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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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知床国立公園 羅臼

181件の記事があります。

2017年05月01日知床峠解禁!利用の仕方を忘れずに!

知床国立公園 羅臼 宮奈光一郎

 4月28日(金)午前10時00分、知床峠へ続く国道334号線がヒグマのような長い冬眠を終え、通行可能となりました!知床に新シーズンの到来です!

知床峠の全景。目の間にそびえ立つ羅臼岳と沢山の観光客(2017年4月)                早くも沢山の利用者が訪れた知床峠

 現在、知床横断道路を利用できるのは午前10時00分から15時30分まで。時間が限られておりますが、今しか見られない景色を楽しもうと沢山の利用者が訪れています。

 知床で最も大きな湖、羅臼湖。こちらも早速何名かの利用者が絶景を楽しんでいたようです。

まだ一面氷に覆われている羅臼湖と湖畔にそびえる知西別岳(2017年4月撮影)              まだ一面氷に覆われている羅臼湖と知西別岳

羅臼岳を天頂山から一望する(2017年4月撮影)              天頂山より。羅臼湖がどこにあるか分かりますか?

                ※目の前にそびえ立つのは知西別岳です。

 雪と氷に覆われた羅臼湖は、知床峠に訪れた賑やかさはなく、今も静寂さが漂っておりました。(あまりに静かすぎて、隣で食べ物を食べる人の噛む音が鮮明に聞こえてきます。)

 この美しい景色に誰しもが心躍る季節ですが、知床を楽しむために是非、利用の仕方にも心を向けていただければと思います。

 羅臼湖からの帰り道、入口はこんな状態でした。

羅臼湖入口にあるバス停に駐車された車両(2017年4月撮影)

             バス停に駐車されている車両(今年4月29日撮影)

 羅臼湖では過去、入口周辺に沢山の車が駐車され通行の妨げになるなどの問題が発生しました。そのことも踏まえて、羅臼湖では環境省を含め地元関係団体と協力して独自ルール「羅臼湖ルール」が作られています。

羅臼湖ルール                      羅臼湖ルール

 羅臼湖に駐車場はありません。そのため、知床峠に車両を置き、入口まで歩いて利用していただくことをお願いしています。

 知床をこれからも多くの人が楽しく利用していくために、ご協力をお願いいたします。

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羅臼湖ルール(詳細)

http://rausu-vc.jp/lake_rausu/lake_rule.pdf

知床の利用の仕方につきましては、現地のビジターセンター等のホームページをご覧ください。

分からないことがあれば、気軽にご連絡・ご質問ください。

羅臼ビジターセンター        知床世界遺産センター

  HP:http://rausu-vc.jp/        HP:http://shiretoko-whc.jp/whc/

連絡先:0153-87-2828        連絡先:0152-24-3255

シレココ

https://www.env.go.jp/park/shiretoko/guide/sirecoco/

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2017年04月08日海ワシとの付き合い方

知床国立公園 羅臼 宮奈光一郎

 新年度を迎え、早くも知床での生活が3年目に突入しました。1年1年があっという間に過ぎ去っていきまね。気持ちを新たに、知床と楽しくお付き合いしていきたいと思います。

 さて皆さん、こちらの2枚の写真の生き物をご存知でしょうか。

大きな翼を広げて着陸しようとするオジロワシ(2017年3月撮影)

大きな翼と尾羽を広げて空中で急速に速度を落としたオオワシ(2017年3月撮影)

 そう、オジロワシ(上)とオオワシ(下)です!

 彼らを見に知床を訪れる方も多いのではないのでしょうか。

 (豆知識:羅臼町の鳥はオジロワシです。)

 国内最大の海ワシ(オジロワシ、オオワシ)の越冬地とされる知床。どのくらい多いのかと言うと...

立木で海ワシ(オジロワシ、オオワシ)が鈴なりになっている様子(2016年1月撮影)                       ※この写真は2016年1月に撮影したものです。

 この通りです。

 街中をお散歩していてふと上を見上げると、木に海ワシが鈴なりになっております。この写真の中だけでもオジロワシが4羽、オオワシが14羽います。

.........

