うかつに聴診器や手を近づけると「ガァー!」と怒って咬んできます。「馬乗り保定」というアザラシならではの拘束方法もあるのですが、収容直後で興奮している野生動物を無理矢理押さえつけてまで検査して、余計なストレスを与えたくありません。餌用に町役場の方(釣りが趣味)からもらったワカサギが解凍されるまで、とりあえず2時間ほど安静にさせることにしました。
さて、解凍が終わったワカサギを器具でつまんで顔の前で振ってみましたが、威嚇するだけで食いつきません。怒って口を開けた瞬間に中に放り込んでもみましたが、クチャクチャした後、結局「ペッ!」と吐き出されてしまいました。無理矢理ノド奥に突っ込んで飲み込ませる(強制給餌をする)なら馬乗り保定が必要ですし、そもそもここのバスルームは、そのような作業をするスペースとしては狭すぎました(失敗)。脱水が心配なので、ひとまず経口補液だけでもするか? おっと、胃まで挿入する長さのカテーテル(チューブ)やブドウ糖液も無いのだった・・・
無い無い尽くしのせいだと自分とアザラシに言い訳しつつ、ワカサギと、イカの足だけを小さめに切ったものを置き餌にして、その晩は様子を見ることにしました。収容時期と毛の状態から見て、このアザラシはパップ(今年生まれの新生子)ではなく昨年生まれのようでしたが、弱っているので、ひとまずバスタブには水をまったく張らないことにしました。
翌朝、早起きして出勤前にバスルームを覗いてみたところ、餌はそのまま、バスタブ内は下痢便だらけになっていました・・・呼吸も前夜に比べて少し荒くなっており、もしこのままここで収容し続けるなら、抗生物質の投与が必要そうです。しかし餌を自分から食べないとなると、錠剤を仕込んだ魚を強制給餌するか?それとも注射薬を使うか?
あー、抗生剤の注射薬にも、ロクなストックが無いのだった。
その後官庁の業務時間になり、羅臼町役場の担当者が北海道庁(根室支庁)の担当者等と電話相談をした結果、この個体に関しては、運良く釧路市動物園が引き取ってくれることになりました。
搬出直前に感染症モニタリング用に少しだけ採血をさせてもらい、その後アザラシちゃん(メス)は大きなプラスチック容器に入れられて知床財団トラックの荷台に乗せられ、釧路へと旅立っていきました・・・
ゴマフアザラシは個体数が多く、漁業に被害を与えています。そのため「漁業有害獣」として道内一部地域では猟銃を用いた駆除の対象になっています。その他、漁網による混獲も相当数あるようです。したがって、今回のように住民や観光客からの通報で傷病個体を一旦保護収容したとしても、動物園や水族館が引き取ってくれない場合は難しい判断を迫られることになります。簡単な治療で元気になったとしても、近くに放せば再び漁業被害の原因となるため、地元漁業者の感情を考えればそうそう簡単には放せません。人馴れした分だけ、治療後放流個体は他の野生個体より大胆な行動をとる恐れもあり・・・ 結局、引き取り先が無い場合は、治療せずに人目につかない場所に放して自然界の食物連鎖に委ねる、あるいは麻酔薬などを使って安楽死させる、というのが、羅臼で可能な現実的対応なのかもしれません。
たまたま運良く引き取り先が決まった今回のアザラシ。元気になれば、将来は新しい血を飼育個体群に入れるために活用される可能性もあると聞いています。なんとか回復して、長生きして欲しいものです。
後ろ肢裏側つけ根の静脈叢(静脈が集まっている部位)から翼状針を使って採血しました。青い尻は、カッパを着て馬乗り保定をしてくれている知床財団職員です。
アザラシが去った後のバスタブを掃除中。次に羅臼へ来られる予定のパークボランティアや研究者の皆さん、念入りに洗って、バッチリ塩素消毒もしましたので、どうかご安心を!