...とまあ、こんな感じで海ワシの紹介が過去にもされていたように思います。

 今年も沢山の海ワシが遥かオホーツク海の彼方から、ここ、知床にやってきました。多い時で1日に300羽以上の海ワシを記録しています。(羅臼自然保護官事務所では毎年海ワシの越冬期に個体数のカウントを行っています。昨年は1日のカウントが500羽を越えることもありました。)

 海ワシが空や流氷上を舞う姿を見に、多くの観光客が知床・羅臼を訪れます。翼を広げると2mを越える海ワシが目の前で、それも1羽2羽ではなく数十羽が同時に空を舞う姿は確かに圧巻です。

 沢山の海ワシに囲まれながら冬を過ごす。これはかなり贅沢なことではないだろうか。そんな思いが頭をよぎる中、今年は一つ懸念することがありました。

 こんな記事を新聞等で見たことはありませんか。

高病原性鳥インフルエンザに関する新聞記事等の見出し

 そう、高病原性鳥インフルエンザ(以後、鳥インフル)です。

今年度は全国的に多数、野鳥や家禽が鳥インフルにかかり、大きな問題になりました。現在も、鳥たちが渡りの時期を迎えており、拡散するおそれがあります。

 オジロワシ、オオワシは鳥インフルに感受性が高く、死亡野鳥等調査で検出しやすいと考えられる種とされており、一ヶ所に集中すると感染のリスクが高まってしまいます。

高病原性鳥インフルエンザに感受性の高い鳥類を取りまとめたリスト(環境省取りまとめ)   ※「野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル簡易版」より抜粋

 このことを踏まえ、羅臼自然保護官事務所では関係団体に注意喚起をし、傷病鳥発生時の対応などについて話し合いを行いました。

 幸い、今シーズンは何事もなく海ワシたちは北へと渡っていっております。

 知床を訪れる海ワシがこれからも安全に生活できるように、関わる全ての方々と肩を寄せ合いながら、海ワシとの付き合い方について考えていくことが必要だと思います。

採った魚をお持ち帰りするオオワシ(2016年2月撮影)                採った魚をお持ち帰りするオオワシ

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高病原性鳥インフルエンザに関する情報(環境省)

http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/

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2017年02月20日春はもうすぐ?

知床国立公園 高橋法人

 知床連山をはさんで西側のウトロに流氷が確認されたのは2週間ほど前 。羅臼にもやっと流氷がやってきました。

(漁港の周りも流氷に包囲されています)

 流氷が来ると気温が低下することが多いのですが、この時期にしては、暖かく0度以上の春めいた日が続いています。

 間欠泉の周りの雪はとけて、なんとふきのとうが開花しそうでした。

(フユユスリカのなかま)

 また雪虫が川の周辺に多く見られるようになりました。こうしたユスリカやセッケイカワゲラを見ると、春の気配を感じます。

 さて、昨年の2月は俳句を詠みましたが、

 今回も一句、

 ワシが来て 流氷も来て 蕗も咲く

 といったところでしょうか。今回は適当です。

 冬と春が混ざったかのようですが、これが2017年2月羅臼の一日なのでした。

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2016年12月01日知床にもいた!奇妙な生きものにご対面!

知床国立公園 羅臼 宮奈光一郎

 今年も最後の月を迎えました!

 早いものですね。

 今回は今年1年知床で出会った生きものの中でも、一際奇妙な生きものをご紹介させていただきます。

葉の裏に隠れているオカモノアライガイ(2016年6月撮影)

 こちらの写真の生きものをご存知でしょうか。オカモノアライガイと呼ばれる水辺周辺に生息する陸生の巻貝です。知床・羅臼でも水辺周辺の植物を観察していると、よく見かける生きものですが、皆さん、この生きものに寄生する奇妙な生きものを見たことがあるでしょうか。

        それがこちら↓(ちょっと閲覧注意)!

陽のあたる葉の上にいるLeucochloridium.spに寄生されたオカモノアライガイ(2016年9月撮影)

 ロイコクロリディウム(Leucochloridium:属)と呼ばれる寄生虫です。

 どこにいるの?と思われたかもしれません。よくよく触覚を見てください。

 奇妙なしましま模様になっていませんか?

        拡大すると...

Leucochloridium.spに寄生されたオカモノアライガイの拡大写真(2016年9月撮影)

 写真奥が正常な触覚です。写真手前の触覚にはあきらかに他の生きものが入り込んでいます。これがロイコクロリディウム(属)です。

Leucochloridium.spがオカモノアライガイの体内に複数確認された(2016年9月撮影)

 ロイコクロリディウム(属)は終宿主(寄生虫が成体になったときに寄生している生きもの)を鳥とする寄生虫です。鳥の体内で卵を産み、卵は糞に混ざって外に出ます。卵入りの糞を食べたオカモノアライガイが寄生されてしまうというわけです。オカモノアライガイはロイコクロリディウム(属)にとって中間宿主、終宿主である鳥にたどり着くための中継地点となります。

 さて、どうやってロイコクロリディウム(属)はオカモノアライガイから鳥にたどり着くのでしょうか。結論から言えば、オカモノアライガイごと鳥に食べてもらうことで、たどり着きます。オカモノアライガイに食べられたロイコクロリディウム(属)は、体内で成長すると1、2枚目の様に触手に移動し、上下(?)に脈動することで触手をイモムシに似せ、鳥に餌だと思わせます。ただし、オカモノアライガイは日光を好まないので、そのままだと暗い場所に移動してしまい、鳥に見つけてもらえません。そこで、脳に影響を与え、明るいところにオカモノアライガイを移動させます。

 こうして、オカモノアライガイごと鳥に食べられ、体内に入ったロイコクロリディウム(属)は成長して新たな卵を産む、というなんとも奇妙な一生を送るわけです。

 知床を訪れると、ヒグマやオオワシといった大型の生きものに目が行きがちですが、小さな生きものの世界にも魅力が沢山あります。知床に訪れた際には是非、様々な目線で自然を観察していただけたらと思います。

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2016年11月09日温泉につかりたい

知床国立公園 高橋法人

 日に日に寒くなってきておりますが、寒い季節には温泉の話題でもいかがでしょう。


 知床半島中央部を流れる羅臼川沿いには温水が湧出している箇所が点在しており、周辺地域は「湯ノ沢」と名付けられています。


 羅臼ビジターセンターも湯ノ沢にありますが、センター裏には北海道指定天然記念物の間欠泉があり温泉水が吹き出す様子を観察することができます。


 温泉水が噴き出す様は圧巻です。

 (噴出時は周辺に熱湯が飛散するので柵から間欠泉側への立ち入りはご遠慮ください)


 実は小型の"ボッケ"※1も羅臼岳登山道上で見ることができます。


 羅臼町では湯ノ沢付近でのみオオシオカラトンボの成虫が飛んでおり、ヤゴはどこにいるのだろうと思っていたらこのボッケの周りの泥にいました。温泉?につかっているのは人間だけではないのですね。


 さて、記事を書いていたら実際に温泉に入りたくなってきました。

 ビジターセンター近くにある熊の湯※2につかって温まりたいと思います。

 それでは皆様もお身体にお気をつけ下さい。


※1

 アイヌ語で煮え立つという意味で、硫黄が混ざった泥が吹き上げている環境を指す。

※2

 羅臼町内の有志により管理されている温泉で、無料で利用が可能。男性は露天、女性は室内風呂となっている。利用の際は周辺に掲示されている利用のルールを遵守のこと。

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2016年09月30日ルサカフェ オープン中(9/28−10/3)