どうしても心配なら近所の温泉ホテルや「熊の湯」に行って下さい(苦笑)。でもこのバスタブには、実は過去にも傷病水鳥などを収容したことが・・・
羅臼町内では、傷病鳥獣がゴマフアザラシのような普通種(絶滅の恐れが少ない、個体数が十分多い種)だった場合、対応主体は環境省ではなく、北海道庁や町役場、それに役場から鳥獣関係の業務委託を受けている知床財団になっています。しかしちょうど会議続きでどこの組織も人手不足、さらに私が獣医で、大学院時代の博士論文テーマが野生のアザラシやトドだったこともあり、作業に参戦しました。
まず、一時収容場所をどこにするかで悩みました。羅臼には傷病鳥獣の収容や治療を、衛生的にできる公的施設がありません。結局、昨年までビジターセンターとして使っていた古い建物の奥にある、パークボランティア用宿泊スペースのバスタブに収まりました。
弱っているとはいえ、相手は野生動物。特にアザラシは、身体的接触を特に嫌う性質を持っています。うかつに聴診器や手を近づけると「ガァー!」と怒って咬んできます。「馬乗り保定」というアザラシならではの拘束方法もあるのですが、収容直後で興奮している野生動物を無理矢理押さえつけてまで検査して、余計なストレスを与えたくありません。餌用に町役場の方(釣りが趣味)からもらったワカサギが解凍されるまで、とりあえず2時間ほど安静にさせることにしました。
さて、解凍が終わったワカサギを器具でつまんで顔の前で振ってみましたが、威嚇するだけで食いつきません。怒って口を開けた瞬間に中に放り込んでもみましたが、クチャクチャした後、結局「ペッ!」と吐き出されてしまいました。無理矢理ノド奥に突っ込んで飲み込ませる(強制給餌をする)なら馬乗り保定が必要ですし、そもそもここのバスルームは、そのような作業をするスペースとしては狭すぎました(失敗)。脱水が心配なので、ひとまず経口補液だけでもするか? おっと、胃まで挿入する長さのカテーテル(チューブ)やブドウ糖液も無いのだった・・・
無い無い尽くしのせいだと自分とアザラシに言い訳しつつ、ワカサギと、イカの足だけを小さめに切ったものを置き餌にして、その晩は様子を見ることにしました。収容時期と毛の状態から見て、このアザラシはパップ(今年生まれの新生子)ではなく昨年生まれのようでしたが、弱っているので、ひとまずバスタブには水をまったく張らないことにしました。
翌朝、早起きして出勤前にバスルームを覗いてみたところ、餌はそのまま、バスタブ内は下痢便だらけになっていました・・・呼吸も前夜に比べて少し荒くなっており、もしこのままここで収容し続けるなら、抗生物質の投与が必要そうです。しかし餌を自分から食べないとなると、錠剤を仕込んだ魚を強制給餌するか?それとも注射薬を使うか?
あー、抗生剤の注射薬にも、ロクなストックが無いのだった。
その後官庁の業務時間になり、羅臼町役場の担当者が北海道庁(根室支庁)の担当者等と電話相談をした結果、この個体に関しては、運良く釧路市動物園が引き取ってくれることになりました。
搬出直前に感染症モニタリング用に少しだけ採血をさせてもらい、その後アザラシちゃん(メス)は大きなプラスチック容器に入れられて知床財団トラックの荷台に乗せられ、釧路へと旅立っていきました・・・
ゴマフアザラシは個体数が多く、漁業に被害を与えています。そのため「漁業有害獣」として道内一部地域では猟銃を用いた駆除の対象になっています。その他、漁網による混獲も相当数あるようです。したがって、今回のように住民や観光客からの通報で傷病個体を一旦保護収容したとしても、動物園や水族館が引き取ってくれない場合は難しい判断を迫られることになります。簡単な治療で元気になったとしても、近くに放せば再び漁業被害の原因となるため、地元漁業者の感情を考えればそうそう簡単には放せません。人馴れした分だけ、治療後放流個体は他の野生個体より大胆な行動をとる恐れもあり・・・ 結局、引き取り先が無い場合は、治療せずに人目につかない場所に放して自然界の食物連鎖に委ねる、あるいは麻酔薬などを使って安楽死させる、というのが、羅臼で可能な現実的対応なのかもしれません。
たまたま運良く引き取り先が決まった今回のアザラシ。元気になれば、将来は新しい血を飼育個体群に入れるために活用される可能性もあると聞いています。なんとか回復して、長生きして欲しいものです。
後ろ肢裏側つけ根の静脈叢(静脈が集まっている部位)から翼状針を使って採血しました。青い尻は、カッパを着て馬乗り保定をしてくれている知床財団職員です。
アザラシが去った後のバスタブを掃除中。次に羅臼へ来られる予定のパークボランティアや研究者の皆さん、念入りに洗って、バッチリ塩素消毒もしましたので、どうかご安心を!
どうしても心配なら近所の温泉ホテルや「熊の湯」に行って下さい(苦笑)。でもこのバスタブには、実は過去にも傷病水鳥などを収容したことが・・・
2008年03月14日スキーorスノーシュー
知床国立公園 羅臼 佐々木 尚子
3月10日、石名坂ARは山スキー、私はスノーシューを履いて、熊越の滝まで巡視に行ってきました。
この日は、珍しく4月下旬並の暖かさとなり、スキーでスイスイ先を行く石名坂ARに、スノーシューでついて行こうとする私には、上着がいらないくらいでした。
羅臼川沿いの河川敷。右奥に熊越の滝がある。
だいぶ置いていかれ、やっぱりスキーにすればよかったかな・・・と、ちょっと後悔しつつ羅臼川を渡り、熊越の滝遊歩道に入りました。
熊越の滝遊歩道には、急な坂や小さな橋があり、小回りのきかないスキーは、なかなか大変な様子。遅れていた私は、小さな橋を渡ろうとしている石名坂ARに追いつきました。
雪が積もった橋は、高く、狭くなっていて、見ている私がハラハラしてしましました。
このとき、やっぱりスノーシューで来て良かった、と思いました。
小さな橋を渡るのに苦戦する石名坂AR
お互い苦戦しながらも、無事熊越の滝に到着。
静かな森の中に滝の音だけが響き、賑やかな夏にはない滝の姿を見ることができました。
雪に覆われた熊越の滝
熊越の滝は、冬の羅臼を楽しめる人気の場所ですが、急斜面や雪に隠れた小川などがあります。また、遊歩道が斜面に囲まれているところもあるので、温度変化が激しくなるこれからの季節、雪崩などに十分注意して入山してください。
この日は、珍しく4月下旬並の暖かさとなり、スキーでスイスイ先を行く石名坂ARに、スノーシューでついて行こうとする私には、上着がいらないくらいでした。
羅臼川沿いの河川敷。右奥に熊越の滝がある。
だいぶ置いていかれ、やっぱりスキーにすればよかったかな・・・と、ちょっと後悔しつつ羅臼川を渡り、熊越の滝遊歩道に入りました。
熊越の滝遊歩道には、急な坂や小さな橋があり、小回りのきかないスキーは、なかなか大変な様子。遅れていた私は、小さな橋を渡ろうとしている石名坂ARに追いつきました。
雪が積もった橋は、高く、狭くなっていて、見ている私がハラハラしてしましました。
このとき、やっぱりスノーシューで来て良かった、と思いました。
小さな橋を渡るのに苦戦する石名坂AR
お互い苦戦しながらも、無事熊越の滝に到着。
静かな森の中に滝の音だけが響き、賑やかな夏にはない滝の姿を見ることができました。
雪に覆われた熊越の滝
熊越の滝は、冬の羅臼を楽しめる人気の場所ですが、急斜面や雪に隠れた小川などがあります。また、遊歩道が斜面に囲まれているところもあるので、温度変化が激しくなるこれからの季節、雪崩などに十分注意して入山してください。
2008年02月27日羅臼の吹雪
知床国立公園 羅臼 石名坂 豪
今日(2/27)の羅臼は、先日2/15と同様のひどい吹雪です。視界は真っ白。出勤時に運転していたら道路脇のスノーポールどころか、空中の矢印(矢羽根または視線誘導標:地面近くの視界ゼロの際に道路端の位置を教えてくれる)も時々まったく見えなくなり、徐行運転を余儀なくされました。こんな時、うっかり車を完全停止させると後続車に追突されるのが、北国での運転の難しいところです。
出勤後に事務仕事をしていると、羅臼町役場からの防災無線がいろいろな情報を次々に提供してくれました。羅臼から相泊へ向かう道道が先ず通行止め、羅臼と町外を結ぶ唯一の道路である国道335号が幌萌-峯浜間で通行止め、ゴミ収集車は午後の収集を中止、路線バスは全路線運休・・・
国道の通行止めは14時半に解除となりましたが、解除までの4時間、羅臼は完全に陸の孤島となりました。孤立は今冬2回目です。
羅臼ビジターセンターの駐車場もこんな状態。車が何台かありますが、これはセンターを管理している知床財団職員の車や、環境省職員の車、それに自然保護官事務所の公用車です。
こんな日でも羅臼ビジターセンターは、頑張って開館しています。しかし14時半の時点で来館者ゼロ。2月はワシや流氷目当ての観光客が意外といるため、強風で観光船が欠航になった日は来館者数が増えることが多いです。しかし今日はさすがに・・・
もっとも、こんな視界が悪い日の運転は、路外転落や衝突のもとです。無理してビジターセンターにまで行く必要なしと皆さん判断されたのでしょうか。下手すれば命がけになるので、それが正解でしょうね。