知床国立公園 羅臼 高橋法人

 ルサフィールドハウスでは9月28日から103日までの期間限定で今年もルサカフェをオープンしています。






 インフォメーションではドリンクの他に、羅臼町で作られたお菓子や総菜パンも販売されており館内でいただくことが可能です。











 根室海峡や国後島を見ながらゆっくりくつろぐことができます。

 羅臼町にお越しの際はぜひお立ち寄りください。




おまけ




 ルサフィールドハウス近くのルサ川ではサケ・マスが多く遡上してきています。

 体長1m以上の魚群は圧巻です。こちらの観察も併せていかがでしょうか。



 熊には注意してください。

 近くでサケを食べているかもしれません。

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2016年08月03日夏の知床峠、目に映るのは外来種

知床国立公園 羅臼 宮奈光一郎

 ついにやってきました8月!夏真っ盛り!

 皆さん、夏休みのご予定はしっかりと組まれているでしょうか?

 暑苦しい都会の夏とは異なり、知床・羅臼の夏は晴れていても薄らと雲がかかっていることが多く、涼しさを感じる日々が続いております。

 観光目的で沢山の方が訪れるこの時期、ほとんどの方が知床峠に足を運びます。知床峠からは知床最高峰である羅臼岳を目前にすることができ、日によっては大雲海や国後島を一望することができます。さらに、夜は手軽に星空を味わえる絶好の観光スポットとなっています。

眼下に広がる雲海と羅臼岳を望む(2016年7月撮影)                      羅臼岳と雲海

知床峠から眺める満点の星空。天の川もくっきり!(2016年7月撮影)                      夜の知床峠


 この知床峠へ向かう道、知床横断道路では意外と沢山の花が咲いています。エゾノリュウキンカやチシマノキンバイソウ、チシマフウロ、ミヤマキンポゲ、ミズバショウなどです。ウトロ側では湿地が道路沿いにあり、ミズバショウの群落が見られる箇所もあります。

 しかし、それらの花々より多く目にするのが外来種です。フランスギクをはじめ、セイヨウノコギリソウ、コウリンタンポポ、ヒトフサニワゼキショウなどが花の季節になると道路沿いや法面一面に花を咲かせます。

フランスギクによって覆われた法面(2016年7月撮影)                   法面を覆うフランスギク

 今年はヒトフサニワゼキショウの防除を実施しましたが、個体数が非常に多く、根絶が難しい状況です。

ヒトフサニワゼキショウの花と袋いっぱい防除したヒトフサニワゼキショウ(2016年7月撮影)       左)ヒトフサニワゼキショウの花    右)防除した袋いっぱいのヒトフサニワゼキショウ

 アクティブレンジャー2人では人員不足と思いますが、知床横断道路は歩行者用の道が非常に狭いため、安全を確保することが難しいだけでなく、最近では知床横断道でヒグマが頻繁に確認されていることもあり、人を集めて防除活動を行うことが難しい状況です。できる範囲で地道に優先順位をつけながら防除を続けていくしかありません。

道路沿いに現れたヒグマ。車との距離は10mほど。(2016年7月撮影)                   防除活動中に現れたヒグマ

     注意)大変危険ですので、写真の様にヒグマと遭遇しても車両を停車しないでください。


 羅臼岳や知床連山の登山道等に外来種が大量に入り込む様な事態は生じていませんが、海岸線など、人の利用が多い場所では外来種の侵入が多数、確認されています。

 知床の自然が次世代に受け継がれていくためにも、一人一人の行動が自然にどれだけ影響を与えるのか、考え、責任をもって利用していただけたらと思います。

 靴の裏をきちんと洗うことで、外来種の拡散、侵入の予防になります。できるところから心掛けていただければ幸いです。

※余談ですが、知床横断道路の知床峠から羅臼湖入口間においてスミレやシロスミレ、ヒオウギアヤメ、

 ホザキシモツケ等の在来種が確認されています。本来、この周辺はハイマツ、ダケカンバが群落を形成して

 おり、林床はササが繁茂している地帯であることから、彼らが生育するにはあまり好ましい環境とは思えま

 せん。もしかすると、彼らも外来種(地域移入種)なのかもしれません。

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生態系被害防止外来種リスト(環境省)↓

https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/files/gairai_panf_a4.pdf