普段の私は、昼休みになると5分ほど車を走らせて、市街まで昼食を食べに出ていますが、さすがに今日はあきらめました。
出勤後に事務仕事をしていると、羅臼町役場からの防災無線がいろいろな情報を次々に提供してくれました。羅臼から相泊へ向かう道道が先ず通行止め、羅臼と町外を結ぶ唯一の道路である国道335号が幌萌-峯浜間で通行止め、ゴミ収集車は午後の収集を中止、路線バスは全路線運休・・・
国道の通行止めは14時半に解除となりましたが、解除までの4時間、羅臼は完全に陸の孤島となりました。孤立は今冬2回目です。
羅臼ビジターセンターの駐車場もこんな状態。車が何台かありますが、これはセンターを管理している知床財団職員の車や、環境省職員の車、それに自然保護官事務所の公用車です。
こんな日でも羅臼ビジターセンターは、頑張って開館しています。しかし14時半の時点で来館者ゼロ。2月はワシや流氷目当ての観光客が意外といるため、強風で観光船が欠航になった日は来館者数が増えることが多いです。しかし今日はさすがに・・・
もっとも、こんな視界が悪い日の運転は、路外転落や衝突のもとです。無理してビジターセンターにまで行く必要なしと皆さん判断されたのでしょうか。下手すれば命がけになるので、それが正解でしょうね。
普段の私は、昼休みになると5分ほど車を走らせて、市街まで昼食を食べに出ていますが、さすがに今日はあきらめました。
実は、私が初めてAR日記に投稿した4月11日の内容も、羅臼岳巡視の報告でした。4月9日に巡視に行った報告でしたが、そのときはゾンメルスキーを装着しての登山でしたし、登頂はできず、途中で引き返してきたのでした。
羅臼岳は標高1661mの山。知床半島では最も高い山です。1661mというとそんなにきつそうな山ではない印象をもつかと思いますが、羅臼岳は登山口から頂上までの標高差が1500mあり、本州3000m級の山に匹敵する本格的な登山です。
羅臼岳にはウトロ側から登る「岩尾別コース」と羅臼側から登る「羅臼温泉コース」の入山コースがあります。岩尾別コースは、一般的に登り5時間下り4時間、休憩時間をいれて10時間がコース設定の中級コース、羅臼温泉コースは登り6時間下り5時間、休憩をいれて12時間がコース設定の上級コースです。
私たちは羅臼側の羅臼温泉コースを使っての登山です。
登山口から4時間、そろそろ足に乳酸が溜まって来たなーと感じる頃、それは急に姿を表します。「屏風岩の雪渓」です。
雪渓を登る木村ARと後藤
9月頃まで残る約30度もある急斜面の雪渓が、目の前にそびえ立ちます。ここから先は12本爪のアイゼンとピッケルがなくてはとても登れません。しかも一歩踏み外せば滑落の危険性が高いので、慎重に慎重に。
急斜面に尻込みしてしまう気持ちを奮い立たせ、いざ!ここを登らないと登頂できない!
しかし約30度もある急斜面、10歩登っては一息…その繰り返しです。足がパンパンになり、ふくらはぎは自分のものではないような感覚に。
でも、まだまだ雪渓の切れ目は見えません。雪渓上での休憩中…。
木村AR土下座?!
いえいえ、雪渓の雪で顔を冷やしているところです。私も雪で足を冷やします。
雪渓が残っているくらいなのでまだまだ涼しいのですが、急斜面を登っていると暑くて尋常ではない量の汗をかきます。また、足は張ってパンパンになります。そんなとき、疲れた体を癒してくれるのもまた雪渓なのです。
屏風岩の雪渓をようやく越え、羅臼平に出て、最後の急坂を登り切れば登頂です。あと一息!!
羅臼岳より望む知床連山
屏風岩から約2時間後、羅臼岳の山頂にたどり着くことができました!
頑張った甲斐がありました。羅臼岳から見える景色の素晴らしいこと!
先にも書きましたが、羅臼岳は知床半島で最も高い山。すべてが見下ろせます。(岬までは見えませんが)
三ッ峯・サシルイ岳・オッカバケ岳・知円別岳・硫黄山などから連なる知床連山、羅臼湖、知床五湖、知西別岳が頂上から見える360度の景色の中に望むことができます。
また、右手にウトロの町並みをみれば左手に羅臼の町並みが見え、その海の向こうには国後島が見えます。
まるで知床半島のおへそにでもいる気分です。
羅臼側、ウトロ側両方の海を一度に見ることができる羅臼岳山頂、まさに半島にいる実感が沸きます。
厳しかった登山でしたが羅臼岳の猛々しさに惚れ、そして改めて知床の自然の雄大さを感じた、今回の巡視でした。