環境省が実施している防除活動↓

http://www.env.go.jp/nature/intro/4control/bojokankyo.html

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2016年07月19日これからどうなる?野付の花々

知床国立公園 羅臼 宮奈光一郎

 7月を迎え、いよいよ夏本番。知床の山々でも花が美しく咲き乱れております。今回は、道東でも一二を争うほどのお花畑、野付半島の状況をご紹介します。

 野付半島は長さ28km、日本最大の砂嘴であり、ラムサール条約湿地の一つです。コクガンやオオハクチョウ、沢山のカモ類などが見られる場所として有名ですが、エゾカンゾウやセンダイハギ、ハマナスが咲き乱れるお花畑としても名高い場所です。

 例えば、エゾカンゾウ。およそ6月の中旬頃から7月前半にかけて、エゾカンゾウが砂丘一面を覆いつくし、黄色い絨毯が敷かれた様な景色を作り出してくれます。

黄色い絨毯の様に一面に広がるエゾカンゾウの群落とエゾカンゾウ個体(2016年6月撮影)左)エゾカンゾウの群落 右)エゾカンゾウ

毎年私たちを楽しませてくれる花々ですが、近付いてよく見てみると・・・


花茎が食べられているエゾカンゾウ(2016年6月撮影) ぽっきりと花をつけていた茎(花茎)の先が無くなっているものがありました。こんなことをするのは誰でしょう。それは北海道ではお馴染みの生きもの、そう、エゾシカです!

 エゾカンゾウは昔からエゾシカに食べられていたと思われますが、近年、急激にエゾシカが増えたことにより、影響が懸念されるようになりました。羅臼羅自然保護官事務所では、その影響を見るために、毎年被食状況(食べられているエゾカンゾウの状況)を調べています。調査地点を幾つか定めて実施しているのですが、場所によって花が咲く前にほとんどが食べられてしまっていたり、そもそも花茎がほとんど確認されなかったという状況が確認されています。

通常通りエゾカンゾウガ咲き乱れている調査地点(2016年6月、7月撮影)                       調査地点

  1. 左)2016年6月撮影 右)2016年7月撮影

通常だと、このようにエゾカンゾウガ咲き乱れるのですが・・・

シカの影響を受けてエゾカンゾウの花茎ほとんどが被食されていた調査地点(2016年6月、7月撮影)                       調査地点
               左)2016年6月撮影 右)2016年7月撮影

場所によってはほとんど花が確認されませんでした。
※どちらもエゾカンゾウの群落に調査地点を設置しています。

 まだ、野付半島では目に見えて大きな影響が出ていない状況かもしれません。しかし、なんらかの手立てをしないと、今後、貴重な植生がなくなるかもしれません。また、植物が影響を大きく受けると、それを食べていた昆虫などの他の生きもの、ノサップマルハナバチ等の希少野生生物が姿を消すことにつながることも考えられます。

 人にとっても、野生生物にとっても憩いの場であるお花畑を、今後も注意して観察していきたいと思います。

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2016年06月01日ダニにご注意を

知床国立公園 高橋法人

 最近はここ羅臼町でも気温が20度を上回るようになりました。

 屋外に出て、自然散策や登山ができる機会が増え素晴らしいことではあるのですが、野外には多くの危険があります。

 その一つがヒグマです。知床ではヒグマとの接触が多く、巡視中でもたびたび目にします。


 ヒグマは大きいもので体重300kg以上もあり、また時速50km以上で走行が可能と言われており、確かに、その身体能力は人間にとって脅威です。できるだけ野外では接触したくないものです。


 しかし、それ以上に接触する機会があるのが、


 こちらのマダニです。

 北海道の山野ではヤマビルに咬まれたということは聞きませんが、ダニに咬まれたということはよく耳にします。ダニは疾病を感染(ライム病など)させるおそれもあり、微小な生物ですが侮ることはできません。


 通常、マダニは茂みの中にひそみシカやクマなどの哺乳類が通過した際にとびうつり吸血します。

(エゾシカの目のまわりの赤い点やできものが、「マダニ」です。目の周りの柔らかいところに

 寄生する傾向があります。)

 しかし、そうした環境を人が利用するとダニが付いてしまうことがあります。それはマダニが哺乳類の二酸化炭素や熱を感知して宿主を探りあてるためです。


 個人的な経験では、素肌をさらして野外を歩かない、特に笹などの植物に触れたらすぐに接触した箇所を調べたりはたいたりする、といったことでダニに咬まれる確率を減らせていると感じています。



 ちなみにダニは水中にもいます。

(アカミズダニ属の一種)

(ヨロイミズダニ属の一種)

 こちらも水生のダニです。


 いずれにしても「ダニ」なので、生物に寄生し体液を吸入することで栄養を摂取します。

 こうした水中のダニは主に水生昆虫等に寄生しているようです。

(水生ダニに寄生されるクロカワゲラ)


 ダニも色々な種類があり興味がつきませんが、皮膚の上をマダニが歩いているとどうしても慌てて取り除いてしまいます。

 昆虫や動物と異なり、細かな作業ができる手をもつ人間は、ダニがついても取り払える余地があるといえます。



 皆様も外出の際はお気をつけ下さい。

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2016年04月04日春の足跡が聞こえる羅臼にやってきた流氷

知床国立公園 羅臼 宮奈光一郎

 知床でも、雪溶けが進み、フキノトウ(アキタブキ)が溶けた雪の隙間から顔を出し始めました。ここにも春が訪れようとしています。

 暖かな日差しが雪をゆっくりと溶かしており、春を待っていた生きものたちの声が聞こえてくるようです。

※ 知床ではすでにヒグマが活動をはじめていますので、ご注意を!(詳細後述)

 

 雪原や冬山をお散歩できる日も残りわずかだなぁと考えていた時にふと、羅臼沖を眺めていると...

小高い山の上から眺める羅臼漁港沖(2016年3月撮影)

 

んん? 国後島周辺に何かあるような...

国後島周辺にやってきた流氷①(2016年3月撮影)国後島集周辺にやってきた流氷②(2016年3月撮影)

 

 あれ?知床で流氷ってそんなに珍しかったっけ?これだけで記事にするほどのものか?と思われた方もおられるかもしれません。

 確かに、知床では厳冬期を迎えると毎年、海一面を流氷が覆います。

 そして、流氷の上でオオワシやゴマフアザラシなどが息づく姿を見ることができます(写真は過去に撮影したものです)。

流氷の上にとまるオオワシ(2010年2月撮影)オオワシ

流氷上で休むゴマフアザラシ(2006年2月撮影)ゴマフアザラシ

 

 そんな光景を毎年多くの方が見に来てくださるのですが、昨年(平成27年)はなんと流氷が全く羅臼にやってきませんでした...

 流氷初日は3月25日(海上保安庁「海氷情報センター」より)。

 昨年よりも1ヶ月以上遅い到来となりました(昨年の流氷初日は2月17日)。

 やっときた!というよりも、今さら...と思ってしまうほど、遅い到来です。(しかも量が少ない...)

 何が原因でこのような状況となったのでしょうか。

 また、生態系にはどのような影響があるのでしょうか。

 今年の知床は例年と異なる状況があるかもしれません。

 心新たに、巡視等の情報収集に身を引き締めて取り組んでいきたいと思います。

※ 知床の冬山等を利用される方は、現地情報を収集し、ヒグマ対策を万全に行ってください。

 知床ヒグマ対策情報↓

 環境省「シレココ」:https://www.env.go.jp/park/shiretoko/guide/sirecoco/bear02/

 知床財団「ヒグマ対処法」:http://www.shiretoko.or.jp/library/bear/

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